Susanna Hoffs／『Someday』

Susanna Hoffs の16年ぶりの新作『Someday』は、7月中旬に『Some Summer Days』の記事で紹介した動画内での曲『Picture Me』を含めて、全12曲で30分ちょっとのアルバムだが、The Bangles での最新作『Sweetheart Of The Sun』と比べ、当然のことながら Susanna のボーカルがたっぷりと楽しめるアルバムだ。

The Bangles で聴くことのできるバンドとしてのサウンドは、このソロ・アルバムではほとんどなく、アコースティックな楽器をバックに、特徴ある Susanna のボーカルが全編にわたって聴ける。

これもまた当然のことだが、1990年代にリリースした2枚のソロ・アルバムより、年月が経ったこともあって、すっかり肩の力が抜けて、今の Susanna がやりたいことが好きなようにできたアルバムのようにも感じられた。

手に入れた『Someday』は紙製のダブル・ジャケットで、Susanna の画像も表ジャケット以外は内側にある画像の2つだけ。その内側の画像も『Some Summer Days』のジャケットとして使われたモノ。アルバムにある曲同様、ジャケットには曲のクレジットがあるだけのシンプルなつくりだ。

全12曲は Andrew Brassell というこのアルバムでギターやコーラスを務めた人物とほとんどの曲を Susanna が共作。『Raining』の1曲だけ、The Heartbreakers のギタリスト Mike Campbell も参加した曲になっていた。

曲のバックを務めるメンバーの中には Elvis Costellp のバンド The Imposters でベースを弾く Davey Faragher と、ドラムの Pete Thomas が参加していた。このふたりは『November Sun』『Always Enough』『Picture Me』『Raining』『Regret』『True』の6曲で Susanna のバックを務めている。

このふたりが今回参加したのはプロデューサーを担当した Mitchell Froom の人脈からだろうか。Mitchell Froom は The Bangles 時代にも1986年のスタジオ・アルバム『Different Light』でキーボードやシンセサイザーを弾いていたが、同じ年に The Costello Show 名義でリリースされた『King Of America』ではオルガンやピアノを弾いていた。Mitchell Froom は以降も Costello のアルバム『Spike』や『Mighty Like A Rose』『Blood & Chocolate』などに参加している。

また、Susanna 自身、Costello が昨年行なった The Revolver Tour で The Bangles として登場し、The Bangles がカバーした『Tear Off Your Own Head (It's A Doll Revolution)』を The Imposters のメンバーと披露していた。

そんな、よく知るメンバーたちに囲まれたことも、この『Someday』がとても肩の力が抜けた感じに聴こえる理由のひとつなのだろう。

曲によってはサックスやバイオリン、チェロなども使われ、雰囲気は The Bangles 時代よりも前の1970年代や1960年代を感じる曲もある。ここら辺は Matthew Sweet と組んで作った『Under The Covers』シリーズの影響だろうか。The Bangles としての新作『Sweetheart Of The Sun』で Susanna はバンドのひとりとして貢献していたが、この『Someday』では Susanna としてやりたいことを満喫しているようだ。

昨年は The Bangles として新作をリリース。今年はソロとして久々の新作をリリース。こうなると次は Matthew Sweet との『Under The Covers』シリーズの1980年代版だろうか…? 1960年代の曲をカバーした Vol.1 と、続く1970年代の曲をカバーした Vol.2 が今度は聴きたくなった。

Someday
November Sun
Always Enough
Picture Me
One Day
Holding My Breath
All I Need
Raining
Regret
This Is The Place
True

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