Sheena Easton／『Madness, Money And Music』

Sheena Easton が1982年にリリースした通算3枚目のスタジオ・アルバム『Madness, Money And Music』も edsel レーベルから、前作『You Could Have Been With Me』との2枚組でリイシューされ、これで入手の難しかった Sheena の EMI 時代のアルバムが今回のリイシューで、かなり揃えることができた。

デビュー盤の『Take My Time』から続く Christopher Neil のプロデュースは、この『Madness, Money And Music』で終わり。この後、Sheena はアメリカ市場に、より重点を置いたアルバムつくりになり、イギリスの雰囲気を感じるアルバムは、これが最後でもあった。

オリジナルの LP がリリースされた1982年、ジャケットに写る Sheena が、それまでの2枚のアルバムより温和な表情であったことでも好きな『Madness, Money And Music』だが、それ以上に LP 時代のA面にはスローな曲とアップテンポな曲が交互に並び、Sheena の成長したボーカルが聴きどころなアルバムだった。

3曲目の『I Wouldn't Beg For Water』は、その中でも特に好きなバラード。Sheena の澄みきった高音が聴ける、とてもいい曲。

アップテンポな曲の『Are You Man Enough』は、デビュー曲の『Modern Girl』も思い起こさせ、このアルバムでお気に入りな曲のひとつだった。

『I Wouldn't Beg For Water』と『Machinery』の2曲はシングル・カットもされ、『Machinery』は英米のチャートでそれぞれ最高38位と57位をマーク。『I Wouldn't Beg For Water』はアメリカのアダルト・コンテンポラリー・チャートで最高19位まで上昇した。

LP 時代のB面にある6曲はシングルにこそならなかったが、アルバム・タイトル曲の他に、『Wind Beneath My Wings』『In The Winter』というバラードのカバーで、いい曲も揃っていた。

『Wind Beneath My Wings』は後に Bette Midler も1989年にカバーをして全米チャートで No.1 を記録した曲で、Sheena のバージョンもまた素晴らしく、『Madness, Money And Music』の隠れた名曲のひとつ。『In The Winter』のオリジナルは Janis Ian が1975年にリリースしたシングルで、やはり Sheena のバージョンもまた素晴らしい曲に仕上がっていた。

そして、タイトル曲の『Madness, Money And Music』も忘れられがちだが、このB面トップを飾る曲での Sheena の迫力のボーカルは、このアルバムのハイライトの1つ。

今回の edsel からのリイシューではイギリス仕様の12曲に加えて、『Are You Man Enough』『Machinery』『I Wouldn't Beg For Water』のB面でしか聴けなかったアルバム未収録もボーナス曲で追加されている。

前回、2000年の One Way Records からのリイシュー盤も、この3曲はボーナス曲にあったが、アルバムはアメリカ仕様の10曲で、イギリス版での各面最後の2曲『I Don't Need Your Word』『Please Don't Sympathise』が外れ、曲順にも変更があり、ポップな『Machinery』でいきなり始まるかたちだった。

Madness, Money And Music
Weekend In Paris
Are You Man Enough
I Wouldn't Beg For Water
Machinery
Ice Out In The Rain
I Don't Need Your Word
Madness, Money And Music
There When I Needed You
Wind Beneath My Wings
You Do It
In The Winter
Please Don't Sympathise
【Bonus Tracks】
Some Of Us Will
Loner
So We Say Goodbye

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