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Bruce Springsteen/『Tracks』 [CD]

Tracks.jpgBruce Springsteen の1978年のアルバム『Darkness on the Edge of Town』の豪華盤が輸入盤では早くもショップに並び、その中身が YouTube でも公開されているが、過去に Bruce は大量の未発表曲を収めたボックス仕様のアルバムをリリースしている。

1998年にリリースされた4枚組の『Tracks』は全米チャートで最高27位を記録し、このボリュームにも関わらずアメリカだけでも100万枚のセールスを記録した。この『Tracks』には18曲を収めた簡略盤の『18 Tracks』も約半年後の1999年4月にリリースされた。

Bruce のアルバムで複数枚を収めたボックスは1986年にリリースされた LP で5枚組の『Live/1975-85』もあった。こちらはこのボリュームにも関わらず全米チャートに No.1 で初登場し、5枚組のアルバムが Top10 にマークされるという史上初の快挙も達成した。1986年暮れから1987年にかけて7週間連続 No.1 に居座った『Live/1975-85』はアメリカだけで130万枚以上のセールスも記録した。

その『Live/1975-85』に匹敵するボリュームの『Tracks』には未発表曲55曲にシングルB面曲など10曲のアルバム未収録曲を加えた合計66曲が収められていた。

『Tracks』のライナーノーツに書かれた Bruce 自身のコメントによると、『Darkness on the Edge of Tow』や『Nebraska』、『The Ghost of Tom Joad』では曲を選択することでアルバムの主体性を明確にしたとある。このコメントを反対に捉えると、アルバムのコンセプトに合わない曲はその選択から漏れ、結果として大量の未発表曲が生まれる原因にもなったわけだ。

1978年のアルバム『Darkness on the Edge of Town』は今回豪華ボックス仕様として改めてリリースされ、その中にはこのアルバムのセッションで作られた22曲を収めた2枚組の『The Promise』というアルバムもあるが、4枚組の『Tracks』にも『Darkness on the Edge of Town』のレコーディングでのアウトテイクが5曲収められていた。

『Tracks』ではデビュー以前の CBS Studios でのセッションに始まり、この当時の最新アルバムである『The Ghost of Tom Joad』に到るスタジオ・アルバムのレコーディングで没になった曲がほぼ年代順に並べられていた。

『Darkness on the Edge of Town』以外のアウトテイクでは『The River』や『Born in the U.S.A.』でのアウトテイクも数多く含まれ、前者は13曲、後者は17曲が収められていた。

この曲数をみると、これだけでアルバム1枚分に相当して普通はアルバムとして世に出ていただろう。だが Bruce はアルバムの主体性に合わないとして、これらを全てお蔵入りにしていた。『Tracks』というかたちで世に出たそれぞれの曲を聴くと曲のクオリティは決して低くなく、シングルとして十分ヒットする可能性を秘めた曲が多かったことには驚かされた。

この『Tracks』では1972年から1977年の未発表曲を収めた Disc1 と、それ以降から1983年頃の未発表曲を収めた Disc2 が特に好きだった。『Darkness on the Edge of Town』から『The River』や『Born in the U.S.A.』にかけてレコーディングされた曲はどれも素晴らしく、この頃の Bruce の曲作りへの情熱は凄まじいものだったことが窺い知れる内容だった。

『Born in the U.S.A.』のアウトテイクは Disc3 も続き、The E Street Band と袂を分かち、Bruce 個人名義で発表された『Tunnel of Love』や『Human Touch』、『Lucky Town』のアウトテイクへと続く。この頃の曲は曲ごとにミュージシャンを変えてレコーディングをしていた為、 The E Street Band のようなバンドとしての一体感は残念ながら薄れているように感じられた。

総時間で4時間を超える『Tracks』は簡単に聴くことのできないアルバムで、今では滅多に最初から通して聴く機会が少なくなってしまった。だが『Darkness on the Edge of Town』の豪華盤のリリースを間近に控え、改めて聴いてみた印象はやはり素晴らしいという言葉に尽きると思う。

Bruce の未発表曲が聴けるのはこの『Tracks』と『Darkness on the Edge of Town』の豪華盤で2回目になるが、この先もアルバム単位での未発表音源発掘はあるのだろうか。『Tracks』では『The River』や『Born in the U.S.A.』での音源が多数取り上げられたので、あるとすればそれ以外のアルバムになるのか? それを考えるのもまたとても楽しみだ。

Tracks
Disc1
Mary Queen Of Arkansas
It's Hard To Be A Saint In The City
Growin' Up
Does This Bus Stop At 82nd Street?
Bishop Danced
Santa Ana
Seaside Bar Song
Zero and Blind Terry
Linda Let Me Be The One
Thundercrack
Rendezvous
Give The Girl A Kiss
Iceman
Bring On The Night
So Young And In Love
Hearts Of Stone
Don't Look Back
Disc2
Restless Nights
A Good Man Is Hard To Find (Pittsburgh)
Roulette
Dollhouse
Where The Bands Are
Loose Ends
Living On The Edge Of The World
Wages Of Sin
Take 'em As They Come
Be True
Ricky Wants a Man Of Her Own
I Wanna Be With You
Mary Lou
Stolen Car
Born In The U.S.A.
Johnny Bye-Bye
Shut Out The Light
Disc3
Cynthia
My Love Will Not Let You Down
This Hard Land
Frankie
TV Movie
Stand on It
Lion's Den
Car Wash
Rockaway The Days
Brothers Under The Bridges ('83)
Man At The Top
Pink Cadillac
Two For The Road
Janey, Don't You Lose Heart
When You Need Me
The Wish
The Honeymooners
Lucky Man
Disc4
Leavin' Train
Seven Angels
Gave It A Name
Sad Eyes
My Lover Man
Over The Rise
When The Lights Go Out
Loose Change
Trouble In Paradise
Happy
Part Man, Part Monkey
Goin' Cali
Back In Your Arms
Brothers Under The Bridge



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コメント 2

seawind335

確かにアウトテイクといっても、単にアルバムコンセプトと合わなかったと言う理由であれば、曲のクオリティに問題はないですよね。中途半端に、ボーナストラックにするよりはこちらの方が正論ではないかと・・・
by seawind335 (2010-11-25 00:30) 

MCMLXV_65

そうなんですよ。アルバムのコンセプトに合わないだけなので、アウトテイクなんですが楽曲のクオリティは同時代にもしシングル・カットされていてば…なんて曲が、この4枚組にはゴロゴロあるんですよね。

Bruceのアルバムは過去にCDとしてリイシューされましたが、そこにボーナス曲の追加は一切なくアナログ時代の曲数のまま。そして今度出る豪華盤以外にはこの4枚組でしか未発表曲は聴けないので、まだまだいい曲は隠れていると思われます。^^
by MCMLXV_65 (2010-11-25 00:49) 

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