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Roger Waters/『Radio K・A・O・S』 [CD]

Radio-KAOS.jpg1984年の『The Pros and Cons of Hitch Hiking』から3年ぶりとなる Roger Waters のソロ第2作目の『Radio K・A・O・S』は、Pink Floyd の『A Momentary Lapse of Reason』とリリース時期が重なった上に両者のツアー日程も同時期に組まれるという、その当時に現存する Pink Floyd と元メンバーの Roger Waters の確執がより顕になったアルバムだった。

しかし、アルバムのセールスでは『A Momentary Lapse of Reason』が英米のアルバム・チャートで共に最高3位まで上昇したのに対して『Radio K・A・O・S』は英25位/米50位と現存する Pink Floyd の圧勝。同時期に行われたツアーでは Roger Waters も Pink Floyd 時代の曲をプレイしたが、規模の面でも注目を集めたのは Roger Waters 抜きの Pink Floyd だった。

では『Radio K・A・O・S』がそれほど悪いアルバムだったかと振り返ると、Roger Waters らしいコンセプト・アルバムというかたちでありながらも Roger Waters 自らが記したアルバムの解説や日本語歌詞を見ると、それほど難解なアルバムには感じられなかった。

車椅子生活で会話もままならない Billy は双子の Benny とその妻の Molly と一緒にイギリスで過ごしていたが、Benny が罪を犯して収監されてしまう。妻の Molly は Billy の面倒がみられなくなり、ロサンゼルスにいる叔父 David に Billy を送る。暫くすると Billy は Radio KAOS の DJ である Jim とコンタクトを取れるようになり、遂には軍事衛星をもコントロールしてしまう。そして世界中にミサイルを発射…というのが『Radio K・A・O・S』の大まかなストーリーだった。

アルバムのオープニングや曲間には DJ の Jim を中心にした会話が挟まれ、日本語歌詞を見ながらそれぞれの曲を聴くと、一見難解と言われる『Radio K・A・O・S』だが、それ程には感じられなかった。

むしろ Pink Floyd 時代の『Animals』以降のアルバムにあった重苦しさがこの『Radio K・A・O・S』にはなく、1曲目の『Radio Waves』は本当に Roger Waters の作った曲かと勘違いするほどの明るい雰囲気の曲だった。

『Radio K・A・O・S』は LP でもリリースされ、両面に4曲ずつが収録され、1曲目の『Radio Waves』と同じくB面トップにある『Sunset Strip』も重苦しさを感じない曲だった。

終末的なストーリーの『Radio K・A・O・S』だが、最後の曲『The Tide Is Turning (After Live Aid)』ではそういった事態が好転しつつあると謳われ、最後に希望の灯がみえるかたちで『Radio K・A・O・S』は終わりとなる。

アルバム・タイトルの KAOS というラジオ局は実際にアメリカのワシントンにあり、アルバムに登場する DJ の Jim も実在する Jim Ladd というラジオのパーソナリティだった。

Pink Floyd の『A Momentary Lapse of Reason』と同時期にリリースされた『Radio K・A・O・S』はその当時はタイトルだけ聞いた程度の存在だったが、イギリスでリリースされた LP を復刻した紙ジャケット仕様盤が2005年にリイシューされ、また改めてアルバムを通して聴く機会ができた。

この時のリイシュー盤はジャケットのモールス信号を表す蛍光色のグリーンが特色で忠実に再現され、LP 時代にあった内袋もミニチュア化されて小さな歌詞も潰れることなく読めた。さらに初版に同梱されたポスターや、LP のレーベル両面も復刻するという再現度の高いリイシュー盤だった。

『The Pros and Cons of Hitch Hiking』では Eric Clapton が、次のソロ・アルバム『Amused to Death』では Jeff Beck がギターに起用されたが、この『Radio K・A・O・S』では Eric Clapton ともツアーを共にした Andy Fairweather Low が起用された。

『Radio K・A・O・S』では Roger Waters の弾くベースにも迫力があって低音がどっしりと安定し、そこに被さる女性ボーカルや Roger Waters の甲高いボーカル、多くの SE が巧みに組み合わさって、今聴いてもなかなか面白いアルバムになっている。

Radio-KAOS.jpgRadio K・A・O・S
Radio Waves
Who Needs Information
Me or Him
The Powers That Be
Sunset Strip
Home
Four Minutes
The Tide Is Turning (After Live Aid)
タグ:1987 Roger Waters


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