Boz Scaggs／『Memphis』：洋楽 ga 好き！

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Boz Scaggs／『Memphis』 [CD] [編集]

Boz Scaggs も、この春の新譜が気になっていたアーティストのひとりで、今回のスタジオ・アルバムは2曲の新曲以外は全てカバー。こういったかたちのアルバムは今、Boz 以外にも多くのアーティストが行なっているが、Boz は1997年にリリースしたスタジオ・アルバム『Come On Home』でも同様のことを既に行なっていた。

今回の『Memphis』では Boz の周辺に Ray Parker Jr. (g)、Steve Jordan (dr)、Willie Weeks (b) を配置。この4人を中心にして曲によってオルガンやピアノ、ホーン、ストリングス、バック・ボーカルがそれぞれ加えられている。(この曲によって変化する4人以外のプレイがまた、いい雰囲気を醸し出している)

新曲2つがアルバムの最初と最後を飾り、そのあいだの10曲がカバーという構成の『Memphis』。そのカバーの多くは1960年代後半以降の曲だが、それ以外にトラディショナルな1920年代の『Corrina, Corrina』、前回の『Come On Home』でもカバーした Jimmy Reed の曲で1950年代の『You Got Me Cryin'』という、古めの曲も取り上げている。

この『Memphis』を最初に聴いたときは、巷で言われているほど好印象に感じなかったが、二度三度と繰り返し聴くうち、曲によって加えられた4人の中心メンバー以外のプレイが、いい感じのアクセントになっていることに気づき、Boz のこれらカバーを歌う息遣いが、より面白く聴けるように変化してきた。

カバーされた曲の中には、Steely Dan の1973年にリリースされた2ndアルバム『Countdown To Ecstasy』にある『Pearl Of The Quarter』という、ちょっと珍しい曲もある。

Steely Dan のカバーというのは、それも初期のまだバンドとして活動していた頃の曲のカバーは意外に思ったが、最近の Boz は Donald Fagen らと活動し、ツアーも行なっている。そんな繋がりから、Steely Dan の曲を選ぶということになったのだろうか？

さらに、その Fagen らとの活動では自らの過去の曲をプレイするのではなく、この『Memphis』にあるような自らのルーツに繋がる曲を選び、ステージで披露している。そんな近況を経て、この新作『Memphis』は届けられた。

そういう意味では1997年に作られたカバー曲中心のアルバム『Come On Home』と今回の『Memphis』は、Boz にとって意味の異なる2つのアルバムなのかもしれない。

『Come On Home』のプロデュースは Boz が自ら担当したが、『Memphis』ではドラムを叩いた Steve Jordan が務め、Jordan はアルバムのミックスにも関わっている。

『Come On Home』をリリースしたときの Boz は50歳を少し過ぎた頃で、今回の『Memphis』をリリースした Boz は70歳が目前。より、こういったカバー曲が似合うようになった Boz だが、今回の2つの新曲がいい曲なだけに、もっと新曲を聴きたい気持ちも、この『Memphis』を聴いて思った。

Memphis

Gone Baby Gone
So Good To Be Here (by Al Green, 1973)
Mixed Up, Shook Up Girl (by Mink Deville, 1977)
Rainy Night In Georgia (by Tony Joe White, 1969)
Love On A Two Way Street (by Lezli Valentine, 1968)
Pearl Of The Quarter (by Steely Dan, 1973)
Cadillac Walk (by Mink Deville, 1977)
Corrina, Corrina (by Charlie McCoy and Bo Chatman, 1929)
Can I Change My Mind (by Tyrone Davis, 1968)
Dry Spell (by The Meters, 1970)
You Got Me Cryin' (by Jimmy Reed, 1958)
Sunny Gone