ZZ Top／『Greatest Hits』

1969年にテキサス州ヒューストンで結成され、以来、ギターの Billy Gibbons、ベースの Frank Beard、そしてドラムの Dusty Hill の3人で、一度のメンバー・チェンジもせずに活動を続けてきている ZZ Top が1992年にリリースしたのが、この18曲を詰め込んだ『Greatest Hits』だ。

ここには中盤に2曲の新曲『Viva Las Vegas』『Gun Love』を収録。この2曲に挟まれた『Doubleback』は、1990年に公開された映画『Back To The Future Part III』でも使われ、スタジオ・アルバムは同じ年の秋にリリースされた通算10枚目の『Recycler』のラストにも収録された。

今回、この『Greatest Hits』を引っ張り出してきたのは、6月に ZZ Top も過去のスタジオ・アルバム10枚をボックスに収めた『The Complete Studio Albums (1970-1990)』をリリースすることが明らかになったからだ。

このボックスには1971年のデビュー盤『First Album』から1990年の『Recycler』まで全てのスタジオ・アルバム10枚を完全収録。そして、Rhino の発表によると『Tres Hombres 』『Tejas』の2枚はゲートフォールド仕様のアートワークを再現、『First Album』と『Rio Grande Mud』『Tejas』の3枚のスタジオ・アルバムは初 CD 化されるとあった。

今現在、amazon でも取扱いがあるが、Van Halen や Green Day、Eagles らのボックスに比べると価格差があり過ぎ。だが、amazon はちょこちょこ変動があるので、リリース間近になると、ぐっと安くなるかもしれない。

そのボックスに期待をしつつ、この18曲入りの『Greatest Hits』を聴いているが、このベスト盤は選曲が、やや1980年代中盤以降にリリースされた『Eliminator』『Afterburner』『Recycler』の3枚に偏っていて、この3枚から10曲が選ばれている。

この10曲と新曲の2曲を除く残り6曲が1981年の『El Loco』以前のスタジオ・アルバムからの曲で、1970年代の頃の曲が少ないのが、このベスト盤の欠点だが、それも『The Complete Studio Albums (1970-1990)』のリリースで、ぐっと敷居が低くなって聴けるようになるだろう。

このような格安ボックスを CD の低価格化として懸念する向きもあるが、個人的には過去に何百万枚ものセールスを記録したアルバムが、こうしてまとめて一気に聴けるようになるのはとてもありがたい。

一枚ずつのアルバムを正確にアートワークも復刻してリイシューする手もあるが、そうするとアルバムごとに売行きに差が出るのも確実。ならば、初期のあまり知られていないアルバムらと一緒に、ビッグ・セールスを記録したアルバムを詰め込んだボックスにして、それを低価格で提供することが、これから ZZ Top を聴いてみようという初心者には手軽に感じてもらえるだろうし、暫く ZZ Top から離れていた方には、一連のスタジオ・アルバムをまとめて手に入れる、いい機会にもなるだろう。

また、これで ZZ Top を再び好きになり、昨年リリースの最新作『La Futura』のセールスに結びつくかもしれない。

低価格化に歯止めがかからないと不安な声を挙げるより、なかなか手に入らない古いアルバムが、こんな安くまとめて手に入るというメリットがより大きいボックス化なので、今後も旧譜リイシューのひとつの方法としてこのボックス化を、もっと積極的に活用して欲しいところだ。

Greatest Hits
Gimme All Your Lovin'
Sharp Dressed Man
Rough Boy
Tush
My Head's In Mississippi
Pearl Necklace
I'm Bad, I'm Nationwide
Viva Las Vegas
Doubleback
Gun Love
Got Me Under Pressure
Give It Up
Cheap Sunglasses
Sleeping Bag
Planet Of Women
La Grange
Tube Snake Boogie
Legs

タグ：ZZ top 1992

コメント 2

なるほど、低価格BOXに否定的な意見もあるんですね。
個人的な意見ではこうしたBOXを今更買う層は熱心なファン以外なハズですから新たなファン獲得のメリットも売り手側にはあると思います。でも熱心なファンは昔大枚をはたいてコツコツ集めたアルバムがこんなに簡便に入手できてしまう事には抵抗があるかも知れませんね…
by mangohboy (2013-05-16 20:40) 

初期のアルバムはオリジナル・ミックスでの初CD化というアピールもあるので、決して新たなファン向けだけではなく、これまでのファンにも、今回のボックスは魅力に映ると思います。
既に何枚かアルバムを持っている方にも、なかなか聴けなかった初期のアルバムが聴ける機会だし、重複するアルバムがあっても、やっぱり価格次第じゃないでしょうか。
ここにある10枚をバラ売りにして1枚2500円前後では、いくらアピールポイントがあっても二の足を踏むでしょうが、それが3～4000円前後で10枚揃うなら絶対お薦めと、個人的には思います。こういうかたちでの低価格化は賛成ですね！
by MCMLXV_65 (2013-05-17 14:19)