Foo Fighters／『Wasting Light』

前から気にはなっていた Foo Fighters だが、なかなか思い切りがつかず、アルバムを通して聴く機会がこれまでなかった。

今回、前作から3年半ぶりに届けられた通算7枚目のスタジオ・アルバム『Wasting Light』は Foo Fighters として意外にも初の全米アルバム・チャート No.1 を記録し、チャートのトップに立ったのはイギリス、ドイツの欧州各国の他にオーストラリアやニュージランドの南半球でもと、『Wasting Light』の人気は世界中に及んでいる。

Nirvana 時代の Dave Grohl はあまり記憶になく、Foo Fighters を結成して以降の Dave はドラムを Taylor Hawkins に任せてギターとボーカルに専念。Foo Fighters のフロントマンとして活躍する Dave の姿はこれまで PV やライブ映像で度々目にしてきて、そのハードなサウンドは現在のヒット・チャートとは少し相容れない存在にも感じていた。

それが『Wasting Light』でようやく全世界のチャートを席巻し、全米チャートでは初めての No.1 を初登場で記録するという勢いだった。今の全米アルバム・チャートで純粋なロックなアルバムが No.1 になるのはとても珍しいことだ。

この『Wasting Light』では Nirvana のアルバム『Nevermind』をプロデュースした Butch Vig を迎えたが、そのゴリゴリした曲は全て Dave のガレージでレコーディングされたとある。『Wasting Light』の初回版にはそのレコーディングに使われたマスターテープの切れ端も同梱されていたという。

Gorillaz の新作『The Fall』のように iPad とデジタル機器さえあれば音楽が作れてしまうこの時代に Foo Fighters はアナログな作り方を選択し、それが世界中でヒットしたのだから、ロックもまだまだ捨てたもんじゃない。

『Wasting Light』では Butch Vig の功績も大きいと言うが、Garbage というバンドで果たしてきた Butch Vig の役割を考えると確かにそれもあるだろうが、『Wasting Light』の成功は Dave を含めた Foo Fighters というバンドの成熟度が一番の要因ではないだろうか。

Dave と Taylor のふたりにベースの Nate Mendel を中心にして、ふたりのギタリスト Chris Shiflett と Pat Smear が『Wasting Light』にはクレジットされ、ここに収められた11曲は全て Foo Fighters 名義となっている。

フロントマンとして嫌でも目立つ Dave と、その迫力あるスタイルのドラムと厚みのあるボーカルを聴かせる Taylor が Foo Fighters の魅力だが、バンドとして曲を作ったということは Foo Fighters が決して Dave だけのバンドではないことを示している。

ジャケットに貼ってあったステッカーには「Please Play at Maximum Volume」とあった。最大の音量で聴くようにという但し書きをジャケットに見たのは、この『Wasting Light』以外に覚えている限りでは一枚しかない。

『Wasting Light』を楽しむには爆音で聴くのが一番似合っている。もちろんスピーカーを通して聴くのが一番だが、ヘッドフォンで聴くときでも40分ちょっとの時間を周囲に誰もいないことを確認してから爆音で聴くことを『Wasting Light』ではお勧めしたい。

Wasting Light
Bridge Burning
Rope
Dear Rosemary
White Limo
Arlandria
These Days
Back & Forth
A Matter Of Time
Miss The Misery
I Should Have Known
Walk

タグ：2011 FOO FIGHTERS