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Paul McCartney & Wings/『Red Rose Speedway』 [CD]

Red-Rose-Speedway.jpgThe Beatles の赤盤/青盤がリリースされた1973年は、The Beatles の4人がそれぞれソロ・アルバムを発表した年でもあった。一番早かったのが4月の Paul McCartney & Wings としての『Red Rose Speedway』で、次が5月の George Harrison の『Living In The Material World』。そして11月には Ringo Starr の『Ringo』と John Lennon の『Mind Games』が相次いでリリースされた。

今回はその中から Paul の『Red Rose Speedway』を取り上げるが、このアルバムを発表する前の1972年暮れに Paul はシングル『Hi, Hi, Hi』をリリースして英5位/米10位を記録している。しかし『Hi, Hi, Hi』は歌詞が麻薬を連想させるとして放送禁止処分を受けてしまった。

年が明けた1973年3月、『Red Rose Speedway』の先行シングルとして妻の Linda に捧げた『My Love』をリリース。この曲は多くのカバーも生み、全英チャートは最高10位止まりだったが、全米チャートではソロとして2曲目の No.1 を記録した。(最初の全米 No.1 シングルは1971年の『Uncle Albert/Admiral Halsey』)

『Red Rose Speedway』リリース後の6月には007映画のサウンドトラック盤から主題歌の『Live and Let Die』がシングル・カットされて英8位/米2位を記録。Paul の主題歌起用は主演の Roger Moore と Paul が個人的に親しかったことから実現したとも言われ、映画のサウンドトラック自体のプロデュースにはそれまでの John Barry に代わり、The Beatles のアルバムをプロデュースした George Martin が起用された。

前作『Wild Life』から約1年半ぶりに届けられた『Red Rose Speedway』は全英チャートで13週間ランクされ最高5位を記録。全米チャートでは24週間ランクされ、3週間連続で No.1 を記録し、Paul のソロ・アルバムとしては1971年の『McCartney』以来、2枚目の全米チャートで No.1 アルバムになった。

『Red Rose Speedway』は当初、2枚組のアルバムを想定して制作され、30曲近くが実際にレコーディングされた。最終的には8曲とメドレー形式で4曲が繋がったかたちでアルバムになったが、最終的に『Red Rose Speedway』の選から漏れた曲はその後、シングルのB面曲や、アルバムが CD としてリイシューされた際のボーナス曲、1989年の『Flowers in the Dirt』の来日記念盤、ベスト盤『Wingspan』などに振り分けられて世に出ている。

また LP 時代の『Red Rose Speedway』のジャケットには Stevie Wonder に向けた点字メッセージもあった。

日本盤 LP ではジャケットの左にあるオビが Paul の顔半分とタイトル部分を隠していて、そのデザインの意味がよくわからないアルバムだったが、今でも『Red Rose Speedway』のジャケットはその意図がよくわからないアルバムだ。

Wings のアルバムでは『Band on the Run』以降は何度も繰返して聴いたアルバムが多いが、この『Red Rose Speedway』は『Wild Life』と同じくらい滅多に聴かないアルバムだった。

アルバムから唯一シングル・カットされた『My Love』は好きな曲だが、それ以外の曲は Paul にしてはまだ肩慣らし程度のように思う曲が多く、『Little Lamb Dragonfly』や『One More Kiss』、『When The Night』もいい曲だが、今ひとつ印象が弱かった。

Paul がシャウトするロックな曲が1つもなかったことも『Red Rose Speedway』の印象を弱いものにしていた。アルバムの最後に置かれたメドレーの部分を『Abbey Road』のB面とよく比べもされたが、出来は『Abbey Road』にとても及ばなかった。

また『Wings Greatest』を聴き、過去のスタジオ・アルバムを遡るようにして聴いていったので、『My Love』の後はどうしても『Jet』という流れが染みついてしまったことも、『Red Rose Speedway』を1枚のアルバムとして聴く機会を奪っていた。

Red Rose Speedway
Big Barn Bed
My Love
Get On The Right Thing
One More Kiss
Little Lamb Dragonfly
Single Pigeon
When The Night
Loup (1st Indian On The Moon)
Medley:(a)Hold Me Tight/(b)Lazy Dynamite/(c)Hands Of Love/(d)Power Cut



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コメント 2

seawind335

はじめまして。
私もLP時代からポールを聴いていました。(「夢の旅人」くらいから、リアル・タイムでした)
「Band On The Run」~「Pipes of Peace」までが好きで、このアルバムは「My Love」のみがお気に入りだったのですが、大人になってから改めて聴くと、メロディー・メーカーとしてのポールの魅力が溢れているように思えます。
彼にとっては、復活への助走期だったのでしょうか。
by seawind335 (2010-11-05 00:09) 

MCMLXV_65

seawind335さん、コメントありがとうございます! 先日はBozの記事にniceマークも付けて下さいまして、こちらもありがとうございます!! その時にseawind335さんのブログを拝見しましたが、ご紹介のアルバムに私の好きなアーティストがチラホラあり、ブログの雰囲気共々、興味深く拝見させて頂きました。

私がPaulを聴き始めた時期は1970年代の終盤でした。そこから遡って、このアルバムを手にしたのですが、仰る通り復活の前夜といった感じのアルバムでしょうか。

Paulの記事はまだまだ書きたいものがありますので、今後ともよろしくお願いします!!
by MCMLXV_65 (2010-11-05 00:28) 

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