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TOTO/『Tambu』 [CD]

tambu.jpgJeff Porcaro が亡くなり、一時はバンドとしての存続が危ぶまれた TOTO は、後任のドラマーに Simon Phillips を迎えて新生 TOTO の第1弾『Tambu』を1995年にリリースした。

『Tambu』のジャケットにあるイラストはサンフランシスコ出身のコミック作家 Dan Brereton が描いたもので、ブックレットにある新生 TOTO 4人のメンバーのポートレイトも同氏が描いていて、とても特徴をよく捉えていた。

近々 Mike Porcaro の闘病支援を目的に一時的に再結成した TOTO が来日するが、それに合わせて『Kingdom Of Desire』からこの『Tambu』を含め、『XX 1977-1997』と Bobby Kimball がボーカルに復帰した『Mindfields』の4枚が紙ジャケット仕様でリイシューされる。

この4枚は現在廃盤状態で入手が難しいアルバムで中古ショップではとても安く陳列されているが、『Tambu』も久しぶりに聴くと、なかなかいい曲が揃っているアルバムだった。

『Tambu』のトップを飾る『Gift Of Faith』は Steve Lukather のギターが全編にわたってフューチャーされた曲だが、曲の終盤は少しまとまりのない展開に聞こえ、「大丈夫か、新生 TOTO ?」とも感じてしまう曲だった。しかし、2曲目のシングル・カットされた『I Will Remember』は Luke のボーカルがしっくりとくるバラードで、David Paich が弾くピアノの音もとても綺麗の曲になっていて、これは前作『Kingdom Of Desire』にはなかったタイプの曲だった。

3曲目の『Slipped Away』は 新加入の Simon が作詞作曲で参加した初めての曲で、『I Will Remember』とこの曲は Tom Petty & The Heartbreakers のドラマーで以前に Don Henley にも曲を提供してきた Stan Lynch が曲作りに参加した曲だった。

続く『If You Belong To Me』は Paich が主導したアダルト・コンテンポラリーな曲で、ボーカルは Luke だが Paich でも良かったのではとも思える曲。この曲では Simon のゆったりとしたドラムも印象的だ。

『Baby He's Your Man』もアダルト・コンテンポラリーな雰囲気で、ボーカルは『Kingdom Of Desire』にも参加した Jenny Douglas McRae が Luke と分け合っていた。TOTO の曲でふたりがボーカルなのはとても珍しかった。またこの曲は Michael Jackson の1987年のヒット曲『I Just Can't Stop Loving You』をデュエットした Siedah Garrett が作曲面で参加した曲だった。

中盤の『The Other End Of Time』は通算6枚目のアルバム『Fahrenheit』に収録の『I'll Be Over You』を書いた Randy Goodrum が再び Luke をボーカルをメインに据えて書いた曲で、この曲では Luke のキーボード・プレイが聴ける。

アルバムの折り返し点にある『The Turning Point』は意味深なタイトルだと感じた曲で、新生 TOTO の4人と Stan Lynch の5人で作られた曲。この曲では Luke と『Baby He's Your Man』で登場した Jenny、そして Paich の3人がボーカルを担当していた。

久々に Luke の弾くギターで始まる『Time Is The Enemy』では The Tubes のボーカルで Richard Marx にデビュー時から曲を提供してきた Fee Waybill が曲作りに参加していた。実に久しぶりに Luke のギター・ソロがある曲で、終盤に登場するギター・ソロで曲はフェードアウトしていく。

9曲目の『Drag Him To The Roof』はこのアルバムに珍しいややハードでスピード感のある曲。中盤では Luke のギターと Simon のドラム、Paich のキーボードが絡みつくようなバトルがあり、このアルバムのハイライトにもなっていた。終盤にある Paich と Luke と続くソロ・プレイも聴きどころだ。

10曲目の『Just Can't Get To You』は Michael Jackson や Aerosmith、Alanis Morissette らに曲を書いてきた Glen Ballard が曲作りに参加した曲で、中盤では温か味のある Paich のハモンド・オルガンや、Luke が弾くアコースティック・ピアノが爽やかな印象をこの曲に与えていた。

そして Mike Porcaro と Simon が作曲面で関わったこのアルバム唯一のインストルメンタル『Dave's Gone Skiing』では Luke の弾くギターと Paich の流麗なキーボードがメインで、そのふたりを支える Mike と Simon のプレイにも注目だ。

アルバムを締め括る Paich がストリングス・アレンジを手掛けた『The Road Goes On』では Glen Ballard が曲作りに再び関わっていた。ストリングスやキーボードの澄んだ音と、Jenny を含むバック・コーラス、そして Luke の弾くギターが徐々に曲に厚みをもたらしていく構成がいかにも Glen Ballard らしい。

カナダ版と日本版の『Tambu』にのみ『Blackeye』というボーナス曲が追加され、この曲は『Baby He's Your Man』でもボーカルを披露していた Jenny がリード・ボーカルを担当していた。The Beatles の『Come Together』に似たメロディが飛び出すこの曲はおそらく TOTO のメンバーとのお遊びで出来上がった曲ではないだろうか。

前作『Kingdom Of Desire』が Luke 主導のアルバムだった反動からか、『Tambu』では Luke のギターは抑え気味で、キーボードがより前面に押し出されたアルバムになっていた。

『Tambu』は新メンバー Simon の魅力も垣間見えるアルバムで、Porcaro 兄弟で唯一のメンバーとなってしまった Mike との4人で活動を再開させた TOTO だったが、英米のアルバム・チャートでは『Kingdom Of Desire』に続きチャートインを果たせなかった。しかし北欧やオランダでは Top5 に入る動きをみせたアルバムだった。

tambu.jpgTambu
Gift Of Faith
I Will Remember
Slipped Away
If You Belong To Me
Baby He's Your Man
The Other End Of Time
The Turning Point
Time Is The Enemy
Drag Him To The Roof
Just Can't Get To You
Dave's Gone Skiing
The Road Goes On
【Bonus Track】
Blackeye
タグ:1995 TOTO


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コメント 2

jfjpjb

はじめまして。
通りがかりのトトファンです。
知らない情報が一杯で楽しみながら読ませていただきました。

些細なことですが、Drag Him To The RoofとJust Can't Get To Youを間違えてます。
Drag Him To The Roofが9曲目で、
Just Can't Get To Youが10曲目の優しい曲です。
by jfjpjb (2011-03-05 14:00) 

MCMLXV_65

jfjpjbさん、お楽しみ頂いた上に、間違いも指摘して下さいまして、ありがとうございました。仰るとおり曲順が逆でしたネ。書いた曲の印象も「あれれ?」と思い、何度も聴き返してしまいました…。^^; またいろいろとコメントでも頂ければ嬉しく思います。これからもよろしくです。
by MCMLXV_65 (2011-03-05 14:47) 

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