The Rolling Stones／『Sucking in the 70's』

いろいろなベスト盤や編集盤が数多くある The Rolling Stones だが、1981年の『Tattoo You』と同じ年にリリースされた編集盤がこの『Sucking in the 70's』という10曲入りのアルバムだった。

The Rolling Stones はこのアルバムの前にも1970年代のスタジオ・アルバムから曲を集めた10曲入りの『Made in the Shade』という編集盤を1975年にリリースしていたが、『Sucking in the 70's』が従来のベスト盤やグレイテスト・ヒッツ集と違う点は、いわゆる全米チャートや全英チャートでヒットしたシングルばかりを収録していない点にあった。

『Sucking in the 70's』に収録された曲は1974年のアルバム『It's Only Rock 'n Roll』から1978年のアルバム『Some Girls』までの3枚のスタジオ・アルバムと、1977年の2枚組ライブ『Love You Live』が対象で、この4枚から7曲が選ばれていた。

3枚のスタジオ・アルバムからのシングル・ヒット曲には全米チャートで最高10位、全英チャートで最高6位を記録したシングル『Fool To Cry』の両面2曲と、The Rolling Stones としては異例なファンク調の『Hot Stuff』。そして全米チャートで最高8位を記録した『Beast Of Burden』、全米チャートで最高31位を記録した『Shattered』という5曲だった。

その他にアルバム未収録曲が3曲あり、シングル『Shattered』のB面に収められた『Everything Is Turning To Gold』、1978年7月6日のデトロイトでのライブ音源『When The Whip Comes Down』。そして、もう1曲が1980年のスタジオ・アルバム『Emotional Rescue』レコーディング時のアウトテイク『If I Was A Dancer (Dance Pt. 2)』だった。

この「その他の3曲」という存在が曲者で『Sucking in the 70's』という編集盤が今もなお The Rolling Stones の膨大なカタログでその存在が消えない秘密になっている。

『Made in the Shade』以降でシングル・ヒットがそう多くないこともあり、アルバム『It's Only Rock 'n' Roll』からは Mick Taylor のギター・ソロをフューチャーした『Time Waits For No One』が選ばれたが、『Sucking in the 70's』収録バージョンはオリジナルより2分以上も短い短縮バージョンになっていた。

残る1曲は2枚組のライブ盤『Love You Live』の El Mocambo でのライブから『Mannish Boy』がセレクトされているが、これもまた『Love You Live』収録バージョンから約2分短い4分半のバージョンだった。

この2曲の短縮バージョンとスタジオ・アルバム未収録の3曲が『Sucking in the 70's』という編集盤を見過ごせないアルバムとしていた。また、このアルバムに含まれた10曲は The Rolling Stones のプレイするロックな曲から、ややその系統を外れた曲が多かった。そのマニアックな選曲と The Rolling Stones らしくないジャケットのデザインが『Sucking in the 70's』というアルバムをさらに貴重な存在へとしていた。

Sucking in the 70's
Shattered ※
Everything Is Turning To Gold
Hot Stuff ◆
Time Waits For No One ▼
Fool To Cry ◆
Mannish Boy ☆
When The Whip Comes Down (Live Version)
If I Was A Dancer (Dance Pt. 2)
Crazy Mama ◆
Beast Of Burden ※
※:『Some Girls』収録
◆:『Black and Blue』収録
▼:『It's Only Rock 'n' Roll』収録
☆:『Love You Live』収録

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