Eric Clapton/『From The Cradle』 [CD]
この Eric Clapton の『From The Cradle』というアルバム。長いこと「出る、出る」と言われ続けていた全編ブルースのカバーで構成されたアルバムで、1990年代に Eric Clapton がリリースしたわずか2枚のスタジオ・アルバムのうちの1枚になる。(ライブ盤は『Unplugged』など3枚を1990年代にリリースしている)
待望(?)のブルース・アルバムはアメリカで300万枚のセールスをあげ、全米/全英双方のアルバム・チャートで No.1 を記録。Eric Clapton が1970年にソロ活動を初めて全英で No.1 になったアルバムは意外にもこの『From The Cradle』が初。そして全米チャートでの No.1 も1974年の『461 Ocean Boulevard』以来のことだった。(全米チャートではライブ盤『Unplugged』が1992年に No.1 を記録している)
オリジナル曲が1つもないアルバムが米英双方のチャートでこれだけヒットした理由は、ライブ盤『Unplugged』の成功の余韻があったかもしれない。なにしろ『Unplugged』はアメリカだけでも1000万枚以上のセールスを記録して、この頃の Eric Clapton は万人受けするソフト路線のイメージが大いにあった。
そんな『Unplugged』で初めて Eric Clapton の曲を聴いた方に、この『From The Cradle』はどのように映っただろう。この頃も Eric Clapton は数年おきに来日公演を行っていたが、『Unplugged』のようなステージを期待していたにわかファンにはブルースのカバーで構成されたライブは大きな違和感があったようだ。
『From The Cradle』はそのライナーノーツによると、『How Long Blues』と『Motherless Child』の2曲を除き、一切オーバーダビングや編集がないライブ・レコーディングだったとある。
最近リリースされた新作『Clapton』や、JJ Cale との連名でリリースした『The Road To Escondido』と違い、この『From The Cradle』での Eric Clapton はボーカルやギター・ワークに力強さがあり、50歳を目前にして初めて実現した全編ブルースのアルバムを心底楽しんでいる雰囲気が感じられた。
ブルースとは本来もっと刹那的な内容があり、この『From The Cradle』で聴けるような明るい感じのスタイルではない。1950年代に発表された原曲を一度でも聴いたことがあると、Eric Clapton のカバーには原曲の持つパワーが別な方向に向けられているようにも感じられた。
Eric Clapton というフィルターを通したブルースのスタンダードには、オリジナルとは違う姿勢で臨まなければいけないのかもしれない。
2000年代に入ると B.B. King との『Riding With The King』に始まり、Robert Johnson の曲に絞ったカバー・アルバム『Me and Mr. Johnson』。そして JJ Cale とのアルバムや最新作『Clapton』と、オリジナル曲で構成したアルバムよりカバー・アルバムの割合がすっかり多くなってしまった Eric Clapton だが、この『From The Cradle』というカバー・アルバムは2000年代にリリースされた一連のカバー・アルバムとはやや趣きが違う。
ここ収められた16曲には『Unplugged』の成功でアコースティックで AOR なイメージを植え付けられたことを払拭するようなパワーがあり、ブルースのカバーというスタイルをとってはいるが、一枚のライブ盤のような雰囲気すら漂っていた。『From The Cradle』というアルバムには、Eric Clapton の解釈を経たオリジナル曲で構成された一枚のアルバムにも似た雰囲気があった。
From The Cradle
Blue Before Sunrise by Leroy Carr
Third Degree by Eddie Boyd/Willie Dixon
Reconsider Baby by Lowell Fulson
Hoochie Coochie Man by Willie Dixon
Five Long Years by Eddie Boyd
I'm Tore Down by Sonny Thompson
How Long Blues by Leroy Carr
Goin' Away Baby by James Lane
Blues Leave Me Alone by James Lane
Sinner's Prayer by Lowell Glenn/Lowell Fulson
Motherless Child (Traditional)
It Hurts Me Too by Elmore James
Someday After A While by Freddy King/Sonny Thompson
Standin' Round Crying by McKinley Morganfield
Driftin' by Charles Brown/Johnny Moore/Eddie Williams
