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Cheap Trick/『Standing On The Edge』 [CD]

Standing-on-the-Edge.jpgここ数日は Cheap Trick のアルバムを、オリジナルのスタジオ・アルバムに始まり、ベスト盤やライブ盤など順不同で聴いている。スタジオ・アルバムは1980年代序盤のいわゆる低迷期と呼ばれる頃のアルバムを手に入れたこともあって繰り返し聴いていて、この頃のアルバムは当時低い評判だったが、改めて聴くとなかなかいいアルバムに思える。

この1985年にリリースされた通算8枚目のスタジオ・アルバム『Standing On The Edge』もタイトルに「崖っぷち…」なんて言葉があるから悲壮感の漂うアルバムかと思いきや、デビュー盤のプロデュースやメジャー・ヒットを記録した『At Budokan』に関わった Jack Douglas を再びプロデューサーに迎え、ハードな路線のサウンドに再び回帰した、なかなかいいアルバムになっている。

その効果があってか、前作『Next Position Please』は全米チャートで最高61位止まりだったが、この『Standing On The Edge』は最高35位まで上昇と、チャート上の結果だけを見ると復調の兆しも表れていた。

1980年代の Cheap Trick は『Roadie』や『Heavy Metal』という映画のサウンドトラックに曲を提供し、前作から『Standing On The Edge』までの間にも2本の映画に曲を提供していた。『Standing On The Edge』の後には映画『Top Gun』にも『Mighty Wings』という Cheap Trick らしい疾走感のある曲を提供している。

そんな単発のシングルをリリースしていた Cheap Trick が『Standing On The Edge』からは『Tonight It's You』を1stシングルとしてカットした。この曲は全米のシングル総合チャートは最高44位だったが、ロック系チャートでは最高8位まで登り詰める久々のヒットを記録と、同チャートではアルバム『One On One』からの『If You Want My Love』の11位以来となる好結果を記録した。

だが、この『Standing On The Edge』にはそれまでの Cheap Trick のアルバムになかったことが表れた初めてのアルバムだった。それはメンバー以外の外部ライターの曲作りへの積極的な関与だった。

『Standing On The Edge』の制作には Aerosmith のライブにキーボードで参加したり、Dave Edmunds に曲を提供していた Mark Radice が参加し、1stシングルの『Tonight It's You』を含め8曲と、アルバム収録曲のほぼ全てにクレジットされるほど、このアルバムでの曲作りに関わった。

これにはバンドが売れる頃、売れない頃を問わず曲を作り続けてきた Rick Nielsen や他のメンバーはどう思ったのだろう。復調の兆しが見えた『Tonight It's You』には Mark Radice に加えてベースの Jon Brant の名前もクレジットされ、今までの曲作りと違う方法を考える必要に迫られていたのかもしれない。

旧知のプロデューサー Jack Douglas と外部ライター Mark Radice の起用でハード・ロックな面を取り戻した『Standing On The Edge』だが、『Rock All Night』や『Wild Wild Women』はもろに Def Leppard の曲のような雰囲気があり、これにはやり過ぎな感じもした。

Jack Douglas のこのアルバムでの関与は計画より少なくなり、代わりにミキサーとしてクレジットされた Tony Platt が『Standing On The Edge』の制作に大きく関わったとされている。Jack Douglas は John Lennonの『Double Fantasy』のプロデュースを手掛け、同アルバムにある『I'm Losing You』のデモでは Cheap Trick のメンバーも参加していた。そしてこの『Double Fantasy』を巡って Jack Douglas は法的トラブルに巻き込まれ『Standing On The Edge』のプロデュースから退いてしまったともされている。(Tony Platt は次のアルバム『The Doctor』で正式にプロデューサーに昇格する)

Tony Platt の『Standing On The Edge』でのミキシングはやや過剰な面もあり、ドラムの音はいかにも1980年代という感じの大きなエコーや、シンセ・ドラムみたいな音に処理され、これにはドラムの Bun E. Carlos も異を唱えていたらしい。

前作『Next Position Please』より『Standing On The Edge』が今となっては好きなアルバムだが、このアルバムがリリースされた1985年当時はジャケットの表に写るメンバーもおぼろげで、危機感を募らせるタイトルと共に、Cheap Trick もいよいよメジャー契約を切られるか? と心配した記憶が今でも鮮明だ。

『One On One』と『Next Position Please』と同じく長いこと廃盤状態だった『Standing On The Edge』は今回 Sony 系のマイナー・レーベルからリイシューされた。リマスターの表記はないが音圧が上がっているとの評価もあり、ボーナス曲として『Tonight It's You』のシングル・バージョンが追加されている。

Standing-on-the-Edge.jpgStanding On The Edge
Little Sister
Tonight It's You
She's Got Motion
Love Comes
How About You
Standing On The Edge
This Time Around
Rock All Night
Cover Girl
Wild Wild Women
タグ:Cheap Trick 1985


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