The Jam／『The Jam at the BBC』

イギリス BBC でのライブ音源を収めたアルバムは、Paul Weller も『Weller at the BBC』というタイトルで2008年にリリースしているが、その Paul Weller が1970年代後半から1980年序盤に属していた The Jam も2002年に『The Jam at the BBC』というアルバムをリリースしている。

『The Jam at the BBC』は2002年5月21日にリリースされたが、同じ日に26曲入りのベスト盤『The Sound of The Jam』もリリースされた。『The Jam at the BBC』はリリース当時3枚組で、限定のボーナス・ディスクにはロンドンの Rainbow Theatre でのライブ18曲がまるまる1枚のディスクに収められていた。

収められた音源を順番に辿っていくと最初のディスクは1977年、John Peel の番組に4月と7月の2回出演したときの模様と、6月にロンドンの Paris Theatre で行われたライブ10曲を収録。2枚目のディスクには1979年10月の John Peel の番組と、1981年の Studio B15 でのライブ、そして1981年暮れにロンドンの Hippodrome Theatre で行われたライブ12曲を収録している。

最初のディスクにある1977年4月下旬の音源はまだ1stアルバム『In The City』がリリースされる1か月前で、同名のシングルもまだリリースされる直前の頃のライブ。同じ年の11月にリリースされる3rdシングルの『The Modern World』が早くもこのときに披露されている。

1977年7月に再び John Peel の番組に出演したときは、2ndシングル『All Around The World』のリリース直前。この頃はまだ2ndアルバム『This Is The Modern World』のリリース前だったが、このアルバムにある『London Girl』をいち早くプレイしている。

1枚目のディスク後半に収められた Paris Theatre でのライブはデビュー・アルバムのリリース直後。だが、そのデビュー盤からの曲は少なく、1978年11月にリリースされる3rdアルバム『All Mod Cons』に収録される『Billy Hunt』や『'A' Bomb In Wardour Street』がこの時に早くもプレイされている。

2枚目の初めにある John Peel の番組出演時の音源は4枚目のアルバム『Setting Sons』のリリース直前で、同アルバムから3曲をプレイ。1981年10月の Studio B15 でのライブはシングル『Absolute Beginners』がリリースされた頃で、メンバーとのインタビューも挟み込まれ、アルバムに未収録の曲ばかりをプレイしている。

2枚目のディスク後半、Hippodrome Theatre でのライブの頃はまだ最後のアルバム『The Gift』がリリースされる3か月前だが、この『The Gift』から『Ghosts』や『Precious』、『Circus』に混じってシングル・ヒットした『Start!』や『Town Called Malice』などもプレイされている。

そして注目の『The Jam at the BBC』のリリース当時だけにボーナス・ディスクとして付いていた3枚目には『Setting Sons』リリース1か月後に地元ロンドンの Rainbow Theatre で行われたライブが収められ、『Setting Sons』のオープニングと同じ『Girl On The Phone』でこのライブは始まる。『Setting Sons』とその前のアルバム『All Mod Cons』から多くの曲がプレイされ、曲間には Paul Weller の MC もたくさん入っている。寡黙な印象のある Paul Weller がこれだけ喋っているのが珍しいと思えるライブだ。

The Jam のライブ盤はこの BBC での音源を集めた『The Jam at the BBC』の他に、1982年には『Dig The New Breed』が、1993年には『Live Jam』がリリースされている。しかし、この2枚は多くの会場から音源が集められ、『The Jam at the BBC』に比べると寄せ集め的な印象が強い。

『Live Jam』には『The Jam at the BBC』のボーナス・ディスクに収録された Rainbow Theatre での12月3日のライブが9曲あり、また1枚目のディスク後半にある Paris Theatre での1981年12月の音源が6曲収録されている。いずれはこの『Live Jam』にある音源も完全盤としてリリースされるかもしれない。

BBC での音源はどれもアルバムに収録されたバージョンよりハードにプレイされ、アルバムでは徐々に洗練されたサウンドになる The Jam だが、この『The Jam at the BBC』で聴けるサウンドは3ピースのロック・バンドの音で、アルバムの印象とはかなり異なる。だが、これが The Jam のサウンドの本質ではないかと思う。それをこの『The Jam at the BBC』にボーナスとして付けられた3枚目のディスクのジャケットが物語っている。

The Jam at the BBC
【Disc 1】
John Peel - Rcorded 26/04/1977
In The City
Art School
I've Changed My Address
The Modern World
John Peel - Rcorded 19/07/1977
All Around The World
London Girl
Bricks And Mortar
Carnaby Street
'In Concert' 01/06/1977 at the Paris Theatre, London
Billy Hunt
In The Street Today
The Combine
Sounds From The Street
Don't Tell Them You're Sane
The Modern World
'A' Bomb In Wardour Street
News Of The World
Here Comes The Weekend
All Around The World
【Disc 2】
John Peel - Rcorded 29/10/1979
Thick As Thieves
The Eton Rifles
Saturday's Kids
When You're Young
Studio B15 Live 25/10/1981
Absolute Beginners
Tales From The Riverbank
Funeral Pyre
Sweet Soul Music
'In Concert' 19/12/1981 at the Hippodrome Theatre, Golders Green
The Gift
Down In The Tube Station At Midnight
Ghosts
Absolute Beginners
Tales From The Riverbank
Precious
Town Called Malice
In The Crowd
Circus
Pretty Green
Start!
Boy About Town
【Limited Edition Bonus Disc】
'In Concert' 04/12/1979 at the Rainbow Theatre, London
Girl On The Phone
To Be Someone (Didn't We Have A Nice Time)
It's Too Bad
Burning Sky
Away From The Numbers
Smithers-Jones
The Modern World
Mr. Clean
The Butterfly Collector
Private Hell
Thick As Thieves
When You're Young
Strange Town
The Eton Rifles
Down In The Tube Station At Midnight
Saturday's Kids
All Mod Cons
David Watts

タグ：ライブ盤 the jam 2002 Paul Weller

コメント 2

私の The Jam との出会いは、「In The City」のLive映像だったと思います。
by seawind335 (2010-12-26 21:15) 

『In The City』のLive映像がThe Jamと最初の出会いだったとは衝撃だったのではないですか…? 私が『In The City』のPVを見たのはかなり後でしたが、映像がない音だけでも引込まれるのに十分な魅力がありましたね。デビュー・シングルの『In The City』、リアルタイムに聴いてみたかったです。＾＾；
by MCMLXV_65 (2010-12-26 22:31)