Original Soundtrack／『Death Proof』

『GRINDHOUSE』という2本立て映画(という設定)の中の『Death Proof』はクエンティン・タランティーノが監督を務めている。過去の映画でもシーンに合わせた効果的な楽曲を発掘してきたタランティーノだが、この『Death Proof』でも実にツボにハマった選曲をしている。

オープニングに被る曲からしてB級映画という雰囲気にピッタリで、酒場のジュークボックスのシーンでかかる曲も「こんな曲をよく見つけてくるなぁ」と、感心させられてしまう。

この映画のために書き下ろされたような曲を選ぶセンスは、タランティーノの持って生まれた才能だと改めて思い知らされる。

『Death Proof』本編は前半がダラダラとした雰囲気で、「いつになったら、変化があるんだ!」という感じだが、中盤のあるシーンでその雰囲気は一変する。そのときにかかる曲がDave Dee, Dozy, Beaky, Mick & Tich(長い!)の『Hold Tight!』なのだが、これも後でタイトルを知って、まさにそのシーンにピッタリなタイトルだと頷いてしまった。もちろん、曲調もそのシーンを盛り上げるのに大きく貢献している。

このシーンを挟み、映画は終盤にかけて一気にスピードアップする。この終盤のダイナミックさもタランティーノの映画の持ち味だが、ここでかかる『It's So Easy』が更にシーンを加速させてくれる。(曲のタイトルからは、そんなシーンであることは想像もつかないのだが…)

昔ながらの2本立て映画を現代に再現したという『GRINDHOUSE』だが、『Death Proof』はロバート・ロドリゲス監督による『Planet Terror』に続くかたちになっている。全く先入観を持たずにこの2本を見たが、そのB級さ加減が気に入ったし、使用される楽曲のチープさにも大いに気に入ってしまい、両方ともサウンドトラックを買ってしまった。

映画を見終わった後、交互にこのサントラを聴いていたが、いつしか『Death Proof』が聴く機会は多くなっていった。途中で女優たちのダイアローグも挟まれるサントラだが、クセのある言い回しが多いので、その場面がすぐ思い浮かんできてしまう。

金曜の夜とか翌日を気にしないときに、できれば音量を上げて使われる音楽も一緒に楽しみたい映画だ。

『Death Proof』
"The Last Race" by Jack Nitzsche
"Baby, It's You" by Smith
"Paranoia Prima" by Ennio Morricone
"Planning & Scheming" by Eli Roth & Michael Bacall ※
"Jeepster" by T. Rex
"Stuntman Mike" by Rose McGowan & Kurt Russell ※
"Staggolee" by Pacific Gas & Electric
"The Love You Save (May Be Your Own)" by Joe Tex
"Good Love, Bad Love" by Eddie Floyd
"Down In Mexico" by The Coasters
"Hold Tight!" by Dave Dee, Dozy, Beaky, Mick & Tich
"Sally and Jack (From the Motion Picture Blow Out)" by Pino Donaggio
"It's So Easy" by Willy DeVille
"Whatever-However" by Tracie Thoms & Zoë Bell ※
"Riot In Thunder Alley" by Eddie Beram
"Chick Habit" by April March
※:dialogue

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