Groaning The Blues by Willie Dixon
待望(?)のブルース・アルバムはアメリカで300万枚のセールスをあげ、全米/全英双方のアルバム・チャートで No.1 を記録。Eric Clapton が1970年にソロ活動を初めて全英で No.1 になったアルバムは意外にもこの『From The Cradle』が初。そして全米チャートでの No.1 も1974年の『461 Ocean Boulevard』以来のことだった。(全米チャートではライブ盤『Unplugged』が1992年に No.1 を記録している)
オリジナル曲が1つもないアルバムが米英双方のチャートでこれだけヒットした理由は、ライブ盤『Unplugged』の成功の余韻があったかもしれない。なにしろ『Unplugged』はアメリカだけでも1000万枚以上のセールスを記録して、この頃の Eric Clapton は万人受けするソフト路線のイメージが大いにあった。
そんな『Unplugged』で初めて Eric Clapton の曲を聴いた方に、この『From The Cradle』はどのように映っただろう。この頃も Eric Clapton は数年おきに来日公演を行っていたが、『Unplugged』のようなステージを期待していたにわかファンにはブルースのカバーで構成されたライブは大きな違和感があったようだ。
『From The Cradle』はそのライナーノーツによると、『How Long Blues』と『Motherless Child』の2曲を除き、一切オーバーダビングや編集がないライブ・レコーディングだったとある。
最近リリースされた新作『Clapton』や、JJ Cale との連名でリリースした『The Road To Escondido』と違い、この『From The Cradle』での Eric Clapton はボーカルやギター・ワークに力強さがあり、50歳を目前にして初めて実現した全編ブルースのアルバムを心底楽しんでいる雰囲気が感じられた。
ブルースとは本来もっと刹那的な内容があり、この『From The Cradle』で聴けるような明るい感じのスタイルではない。1950年代に発表された原曲を一度でも聴いたことがあると、Eric Clapton のカバーには原曲の持つパワーが別な方向に向けられているようにも感じられた。
Eric Clapton というフィルターを通したブルースのスタンダードには、オリジナルとは違う姿勢で臨まなければいけないのかもしれない。
2000年代に入ると B.B. King との『Riding With The King』に始まり、Robert Johnson の曲に絞ったカバー・アルバム『Me and Mr. Johnson』。そして JJ Cale とのアルバムや最新作『Clapton』と、オリジナル曲で構成したアルバムよりカバー・アルバムの割合がすっかり多くなってしまった Eric Clapton だが、この『From The Cradle』というカバー・アルバムは2000年代にリリースされた一連のカバー・アルバムとはやや趣きが違う。
ここ収められた16曲には『Unplugged』の成功でアコースティックで AOR なイメージを植え付けられたことを払拭するようなパワーがあり、ブルースのカバーというスタイルをとってはいるが、一枚のライブ盤のような雰囲気すら漂っていた。『From The Cradle』というアルバムには、Eric Clapton の解釈を経たオリジナル曲で構成された一枚のアルバムにも似た雰囲気があった。
From The Cradle
Blue Before Sunrise by Leroy Carr
Third Degree by Eddie Boyd/Willie Dixon
Reconsider Baby by Lowell Fulson
Hoochie Coochie Man by Willie Dixon
Five Long Years by Eddie Boyd
I'm Tore Down by Sonny Thompson
How Long Blues by Leroy Carr
Goin' Away Baby by James Lane
Blues Leave Me Alone by James Lane
Sinner's Prayer by Lowell Glenn/Lowell Fulson
Motherless Child (Traditional)
It Hurts Me Too by Elmore James
Someday After A While by Freddy King/Sonny Thompson
Standin' Round Crying by McKinley Morganfield
Driftin' by Charles Brown/Johnny Moore/Eddie Williams
Groaning The Blues by Willie Dixon
タグ:Eric Clapton 1994
2010-10-15 15:00
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