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Paul McCartney/『Kisses On The Bottom』 [CD]

Kisses-on-the-Bottom.jpgPaul McCartney のポップ・フィールドでの新作『Kisses On The Bottom』は、2007年6月リリースの『Memory Almost Full』以来となる新作で、そのタイトルにはレーベル側からの抵抗もあったようだが、Paul ならではのユーモアもあることが明らかになり、最終的にこのタイトルで決定。こんなやりとりも Paul ならではのことだ。

2011年後半から Paul の次のアルバムはスタンダードのカバーになると噂があり、心構えはできていたが、この『Kisses On The Bottom』を聴いた最初の感想は「うわぁ、こういうアルバムなのか…」というモノだった。

そこには正直ガッカリという感想も含まれ、正直に言って、この新作は誰にでもお勧めできるようなアルバムではないとも思った。

当初ボーナス・トラックとして収められているハズの Wings の1979年のスタジオ・アルバム『Back To The Egg』にあった『Baby's Request』のセルフ・カバーも手に入れた『Kisses On The Bottom』にはなく、その点でもこの『Kisses On The Bottom』にガッカリした点だった。

結局、ボーナス・トラックの扱いは UK 盤『Kisses On The Bottom』の Deluxe Edition か、アメリカの小売 Target 限定リリースの Exclusive Deluxe Edition の2種類にしか収録されないとのことで、今、新たに UK 盤 Deluxe Edition を予約し、その到着待ちになっている。

この『Kisses On The Bottom』での Paul は歌うことに専念し、そのバックでは Elvis Costello の妻 Diana Krall がほとんどの曲でピアノを弾き、『Ac-Cent-Tchu-Ate The Positive』では軽快なソロ・プレイも披露している。

ギターもアメリカのジャズ・ギタリスト John Pizzarelli がほとんどの曲で弾き、Paul は『Get Yourself Another Fool』と『The Inch Worm』の2曲でアコースティック・ギターを弾くに留まり、この『Kisses On The Bottom』では本当にボーカリストとしての役割に徹している。

カバーがメインの『Kisses On The Bottom』だが、先日の第54回 Grammy 賞でも披露した『My Valentine』と、新作の最後を締め括る『Only Our Hearts』の2曲だけは Paul の書いた新曲で、こういうバラードを作ると本当に Paul はうまい。

『My Valentine』では Eric Clapton がギターを弾き、もう1曲、『Get Yourself Another Fool』でも Eric らしいギターを披露し、Paul のボーカルより目立っていて、これには少し笑ってしまった。

さらに今回の新作では Stevie Wonder がアルバム最後の曲で Paul の書いたもうひとつの曲『Only Our Hearts』でハーモニカを吹いている。Stevie とのプレイは『Tug Of War』や『Pipes Of Peace』をリリースした1980年代序盤以来のことではないだろうか。

そして、この『Kisses On The Bottom』ではアルバム全体のプロデュースも Tommy LiPuma という1960年代から活躍するアメリカ人プロデューサーに任せている。

Tommy LiPuma は1970年代に George Benson や Al Jarreau のプロデュースも手がけ、Miles Davis の1986年のスタジオ・アルバム『Tutu』、Natalie Cole の1991年のスタジオ・アルバム『Unforgettable… with Love』では総合プロデュースを務め、後者は1992年の第34回 Grammy 賞で Album of the Year に選ばれ、シングル『Unforgettable』はこのときの Record of the Year と Song of the Year を含む5冠に輝いた。

と、あくまでも70歳を目前にして、ボーカリストに専念した Paul の『Kisses On The Bottom』。オリジナルの2曲は何度も聴くうちに、Paul の少しかすれたボーカルに惹かれてきたが、その他のカバー曲はまだ『It's Only A Paper Moon』や『Ac-Cent-Tchu-Ate The Positive』『My Very Good Friend The Milkman』など、わずかな曲にしか馴染めていない。

このままの印象で変わらぬままの『Kisses On The Bottom』になるのか。それとも、より聴きこんでいくと今の印象が変化していく『Kisses On The Bottom』になるのか。あいかわらず Paul のアルバムは一筋縄ではいかず、もう少し、腰を据えてジックリと聴いてみようと思う。

Kisses On The Bottom Kisses On the Bottom - Paul McCartney
I'm Gonna Sit Right Down And Write Myself A Letter
Home (When Shadows Fall)
Kisses-on-the-Bottom.jpgIt's Only A Paper Moon
More I Cannot Wish You
The Glory Of Love
We Three (My Echo, My Shadow And Me)
Ac-Cent-Tchu-Ate The Positive
My Valentine
Always
My Very Good Friend The Milkman
Bye Bye Blackbird
Get Yourself Another Fool
The Inch Worm
Only Our Hearts
【Bonus Tracks Only UK Deluxe Edition
  or US Target Exclusive Deluxe Edition】

Baby's Request
My One And Only Love


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どうぷ

こんばんは。

ワタシは公式からハイレゾ版をDLしました。ノン・リミッターのようで、アル・シュミットの作り出す極上のサウンドが楽しめました。ポールも古希ですから、こういった作品も作りたかったんでしょうね。バックの演奏を心底信頼して、リラックスしてるように感じました。時は流れてますから、こういった洒落っ気のあるポールもワタシは良いと思います♪
by どうぷ (2012-02-17 00:14) 

MCMLXV_65

どうぷさん、こんばんはー!
一時、ハイレゾ版DLも考えましたが、今回はArchive CollectionのようにLimitedやUnlimitedの表記がないので迷っていました。こういうアルバムだとUnlimitedが似あってそうですね。その旨、確認できれば1000円ちょっとですから、ハイレゾ音源もDLしてみたいなぁ。

そうそう、amazonから早くもUK仕様DX盤発送したと連絡ありました。これでやっと『Baby's Request』が聴けます!
by MCMLXV_65 (2012-02-17 01:38) 

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