Billy Joel／『Songs In The Attic』

1980年に『Grass Houses』をリリースしたBilly Joelが発表した初めての公式ライブ盤は、当時、その良さが理解できなかった。というのも、『Grass Houses』からの曲は1つもなく、『The Stranger』でヒットする以前のアルバムからの曲ばかりだったからだ。

『屋根裏部屋の曲』と名づけられたアルバムに収められたそれぞれの曲は、小規模のホールで収録されたモノもあれば、スタジアム級の会場で収録されたモノまで様々。聴衆の歓声も手拍子や拍手がくっきり聞こえるモノがあれば、「ワァ～」とスタジアムが沸く様子の曲もある。

1980年頃のBillyのバンドはメンバーが定まり、アルバム制作の面でも良い効果が表れ、その成果は当時のライブ映像でも明らかだ。未だにDVD化されていない映像で、ロング・アイランドでのライブがあるが、当時のバンドが如何に熟していたかが、この映像では堪能できる。

そんな熟しきったバンドが演奏するメジャーになる以前の『Turnstiles』までの曲は、スタジオ・アルバムとは全く違った輝きを放っている。

公にデビュー盤として知られることの少なかった『Cold Spring Harbor』からは『She's Got A Way』、『Everybody Loves You Now』が収められているが、前者は全米アダルト・コンテンポラリー・チャートで4位を記録。『Cold Spring Harbor』が一躍注目を集めるきっかけにもなった。

『Piano Man』からは『You're My Home』、『The Ballad Of Billy The Kid』、『Captain Jack』が選ばれ、『Streetlife Serenade』からは『Streetlife Serenader』と『Los Angelenos』が、『Turnstiles』からは最多となる4曲、『Say Goodbye To Hollywood』、『Summer, Highland Falls』、『I've Loved These Days』、『Miami 2017』が選ばれている。

『Turnstiles』までのアルバムでBillyはメンバーを固定することなく、その都度、メンバーを入れ替えていた。ようやく陣容が固まってきたのが、Phil Ramoneがプロデュースを務めた『The Stranger』の頃だった。

Billy以外のメンバーには、サックスにRichie Cannata、ドラムスにLiberty DeVitto、ベースにDoug Stegmeyerが定着。普通のバンドでは重要なパートを占めるギターだけは、ピアノを奏でるBillyがいるため、都度、メンバーが変わっていたが、それ以外は不動のメンバーになっていった。

そんなメンバーが改めて過去の小粒な曲にスポットを当てた『Songs In The Attic』。アルバム・バージョンより安定度が増して、どの曲も聴き応えがたっぷりある。Billyの声も艶やかだし、何よりピアノの音がとても繊細に聴こえる。

ライブでピアノをメインに据えた場合、ステージを動き回ることができず躍動感が失われてしまうが、このライブを聴く限り、そんなハンデは全くない。逆にシミジミと語りかけるBillyのライブが、より鮮明に浮かび上がってくるようだ。

『Songs In The Attic』
Miami 2017 (Seen The Lights Go Out On Broadway)
Summer, Highland Falls
Streetlife Serenader
Los Angelenos
She's Got A Way
Everybody Loves You Now
Say Goodbye To Hollywood
Captain Jack
You're My Home
The Ballad Of Billy The Kid
I've Loved These Days

タグ：ライブ盤 Billy Joel 1981

コメント 2

こんにちは。
懐かしいアルバムですね。　この頃のビリーが
一番生き生きしていたように思います。
「Say Goodbye To Hollywood」なんていいですよね。
by music70s (2009-05-08 15:01) 

コメント、ありがとうございます! そうですね、この頃がBillyの全盛期かもしれませんね。先日、ヤンキースタジアムでのライブをスカパー!で見て、このライブ盤を引っ張り出したんですが、この頃の映像も見てみたいです!
by MCMLXV_65 (2009-05-08 15:12)