Asia／『Live 09-X1-90 MOCKBA』

1980年代を代表するバンドのひとつである Asia が John Wetton 時代の締め括りとしてリリースしたアルバムが、このモスクワでのライブ盤『Live 09-X1-90 MOCKBA』だった。

このライブ盤は1985年の『Astra』以来となる Asia のアルバムで、これ以降に数多くリリースされる Asia のライブ盤の皮切りとなる1枚でもあった。

このライブを行った当時のメンバーは結成時のメンバーから John Wetton のボーカル/ベース、Goeff Downes のキーボード、Carl Palmer のドラムという3人に加えて、ギターにオリジナル・メンバーの Steve Howe に代わり Pat Thrall が参加していた。

この頃の Steve Howe は元 YES のメンバーで構成された Anderson Bruford Wakeman Howe として活動していたこともあり、Asia の活動に参加しなかったとも言われている。

全14曲が収録されたこのライブ盤では Asia の曲の他に、Goeff Downes がキーボード・ソロを披露する4曲目では The Buggles 時代のヒット曲『Video Killed The Radio Star』のイントロをプレイ。また John Wetton が在籍していた King Crimson 時代の『Starless』と『Book Of Saturday』も中盤ではプレイされている。

このライブ盤がリリースされた頃の Asia は最後のスタジオ・アルバムからもかなりの時間が経ち、バンドとしての活動はなく解散に近い状態だった。初のベスト盤『Then & Now』もこの期間中にリリースされたが、かつてデビュー盤の『Asia』がアメリカだけでマルチ・プラティナを記録したような勢いはすっかりなくなっていた。

だが、このモスクワでのライブ盤に収められた1980年代の曲の多くは懐かしい曲ばかりで、Steve Howe に代わる Pat Thrall のギターもなかなかよく、Asia 初のライブ盤ということもあって、このライブ盤はリリースされた当時は繰返しよく聴いたものだった。

このライブ盤には実質新曲の『Kari-Anne』が最後に収められていたが、プログレッシブ・バンドの宿命からか、このライブ盤を堺に John Wetton と Pat Thrall が脱退。以後、Asia は John Payne をベース兼ボーカルに迎えた Geoff Downes のソロ・プロジェクトのようになり、2006年にデビュー当時のメンバーで復活するまでその状態は続いた。

Geoff Downes 時代の Asia も『Aqua』や『Aria』、『Arena』、『Aura』と タイトルを「A」で挟んだ単語のアルバムをリリース。ジャケットにも Roger Dean を起用したこれらのアルバムはリリースされる毎に入手したが、初期の2枚のアルバムほど聴きこむことはなかった。

今回久しぶりに John Wetton がボーカルの Asia のライブを聴いたが、やはり初期の曲が持つパワーは今聴いても新鮮に感じた。スタジオ・アルバムで聴けたほどの完成度はないが、やはり Asia には John Wetton のボーカルが合っていたと感じさせる内容のライブ盤だった。

Live 09-X1-90 MOCKBA
Time Again
Sole Survivor
Don't Cry
Geoff Downes - Keyboards
Only Time Will Tell
Rock And Roll Dream
Starless
Book Of Saturday
The Smile Has Left Your Eyes (Part I & II)
The Heat Goes On
Go
Heat Of The Moment
Open Your Eyes
Kari-Anne (Previously Unreleased)

タグ：ASIA 1990 ライブ盤

コメント 2

やはりASIAは、初期の2枚が大きいですね。でも私は3枚目（Astra）も大好きです。（特に「Go」が好きでした・・・）
by seawind335 (2010-11-08 21:48) 

そうですね、ASIAは最初の3枚が私も好きでした。徐々にポップな感じが多くなっていきましたが、もし、デビュー盤のようなアルバムがもう一枚あったら、その後のサウンドはどのように変遷したでしょう。ちょっと興味がありますが、それはないものねだりですかネ。
by MCMLXV_65 (2010-11-08 21:57)