Frankie Goes To Hollywood／『Welcome To The Pleasuredome』

懐かしの1980年代シリーズ(!)。1984年にリリースされたFrankie Goes To Hollywoodのデビュー盤にして2枚組みの大作『Welcome To The Pleasuredome』が、ZTTレーベルの復刻シリーズとして紙ジャケット仕様で再発された。

スキャンダラスなイメージがあったFrankie Goes To Hollywoodだが、このデビュー盤では、想像を上回る会心の出来に仕上がっていて、当時のSide1に収められたタイトル曲『Welcome To The Pleasuredome』を含む4曲では、全体の構成がとてもみごとで、約15分の長さを全く感じさせず最後まで一気に聴き入ってしまう。

Side2でも、全英チャートNo.1になったシングル2曲と1970年に全米No.1になったEdwin Starrの『War』のカバーを含む4曲が、ここでも息をつかせない展開で並んでいる。

このデビュー盤には『War』を含むカバーが数曲あり、Side3にはBruce Springsteenの1975年に発表した代表作の『Born To Run』と、Burt BacharachとHal David作の1968年のヒット曲『Do You Know The Way To San José』が収められている。

この2曲がどのような経緯で選ばれたのかは不明だが、どちらもFrankie Goes To Hollywoodのスタイルにとてもよく合っている。『Born To Run』の荒々しさはFrankie Goes To Hollywoodにピタリと合っていたが、ミスマッチとも思えるBurt Bacharachの曲がとてもシックリと馴染んでいたのには驚きだった。なお、後者はDionne Warwickが歌い、グラミー賞のベスト・コンテンポラリー・ポップ・ボーカル・パフォーマンスにも選ばれている。

Side3はカバーの2曲に加え、オリジナル2曲が続くがこれも出来はなかなか。『The Ballad Of 32』はPink Floydを彷彿させるような曲に仕上がっていた。

そして2枚組み最後の面、Side4を迎えるのだが、ここに収められた5曲は全てオリジナル。第3弾シングルとなる『The Power Of Love』を含め、ここでもアルバムの流れはみごと! としか言いようがなく、1分ちょっとの『Bang』によるデビュー盤の幕の降ろし方も新人バンドのデビュー作と思えないつくりだった。

と、ベタ褒めのFrankie Goes To Hollywoodの2枚組みデビュー盤なのだが、この成功にはプロデューサーであるTrevor Hornの存在が大きいことは言うまでもない。Trevor Hornがいなければ、このアルバムは完成しなかっただろう。

この2枚組みは当時、透明ビニール製のジャケットに収められたピクチャーディスクもリリースされ、こちらを幸運にも手に入れることができた。盤自体も透明で、そこにFrankie Goes To Hollywoodのメンバーがプリントされ、なかなか洒落たピクチャーディスクだった。

デビュー盤の2枚組みにも驚いたが、いきなりこれをピクチャーディスク仕様でも出してしまう大胆なマーケティングにも驚かされた。しかし、これだけ話題になれば、絶対売れる! という確信もあったのだろう。

なお、今回再発された紙ジャケット仕様も2枚組みCDだが、2枚のLPに収められた全17曲は1枚のCDに収められ、もう1枚はミックス違いやアルバム未収録の9曲が収められている。

『Welcome To The Pleasuredome』
【Side1】
Well...
The World Is My Oyster
Snatch Of Fury (Stay)
Welcome To The Pleasuredome
【Side2】
Relax (Come Fighting)
War (...and Hide)
Two Tribes (For The Victims Of Ravishment)
(Tag)
【Side3】
Fury (Go)
Born To Run
San Jose (The Way)
Wish (The Lads Were Here)
The Ballad Of 32
【Side4】
Krisco Kisses
Black Night White Light
The Only Star In Heaven
The Power Of Love
Bang
【Bonus Track】
Relax (Sex Mix)
Two Tribes (Carnage)
Welcome To The Pleasuredome (The Soundtrack From Bernard Rose's Video)
The Power Of Love (Instrumental Version)
War (Hidden)
Relax (International / Live)
Two Tribes (Annihilation)
One September Monday
Ferry Cross The Mersey

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