The Rolling Stones／『Made in the Shade』

きのう紹介した『Sucking in the 70's』と共に、この1975年にリリースされた『Made in the Shade』という編集盤も長い間廃盤状態だったが、2005年にこの2枚の編集盤はようやくリマスター盤というかたちでリイシューされた。

『Sucking in the 70's』の収録曲が少々マニアックな選曲だったのに対して『Made in the Shade』は Rolling Stones レーベルからの最初のアルバム『Sticky Fingers』から1974年の『It's Only Rock 'n Roll』までの4枚のスタジオ・アルバムから主要なシングル・ヒット曲が選ばれていた。

収録曲の英米でのヒット状況をみると『Brown Sugar』は英2位/米1位で『Bitch』はこのシングルのB面曲だった。以降、『Tumbling Dice』は英5位/米7位。『Happy』は米22位。『Wild Horses』は米28位。『Angie』は英5位/米1位。『It's Only Rock 'n Roll (But I Like It)』は英10位/米16位。『Doo Doo Doo Doo Doo (Heartbreaker)』は米15位と、全10曲中8曲が英米双方のチャートでヒットしたシングルで占められていた。

1970年代前半 Rolling Stones レーベルからリリースされた4枚のスタジオ・アルバムからの選曲だった『Made in the Shade』に対して、1960年代の楽曲を管理する ABKCO からは1960年代後半の珍しい別テイクなど16曲を収録した『Metamorphosis』が同じ日にリリースされた。しかしチャート上の成績は英14位/米6位を記録してアメリカではプラティナ・ディスクを獲得した『Made in the Shade』に軍配が上がった。

だが、今となっては多くの編集盤やベスト盤がリリースされ、『Made in the Shade』にある曲の多くがそれらに収録されたことで『Made in the Shade』の立場は希薄になってしまった。反対にレア音源を集めた『Metamorphosis』や、きのう紹介した一風変わった選曲内容の『Sucking in the 70's』は未だに The Rolling Stones の多くのカタログの中で貴重なアルバムとしての位置を保っている。

Mick Taylor が在籍していた時代の4枚のアルバムから選曲された『Made in the Shade』には The Rolling Stones を代表するロックな有名曲がある一方、The Rolling Stones のバラードとして有名な『Angie』や『Wild Horses』があるので、わずか10曲ながらも The Rolling Stones がどういうバンドなのかを楽しむのに最適な編集盤ではないかと今でも思う。

『Made in the Shade』のジャケットには The Rolling Stones のメンバーは誰も登場せず、一見して The Rolling Stones のアルバムにとても思えないデザインだった。しかし、Rolling Stones レーベルのトレード・マークであるベロ・マークは水着女性の腰の部分に小さくプリントされていた。

2005年のリマスター盤ではこのベロ・マークがオリジナルと違う黒になっていたが、ジャケットが小さいため視認性が低くなることからオリジナルと違う黒にしたのだろうか…?

シングル・ヒットした曲以外に『Dance Little Sister』や『Rip This Joint』といったスピード感ある曲を選んだ点は、なかなかいいなと今でも思っている。

Made in the Shade
Brown Sugar ※
Tumbling Dice ◆
Happy ◆
Dance Little Sister ▼
Wild Horses ※
Angie ☆
Bitch ※
It's Only Rock 'n Roll (But I Like It) ▼
Doo Doo Doo Doo Doo (Heartbreaker) ☆
Rip This Joint ◆
※:Sticky Fingers
◆:Exile on Main St.
▼:It's Only Rock 'n' Roll
☆:Goats Head Soup

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