Bon Jovi／『The Circle』

11月にリリースされたばかりの Bon Jovi の通算11枚目のアルバム『The Circle』。手元に届いたのは12月に入ってすぐだったが、つい先日までじっくり聴く機会がなかった。いつもなら Bon Jovi の新譜はリリースと同時に手に入れて何度も聴いてきたのだが、この『The Circle』はなぜかすぐに聴きたい! という思いが少なかった。

アメリカではリリース直後のチャートで初登場 No.1 を記録。しかし、2週目にはいきなり Top10 圏外の19位へと急降下。まるで、どこかの国のアルバム・チャートと同じで発売週の初回出荷枚数だけが多く、アルバムが持つ本来の人気とかけ離れたチャート・アクションだった。

1stシングルにもいつもの Bon Jovi らしさが感じられなかったこともあって、すぐに聴いてみたい! という欲求が以前のアルバムほど高まらなかった。

しかし! だ。アルバム・トップの『We Weren't Born To Follow』は PV などでメロディを聴いていたこともあって、ようやく耳に馴染んできた感じだったが、5曲目の『Bullet』から9曲目の『Love's The Only Rule』は、初めて聴いたにも関わらず「これはいいんじゃない…?!」と感じてしまった。

「～しまった」と書いてしまった(また!)が、この5曲はお世辞ではなく『The Circle』にある12曲の中で一番の聴きどころの5曲だと思う。

メンバーの Richie Sambora はこの『The Circle』をロックンロールに戻ったアルバムだと説明しているが、その言葉どおり Richie Sambora のギターは前作『Lost Highway』よりロック寄りな趣きがある。

だが、もっとロックンロールなアルバムにするなら Tico Torres のドラムをもっと前面に押し出したサウンドにすべきだとも感じた。Tico のドラムがちょっと弱い感じがして、この点が今ひとつ『The Circle』をロックンロールなアルバムに至らしめていないようにも感じた。

『The Circle』のプロデューサーには Jon Bon Jovi と Richie Sambora の他に John Shanks という名前があるが、この John Shanks はここ最近のヒット・チャートを賑わすヒット曲でよく名前を見かける、いわゆる売れ線な音作りをするプロデューサーだ。

Bon Jovi とは2005年のアルバム『Have a Nice Day』の頃から付き合いがあり、同曲の他にも前作『Lost Highway』のタイトル曲のソングライターにも名前が登場する。John Shanks が絡んだアーティストは Sheryl Crow、Kelly Clarkson、Hilary Duff、Backstreet Boys、Jessica Simpson、Take That など様々で、ヒット曲のプロデュースには今や引っ張りだこな存在だ。

しかし、Richie Sambora が言うようなロックンロール向きのプロデューサーかといえば、今までの参加アルバムや曲を見る限り、ポップな曲作りは得意だが、ロックンロール向きではないように思う。

かつて、Bruce Fairbairn や Bob Rock をプロデュースに迎えていた頃より、マイルドな曲に感じてしまうのは、この John Shanks というプロデューサーの人選にも影響があるのではないだろうか…?

そこそこキャッチーないい曲がある『The Circle』だが、もう一度、スカっと突き抜けた爽快な Bon Jovi らしい曲が聴きたい! という欲求が募るアルバムだ。

『The Circle』
We Weren't Born To Follow
When We Were Beautiful
Work For The Working Man
Superman Tonight
Bullet
Thorn In My Side
Live Before You Die
Brokenpromiseland
Love's The Only Rule
Fast Cars
Happy Now
Learn To Love

タグ：Bon Jovi 2009