Oasis／『Heathen Chemistry』

全英アルバム・チャートで相変わらず No.1 を獲得した Oasis の通算5枚目のスタジオ・アルバム『Heathen Chemistry』は、前作、前々作と落ち込んでいたセールスも回復。イギリスでは100万枚にも達し、トリプル・プラティナに認定もされた。

このアルバムからメンバーは元 Ride の Andy Bell と、元 Heavy Stereo の Gem Archer が加入。このふたりはそれぞれ『A Quick Peep』と『Hung In A Bad Place』を書き、そして Noel Gallagher の弟 Liam も『Songbird』を含め3曲を提供と、それまでの Noel 一辺倒から変化したアルバムだった。

プロデュースもこれ以前のアルバムで Noel の名前はあったが、この『Heathen Chemistry』では Oasis として表記され、『Heathen Chemistry』は Oasis というバンドにさらに重きをおいて作られたアルバムに映った。

アルバムのリリース前にネット上に音源が漏れてしまうアクシデントもあったが、リード・シングルの『The Hindu Times』は全英チャートで6曲目の No.1 を獲得。Noel が書いたバラード『Stop Crying Your Heart Out』と、以前にも紹介したダブルA面シングルで Noel がボーカルの『Little By Little/She Is Love』の2曲は共に全英チャートで最高2位をマーク。

『Heathen Chemistry』から最後の4枚目のシングルには Liam が書いた『Songbird』が選ばれ、Oasis のシングルで最も短いこの曲は全英チャートで最高3位を記録した。

『Heathen Chemistry』がリリースされた2002年頃はまだ、これらシングルも HMV をまめにチェックし、手に入れていた。1枚目のリード・シングル『The Hindu Times』こそテンポのいい曲だったが、それ以降の3曲はスローな曲ばかり。しかし、そのどれもがメロディアスで口ずさみたくなるような曲だった。

Noel が書いた『Stop Crying Your Heart Out』と『Little By Little』も良かったが、Liam の書いた『Songbird』も、なかなかいい曲で、『Heathen Chemistry』にある11曲はバンドとしてのバランスがとれたアルバムだった。

『Heathen Chemistry』では Noel の他に新たに加入したふたりもギタリストだったが、さらに The Smiths の Johnny Marr が招かれ、『Born On A Different Cloud』ではスライド・ギターを、『(Probably) All In The Mind』ではソロ・パートも任され、最後の曲『Better Man』ではギターに加えてバック・ボーカルでも参加していた。

この最後の曲『Better Man』の後、約20分近いブランク後に隠しトラックとして『The Cage』という Noel 作のインストルメンタルがあった。日本盤の『Heathen Chemistry』では『Better Man』に続き、ボーナス曲『You've Got The Heart Of A Star』があり、その後に約20分の間をおいて『The Cage』があった。

『Heathen Chemistry』は『Better Man』で終わる感じに少し抵抗があるが、それ以外の面では、小粒ないい曲が多く揃っているアルバムで、今さらながらにいいアルバムだった。

Heathen Chemistry
The Hindu Times
Force Of Nature
Hung In A Bad Place
Stop Crying Your Heart Out
Songbird
Little By Little
A Quick Peep
(Probably) All In The Mind
She Is Love
Born On A Different Cloud
Better Man
The Cage (hidden track)

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