Pink Floyd／『Is There Anybody Out There?』

この不気味なマスクが並ぶアルバムは、Pink Floyd 名義で2000年に突然リリースされた The Wall Tour の2枚組ライブ盤で、正式タイトルは『Is There Anybody Out There? The Wall Live 1980-81』。1980年と1981年にイギリスのロンドン、Earls Court で行われたライブから音源が選ばれている。

デス・マスクではなくライフ・マスク(生きている人の顔型だから?)が4個並んだジャケットは最初に CD ショップで見かけたときから不気味な存在だったが、今もなお、その不気味な印象は変わらない。

このジャケットをデザインしたのは Pink Floyd 関連のアルバムで有名な Hipgnosis のメンバー、Storm Thorgerson によるもの。きのう紹介した『Delicate Sound Of Thunder』のジャケットも Storm Thorgerson がデザインした。

この2枚組のライブ盤は1979年にリリースされた『The Wall』を全曲再現したライブで、前半と後半の2部構成で途中に休憩を挟んで行われた(らしい…)。

音源として全貌が初めて紹介された The Wall Tour だが、映像としては未だに明らかにされておらず、ビデオ時代も DVD が主流となった現在も公式なリリースがない状態が続いている。

このトール・サイズの限定版の2枚組にはブックレットが挟み込まれ、実際のライブがどのように進められたか、写真で追いかけることができるが、やはり、このライブは動く映像として見てみたい。

このライブ盤には全部で30曲がクレジットされているが、ライブが始まる前の説明の MC などを除くと『The Wall』に収録されていない曲が2つある。ライブの前半にある『What Shall We Do Now?』と『The Last Few Bricks』がその2曲だが、この2曲でより Roger Waters が意図した『The Wall』が具現化したという意見もある。しかし、その真偽のほどは映像も合わせて見ないと判断は難しい。

ブックレットにある写真からライブの進行状況を少しだけ体験できるが、このライブは海外で行われたにも関わらず、アリーナ席に椅子が並べられていて、それだけで普段の海外でのライブと雰囲気が違う様子が伝わってくる。演劇を見ているような雰囲気とでも例えれば分かりやすいだろうか…?

断片しか伝え聞いたことのない『The Wall』のライブは、徐々にステージにレンガ(当然ニセモノのレンガ)が積まれ、前半最後の頃には、メンバー全員が隠れてしまうより、さらに高いところまでレンガが積まれ、メンバーと観客の間に巨大な壁が築かれてしまう。

休憩を挟んだライブの後半は、この壁に映像が投影されたり、壁の一部を開けてメンバーのプレイを見せたり、壁の前に設置されたクレーンに乗ってのプレイが繰り広げられた。

そして最後にこの巨大な壁が恐らく轟音とともに崩れてしまうのだが、これも写真だけでは、その臨場感は伝わらず、音だけでも十分ではない。

このライブ盤の突然のリリースから、さらに10年が経過するが、また突然に映像としての The Wall Tour が明らかになる! なんてことはないだろうか…?

Is There Anybody Out There?
【Disc 1】
MC:Atmos
In The Flesh?
The Thin Ice
Another Brick In The Wall (Part I)
The Happiest Days Of Our Lives
Another Brick In The Wall (Part II)
Mother
Goodbye Blue Sky
Empty Spaces
What Shall We Do Now?
Young Lust
One of My Turns
Don't Leave Me Now
Another Brick In The Wall (Part III)
The Last Few Bricks
Goodbye Cruel World
【Disc 2】
Hey You
Is There Anybody Out There?
Nobody Home
Vera
Bring The Boys Back Home
Comfortably Numb
The Show Must Go On
MC:Atmos
In The Flesh
Run Like Hell
Waiting For The Worms
Stop
The Trial
Outside The Wall

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