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Paul Weller/『Paul Weller (Deluxe Edition)』 [CD]

Paul-Weller.jpgPaul Weller の過去のアルバムで Deluxe Edition という形態が登場するのは、このデビュー盤で3枚目だろうか。2005年の『Stanley Road』、2007年の『Wild Wood』と1作ごと過去に遡り、約1年前の2009年10月、この1992年にリリースされたデビュー盤『Paul Weller』の2枚組 Deluxe Edition が登場した。

本国イギリスより早く日本で先行リリースされたデビュー盤『Paul Weller』の Deluxe Edition は、1枚目にイギリス版『Paul Weller』の曲順で12曲が並び、続いて『Into Tomorrow』『Uh Huh Oh Yeh』『Above The Clouds』のシングルB面に収められた7曲が収録されている。

2枚目にはシングル『Above The Clouds』B面の残り2曲から始まり、デビュー盤レコーディング時のデモ・バージョンや別テイクなど16曲が収録されている。

過去のアルバムに様々な音源を追加し、ただのリイシューで終わらせないのが最近の傾向で、この Deluxe Edition も今となっては入手の難しい初期のシングルのB面に収められた曲の全てが聴けるようになっている。

また、このデビュー盤の『Paul Weller』では6曲目の『Above The Clouds』が終わった後に面白い音の仕掛けが1992年当時あった。LP 時代にはA面とB面の切替でレコード針を上げ下げする行為が必ずあったが、その際の「ブツッ」というレコード針が盤を離れたり、盤に接触する音が『Above The Clouds』の後に入っている。

この LP 時代の擬似音はB面最後の曲にあたる『Kosmos』の後にもあり、オリジナルでは約5分以上もの間、レコードの一番内周部分を延々とレコード針がトレースする音に続き、再び『Kosmos』の最後の部分が少しだけリプレイされてデビュー盤は終わりとなった。

しかし、今回の Deluxe Edition での『Kosmos』は延々とレコード針が内周部をトレースする箇所が大幅にカットされ、10秒足らずで再び『Kosmos』の最後がリプレイされるようになっている。オリジナルの余韻を楽しみたい向きには1992年当時にリリースされた『Paul Weller』が今も必要というわけで、この短縮仕様は多くのシングルB面曲や別テイクを収録する都合上、致し方なかったところだろう。

オリジナルのデビュー盤から約20年が経つ『Paul Weller』を Deluxe Edition というかたちで改めて1曲目の『Uh Huh Oh Yeh』から聴くと、当時はあまり気がつかなかったことだが、楽曲がシンプルな一方で演奏はタイトで余計な装飾があまりなく、Paul Weller のボーカルがとても力強く迫ってくる。

この時のレコーディング・メンバーはドラムの Steve White 以外は、ほぼ全ての楽器を Paul Weller がプレイしている。『The Strange Museum』は The Style Council 時代の Mick Talbot との共作曲だった。そして Paul Weller の妻だった Dee C. Lee も『Bull-Rush』や『Remember How We Started』、『Bitterness Rising』などでバック・ボーカルとして参加。The Style Council の終盤で度々セッションに参加していた Dr Robert は『Kosmos』でベースを弾き、『Into Tomorrow』ではバック・ボーカルも担当している。

The Style Council 時代の人脈を使いつつも、このデビュー盤に含まれた12曲には The Style Council のスタイルはほとんどなく、Paul Weller のソロとしての意気込みが感じられた。それは20年近くが経った今聴いても力強く感じる。そしてこの Deluxe Edition では Paul Weller によるこのソロ・デビュー盤が形作られる前の、よりシンプルなバージョンも多数含んでいる。

今回の Deluxe Edition を聴くとデモ・バージョンとしても完成度が高かったと感じられるので、ここにある多くのデモをデビュー盤の順番に並び替えて聴いてみるのもまた面白いだろう。

Paul Weller (Deluxe Edition)
【Original Album】
Uh Huh Oh Yeh
I Didn't Mean To Hurt You
Bull-Rush
Round And Round
Remember How We Started
Above The Clouds
Clues
Into Tomorrow
Amongst Butterflies
The Strange Museum
Bitterness Rising
Kosmos
【b-sides】
Here's A New Thing (『Into Tomorrow』b-side)
That Spritual Feeling (『Into Tomorrow』b-side)
Into Tomorrow (demo) (『Into Tomorrow』b-side)
Arrival Time (『Uh Huh Oh Yeh』b-side)
Fly On The Wall (『Uh Huh Oh Yeh』b-side)
Always There To Fool You (『Uh Huh Oh Yeh』b-side)
Everything Has A Price To Pay (『Above The Clouds』b-side)

【Demos/alternative versions/b-sides】
All Year Round (『Above The Clouds』b-side)
Feelin' Alright (『Above The Clouds』b-side)
'Hot Rod' (demo)
I Didn't Mean To Hurt You (demo)
Bull-Rush (demo)
Round And Round (alternative version)
Remember How We Started (demo)
Clues (demo)
Into Tomorrow (acoustic version)
Butterflies (acoustic version)
Bitterness Rising (original version)
Kosmos (demo)
New Thing (alternative version)
Fly On The Wall (demo)
The Bitter Truth (demo)
Amongst Butterflies (demo)
Abraham, Martin & John (acoustic Version)
Kosmos ('Lynch Mob beats' version)

タグ:Paul Weller 2009


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