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Earth, Wind & Fire/『Electric Universe』 [CD]

Electric-Universe.jpgこの『Electric Universe』がリリースされた1980年代の前半は第2期ブリティッシュ・インベイジョンの頃で、イギリス出身の若手バンドやアーティストが台頭し、アメリカ以外の国や地域からもいろいろな曲がチャートを賑わせ、アメリカ出身のバンドやアーティストもシンプルなロックをプレイするスタイルが多かった。

1970年代から活躍するバンドやアーティストにとって、この頃はまさに逆風な環境で、Earth, Wind & Fire もまた例外ではなく、そのスタイルの変更に迫られた。

リーダーの Maurice White は長年活動を共にしてきた Phenix Horns と別れることを選び、『Electric Universe』ではシンセサイザーが随所でその代役を務めた。曲作りにおいてはこの当時 Q-Feel というイギリス出身のバンドのメンバーだった Martin Page と Brian Fairweather を迎え、リード・シングルになった『Magnetic』などで曲を共に作った。

時代に合わせ、そのスタイルを変えた Earth, Wind & Fire だったが、1970年代後半からの勢いは取り戻せず、1stシングルの『Magnetic』をチャート番組でかろうじて耳にする程度で、1983年にこのアルバムを通して聴く機会は残念ながらなかった。

今回、Columbia レーベル時代の15枚のアルバムが一気にリマスターされ、紙ジャケット仕様でリイシューされたのを機会に、初めて『Magnetic』以外の『Electric Universe』の曲も聴いてみた。

ジャケット・デザインでもそれまで起用してきた長岡秀星から CG へと変更した『Electric Universe』の最初の印象は『Magnetic』以外、パッとしないものだった。

1983年の Earth, Wind & Fire は『Powerlight』というアルバムもリリースし、初めて一年に2枚のアルバムをリリースしたが、それもあって曲が十分に作りこまれていないようにも感じた。

Q-Feel の Martin Page は後に Starship の『We Built This City』や Heart の『These Dreams』を手がけ、ともに全米 No.1 をマークし、Maurice White に先見の明があったことを実証するが、この『Electric Universe』で曲作りを共にした『Touch』や『Electric Nation』では、まだその実力が見えてこなかった。

『Electric Universe』ではそれまで曲作りを共にしてきた David Foster も参加し、アルバムを聴きこむうちに Foster が関わった『Could It Be Right』と『Spirit Of A New World』の2曲は、いい印象へと変わっていった。

さらに聴きこんでいくと、LP 時代のB面、『Spirit Of A New World』からの4曲はA面にある4曲より好きになり、1981年に英米シングル・チャート双方で3位になった『Let's Groove』を共作した Wanda と Wayne の Vaughn 夫妻と作った『Sweet Sassy Lady』も、このアルバムで好きな曲の1つになった。

『Moonwalk』や『Sweet Sassy Lady』のコーラスでは、1979年に全米チャートで最高6位を記録した『Boogie Wonderland』でフューチャーされた The Emotions の1983年当時のメンバー Pamela Hutchinson も参加し、この2曲もまた、徐々にお気に入りの曲になっていった。

初めて『Electric Universe』を聴いたときは Phenix Horns の不在を埋めるシンセサイザー寄りの曲にあまり馴染めなかったが、『Moonwalk』での女性陣のコーラス・ワークや、David Foster の貢献が大きいと感じる『Could It Be Right』や『Spirit Of A New World』も好きになり、『Could It Be Right』は当時シングル・カットされていたらアダルト・コンテンポラリー・チャートでヒットしていたかも…? と思えた。

『Electric Universe』で曲作りに関わった Earth, Wind & Fire のメンバーは Maurice White だけで、随所でファルセットを披露している Philip Bailey はこのアルバムで1曲にもクレジットされず、その創作意欲は同じ年にリリースされた自らのソロ・アルバム『Continuation』に注がれ、翌1984年には全米チャートで最高22位を記録する2ndアルバム『Chinese Wall』へと繋がった。

中核メンバーだったギターの Al McKay が抜け、Phenix Horns とも別れて作られた『Electric Universe』は、先入観から長い間、低い評価を与えていたアルバムだったが、アルバムに関わったメンバーを見て、そして何度も聴いていくうちに、そんなに悪いアルバムではないように思えてきた。

今、改めて振り返ると『Electric Universe』もまた、1980年代という時代に埋もれてしまった不運なアルバムだったようにも感じる。

Electric-Universe.jpgElectric Universe
Magnetic
Touch
Moonwalk
Could It Be Right
Spirit Of A New World
Sweet Sassy Lady
We're Living In Our Own Time
Electric Nation


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