Corinne Bailey Rae／『The Sea』

イギリスのリーズ出身、BBC が選ぶ Sound of 2006 のトップに輝いた Corinne Bailey Rae が前作から4年ぶりにリリースした新作がこの『The Sea』になる。

2003年度から始まった BBC が選ぶ将来活躍するアーティストを選ぶ Sound of 20xx では、このブログでも以前に紹介した Duffy や The Ting Tings、Little Boots がいるが、Corinne Bailey Rae も2006年度に選ばれていたとは、つい最近まで知らなかった。

2006年にデビュー盤をリリース以降、夫を亡くすという悲劇を経て、今年の1月にリリースされた『The Sea』。ここからは先行シングルとして『I'd Do It All Again』が昨年暮れにリリースされ、その時にもチラっとその音を聴いていて、耳に残るアーティストだと思ってはいたが、今年に入ってから FM でこの新作がよく紹介されるようになり、余計その思いは強くなっていった。

『The Sea』からは『Paris Nights/New York Mornings』が2ndシングルに選ばれているが、これもまたこのアルバムで好きな曲だ。

Corinne Bailey Rae はこの『The Sea』で初めて知ったが、その囁くようなボーカルは、まるで目の前にステージがあるかのような感じで迫ってくる。そのボーカルはバンドの音に埋もれることなく、2つのスピーカーの間にピタリと定位し、この『The Sea』は久々にオーディオの実力をも図れるアルバムだ。

バックの演奏もシンプルな生音が多く、あまり派手な装飾がない分、ひとつひとつの音がとても際立って聴こえる。そんなバンドの音に囁くような Corinne Bailey Rae の声が全く埋もれていないのが、また不思議な感じだ。

無駄な装飾を削ぎ落とすと、そのアーティストの力量を推し量ることができるが、この『The Sea』ほどシンプルでかつ、アーティストの魅力が十分伝わってくるアルバムも久しぶりだ。このようなアルバムに出逢うことはそう多くないだろう。

また HMV の宣伝のようになるが、このアルバムの CD も今ならマルチバイ特価で1,132円で手に入る。この『The Sea』は MP3 のような圧縮音源ではなく、しっかりとしたオーディオで腰を据えて聴いてみてほしい。Corinne Bailey Rae がたったひとりの観客に向けてステージを披露しているような体験ができる。そんなアルバムだ。

『The Sea』
Are You Here
I'd Do It All Again
Feels Like the First Time
The Blackest Lily
Closer
Love's On Its Way
I Would Like To Call It Beauty
Paris Nights/New York Mornings
Paper Dolls
Diving For Hearts
The Sea

タグ：Corinne Bailey Rae 2010