Electric Light Orchestra／『Balance Of Power』

Electric Light Orchestra (以下、ELO と略)のアルバムは1979年リリースの『Discovery』からリアルタイムで追いかけていたが、この1986年にリリースされた『Balance Of Power』だけは長いこと通して聴いたことのないアルバムだった。

初めて1曲目の『Heaven Only Knows』からオリジナルで最後の曲『Send It』までを聴いたのは2007年に紙ジャケット仕様としてリイシューされたときだった。

『Balance Of Power』は全英チャートでかろうじて Top10 入りとなる9位まで上昇したが、全米チャートでは前作『Secret Messages』にも及ばない最高49位止まりで、これは1973年リリースの3rdアルバム『On The Third Day』の最高52位以来の悪い結果だった。セールスの面でもイギリスでかろうじてシルバー・ディスクを獲得したにとどまった。

この『Balance Of Power』では1975年の『Face The Music』以来、ベースを担当してきた Kelly Groucutt が抜け、リーダーである Jeff Lynne を中心にドラムの Bev Bevan、キーボードの Richard Tandy の3人体制で作られ、ELO のサウンドには珍しいサックスの音も入っていた。

ELO としての活動はこの『Balance Of Power』で一旦終わり、次に ELO としてのアルバムがリリースされるのは2001年の『Zoom』まで待つことになった。

『Balance Of Power』からのシングルは1stシングルに『Calling America』が選ばれ、この曲の PV はフランスのパリにある Centre Georges Pompidou の前で収録され、全英チャートでは最高28位、全米チャートで最高18位を記録と、まずまずの結果を残した。

だが、以降のシングル『So Serious』『Getting To The Point』は全英チャートでそれぞれ77位と97位を記録するに終わった。

この3曲は ELO の多くのベスト盤でもよく耳にした曲で、ELO らしさが残っていた曲だったが、『Balance Of Power』の他の曲にはストリングスを多用した1970年代の雰囲気もなければ、1980年代序盤の『Discovery』や『Time』の頃にあった煌びやかな雰囲気もなく、ELO らしさが感じられなかった。

アルバムの曲に ELO らしさが少なかった『Balance Of Power』だったが、あの特徴ある ELO のロゴがない原色を派手に使ったジャケットにも ELO らしさが全くなく、最初にこのジャケットをオリジナル・リリース時に雑誌で見たときにはとても ELO のアルバムとは思えなかった。前作『Secret Messages』のジャケットのように何かのメッセージが含まれているわけでもなく、凡庸なデザインには大いにがっかりした。

このアルバムのツアー後に ELO の活動は一時中断し、その後、Bev Bevan が ELO としてアルバムを作るため Jeff Lynne に声をかけたが、それは叶わず、Bev Bevan は ELO Part II として活動を再開。Jeff Lynne は George Harrison の『Cloud Nine』を皮切りに元 The Beatles のメンバーのアルバムのプロデュースなど制作面でその名前を見かけることが多くなっていった。

Balance Of Power
Heaven Only Knows
So Serious
Getting To The Point
Secret Lives
Is It Alright
Sorrow About To Fall
Without Someone
Calling America
Endless Lies
Send It
【2007 Bonus Tracks】
Opening
Heaven Only Knows (Alternate Version)
In For The Kill
Secret Lives (Alternate Take)
Sorrow About To Fall (Alternate Mix)
Caught In A Trap
Destination Unknown

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