David Bowie／『Hunky Dory』

1972年6月にリリースされる『The Rise and Fall of Ziggy Stardust and the Spiders from Mars (以下、Ziggy Stardust と略)』とほぼ同時期にレコーディングされた曲で構成された David Bowie の通算4枚目のアルバム『Hunky Dory』は、その『Ziggy Stardust』から約半年前の1971年12月にリリースされた。

形容詞の「素晴らしい」「最高の」という意味を持つ"hunky‐dory"とタイトルされたアルバムには、Bowie のその後のキャリアを暗示する『Changes』に始まり、この頃に産まれた息子 Zowie のことを歌った『Kooks』。一度は頓挫した企画を復活させた『My Way』と同じコード進行の『Life on Mars?』を収録。

そして当時の LP でB面には、このアルバムで唯一の Bowie 以外の手による『Fill Your Heart』でアメリカ人作家の曲を取り上げ、続く2曲では Andy Warhol と Bob Dylan という Bowie にとってのスターに関する曲を取り上げ、そして Lou Reed がこのアルバムで一番好きという『Queen Bitch』、英語でも曲の持つ意味が難解とされる『The Bewlay Brothers』へと続いていた。

1990年に Rykodisc から行われた Bowie の過去カタログのリイシューでは『The Bewlay Brothers』の後に4曲が追加されていた。

『Bombers』は1970年に録音され、一時は『Hunky Dory』への収録も考慮された曲だが、その後はプロモ・シングルで世に出た他は Rykodisc 版『Hunky Dory』でしか聴けない。『The Supermen』は Rykodisc 版『Hunky Dory』以外には2002年の『Ziggy Stardust』30周年記念盤に収録され、『Quicksand』と『The Bewlay Brothers』の2曲はアルバム収録バージョンと異なる別テイクとなっていた。

幾つかのボーナス曲が Rykodisc 版『Hunky Dory』に含まれていたが、やはり『Hunky Dory』はオリジナルに従い、精神を病んだ兄のことを歌ったとも解釈される『The Bewlay Brothers』で終わることで意味を持つアルバムだろう。後にこの曲のタイトルは Bowie の音楽出版社の名前にも使われる。

『Hunky Dory』のレコーディングには YES に加入前の Rick Wakeman がピアノで参加し、次作『Ziggy Stardust』以降、Spiders From Mars として Bowie と活動を共にする Mick Ronson、Trevor Bolder、Mick Woodmansey の3人が中心になっていた。Rick Wakeman のピアノは1曲目の『Changes』の他に『Oh! You Pretty Things』や、このアルバムで重要な曲のほとんどに関わり、Rick Wakeman 抜きに『Hunky Dory』は成り立たなかったとも思われるような活躍ぶりだった。

Bowie のアルバムはこれ以前までマイナー系レーベルからのリリースだったが、大手の RCA からリリースされた最初のアルバム『Hunky Dory』は全英チャートで最高3位を記録。アルバム・リリース時には『Changes』だけがシングル・カットされ、大きなヒットには至らなかったが、後に Bowie を代表する曲の1つへと成長していった。

また Rick Wakeman のピアノが大きくフューチャーされた『Life on Mars?』は1973年にイギリスでシングル・カットされて最高3位まで上昇している。

Hunky Dory
Changes
Oh! You Pretty Things
Eight Line Poem
Life on Mars?
Kooks
Quicksand
Fill Your Heart (Biff Rose, Paul Williams)
Andy Warhol
Song for Bob Dylan
Queen Bitch
The Bewlay Brothers
【Rykodisc Bonus Tracks】
Bombers
The Supermen
Quicksand
The Bewlay Brothers

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