U2／『WAR』

今もなお、Bono、The Edge、Adam Clayton、Larry Mullen, Jr という不動の4人で活動を続ける U2 が1983年にリリースした3rdアルバムの『WAR』。ジャケットにはデビュー盤『BOY』のジャケットに続いて Bono の友人 Guggi の弟 Peter Rowen の顔のアップが使われたが、この『WAR』のジャケットではそのタイトルが表すように険しい表情だった。

『WAR』は U2 のアルバムで初めて全英 No.1 を記録したアルバムで、Michael Jackson の『Thriller』にとって変わっての No.1 だった。(残念ながら『WAR』の No.1 は1週だけで翌週には再び『Thriller』が No.1 に返り咲いた)

『WAR』は全米チャートでもそれまでの2枚のアルバムを大きく上回る最高12位をマークし、セールス面でもデビュー盤や前作『October』の4倍となる400万枚を記録した。

アルバムのリリースに先駆け、リード・シングルとして『New Year's Day』がカットされ、この曲ではポーランドの民主化運動がイメージされたとあったが、歌詞の中はもっと純粋にふたり(恋人や夫婦、友人?)の間の結びつきが謳われていた。

U2 の母国アイルランドのチャートで最高2位を記録した『New Year's Day』は全英チャートで最高10位と、それまでにリリースしてきたシングルの中で最高の結果を残し、全米チャートでは U2 のシングルで初エントリーを果たして最高53位をマーク。ロック系のチャートでは最高2位まで上昇した。

2ndシングルの『Two Hearts Beat As One』もまた社会的なメッセージが込められた曲と言われたが、この曲も受け取り方次第では、やはり、ふたりの間のことを歌った曲と感じられた。

この2曲よりもっと色濃く社会的なメッセージを込められた曲が3rdシングルになったアルバムのトップも飾った『Sunday Bloody Sunday』だろう。この曲は1972年1月30日、北アイルランドで起きた銃撃事件が題材になり、歌詞には『Two Hearts Beat As One』の中にある内容と似た箇所もあったが、ここではよりストレートにその悲劇が謳われていた。

シングルになった曲の他にも『WAR』の中には核戦争を題材にした『Seconds』という曲もあった。

『WAR』は2008年にそれまでの2枚のアルバムと共に The Edge 監修の下でリマスターが行われ、12曲のボーナス・トラックを収めた2枚組の『WAR』もリイシューされた。その2枚組には『New Year's Day』のシングル・バージョンやアメリカでのリミックス・バージョン、アルバムからカットされた3枚のシングルのカップリングで『WAR』に未収録だった曲や、この『WAR』のレコーディングでのアウトテイクなども含まれていた。

この『WAR』というアルバム。冬の気温が上がらない今日のような空の下だと、より一層その歌詞の内容が伝わってくるようにも思える。

WAR
Sunday Bloody Sunday
Seconds
New Year's Day
Like A Song...
Drowning Man
The Refugee
Two Hearts Beat As One
Red Light
Surrender
"40"
【2008 Deluxe Edition Bonus CD】
Endless Deep
Angels Too Tied To The Ground
New Year's Day (7" Single Edit)
New Year's Day (USA Remix)
New Year's Day (Ferry Corsten Extended Vocal Mix)
New Year's Day (Ferry Corsten Vocal Radio Mix)
Two Hearts Beat As One (Long Mix)
Two Hearts Beat As One (USA Remix)
Two Hearts Beat As One (Club Version)
Treasure (Whatever Happened To Pete The Chop)
I Threw A Brick Through A Window/Day Without Me (Live From Werchter, Belgium July 1982)
Fire (Live From Werchter, Belgium July 1982)

タグ：U2 1983