The Beatles／『The Early Beatles』

この『The Early Beatles』もまた、2006年にリリースされた『The Capital Albums, Vol.2』に収録され、The Beatles のスタジオ・アルバムが英国盤で統一された後も、容易に入手ができるようになった。

だが、今、手元にある『The Early Beatles』は、これも精巧に紙ジャケット仕様で復刻されたブートレグ (海賊盤) で、『The Capital Albums, Vol.2』内のアルバムと同じく、モノラルとステレオの両バージョンが収録されたモノだ。

1965年3月に Capital からリリースされた『The Early Beatles』が日本でリリースされたのは、その5年半後の1970年9月。当時の邦題は『ビートルズ初期傑作集』というタイトルだった。

邦題の印象からするとシングル・ヒット曲を収録したコンピレーション・アルバムのようにも思われ、原題からも初期の曲を集めた企画盤のように思えた『The Early Beatles』だが、ここにある11曲は全て英国でのデビュー盤『Please Please Me』にある曲ばかりだった。

アメリカでは Vee-Jay が『Please Please Me』の販売する権利を持っていたため、Capital はそこにある曲をリリースすることができず、『Meet The Beatles!』が Capital からのデビュー盤という扱いだった。

しかし、Vee-Jay が持つ『Please Please Me』の契約が切れたため、ようやく Capital がその権利を獲得。そして英国デビュー盤にある曲を初めて紹介したアルバムが、この『The Early Beatles』だった。

既に『Please Please Me』が手元にあれば、敢えて入手の必要性が感じられない『The Early Beatles』は、英国デビュー盤『Please Please Me』から『I Saw Her Standing There』『Misery』『There's a Place』の3曲を外し、曲順を変更しただけのアルバムだった。

外れた3曲のうち、『I Saw Her Standing There』は Capital からの『Meet The Beatles!』に収録されたが、他の2曲は Capital からリリースされたその後のアルバムにも含まれず、ようやくアルバムに収録されたのは1980年の『Rarities』というレア曲を集めたコンピレーション・アルバムだった。

英国デビュー盤『Please Please Me』はオリジナルが8曲、カバーが6曲という構成だったが、『The Early Beatles』では外れた3曲が全てオリジナルばかり。なので、全11曲中、カバー曲が半分以上の6曲を占め、ともすると The Beatles のカバー曲集のような雰囲気もあった。

モノラル盤もある『The Early Beatles』だが、ここでのモノラルは単にステレオを変換しただけの偽モノラル・バージョンだった。

1965年のオリジナル・リリース当時、全米アルバム・チャートでは34週間ランクされ、最高は43位。リリースから9年後の1974年に、ようやくゴールド・ディスク (50万枚) に認定された。

The Early Beatles
Love Me Do
Twist And Shout (Phil Medley and Bert Russell)
Anna (Go To Him) (Arthur Alexander)
Chains (Gerry Goffin and Carole King)
Boys (Luther Dixon and Wes Farrell)
Ask Me Why
Please Please Me
P.S. I Love You
Baby It's You (Burt Bacharach, Hal David, and Barney Williams)
A Taste Of Honey (Ric Marlow and Bobby Scott)
Do You Want To Know A Secret?

タグ：1965 THE BEATLES