Queen／『Thank God It's Christmas』

12月8日は洋楽を扱うブログやサイトではほぼ似た話題で賑わう。だが、その話題を敢えてここでは扱わず、この時期にしか聴かないクリスマス・ソングの中から Queen が1984年にリリースした『Thank God It's Christmas』を取り上げる。

この1984年の暮れにはもう一枚の有名なクリスマス・ソング、Bob Geldof と Midge Ure のふたりによって書かれた Band Aid の『Do They Know It's Christmas?』がリリースされた。この曲は当時のイギリス音楽シーンの著名人が多数参加したが、そこに Queen のメンバーはひとりもいなかった。

『Thank God It's Christmas』がリリースされた1984年は Queen にとって再び人気を取り戻した年だった。1984年1月、通算11枚目のスタジオ・アルバム『The Works』からのリード・シングル『Radio Ga Ga』がリリースされ、このシングルからカタログ No は QUEEN という連番で統一。その記念すべき1枚目の『Radio Ga Ga』は全英チャートで最高2位をマークし、1981年の『Under Pressure』以来となる Top10 入りを果たした。

その後、リリースされた新作『The Works』も全英チャートで最高2位まで上昇、イギリスではプラティナ・ディスクに認定され、このアルバムからは『I Want To Break Free』『It's A Hard Life』『Hammer To Fall』と合計4枚のシングルがカットされ、いずれも全英チャートで Top20 入りした。

そんな復活を印象づけた年の暮れ、Queen から届けられたクリスマス・プレゼントがこの『Thank God It's Christmas』という新曲だった。もちろん、Queen のクリスマス・ソングはこれが初めてで、唯一の曲でもあった。『Thank God It's Christmas』は Brian May と Roger Taylor のふたりを中心に作られ、この当時の Queen には珍しい Taylor/May とライターにクレジットされていた。

以前、このブログで紹介した『Complete Works』によると『Thank God It's Christmas』は Brian と Roger がそれぞれ用意していた曲がベースになっているとあった。Brian は『I Dream Of Christmas』という曲をレコーディングまで行い、Roger は『Thank God It's Christmas』というタイトルで『The Works』ツアーの始まる前の1984年7月に Freddie Mercury のボーカルもレコーディングしたと記されている。

『Thank God It's Christmas』は『The Works』にある『Man On The Prowl』と『Keep Passing The Open Windows』をカップリングにしてリリースされた。クリスマスの曲ということもあり、『Thank God It's Christmas』はその後の Queen のスタジオ・アルバムに収録される機会はなく、クリスマス向けコンピレーション・アルバムでしか聴けない状況が長く続いた。

Queen のアルバムに『Thank God It's Christmas』が収められたのは1999年の『Greatest Hits III』が初めてで、このベスト盤の一番最後に収録された。シングル盤では1995年の『A Winter's Tale』、1999年の『Under Pressure (Rah Mix)』のカップリング曲として『Thank God It's Christmas』は収められていた。

クリスマス・ソングの(隠れた?)定番曲の『Thank God It's Christmas』は人それぞれによって馳せる思いが異なるからか、シングル・カットされた曲にも関わらず公式 PV は存在しない。

Thank God It's Christmas
Thank God It's Christmas
Man On The Prowl (Extended Version)
Keep Passing The Open Windows (Extended Version)

タグ：Queen 1984 Xmas