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Various Artists/『The New York Rock and Soul Revue: Live at the Beacon』 [CD]

new-york-rock-and-soul-revu.jpgこの1991年にリリースされたライブ盤は当初、Donald Fagen の名前があったことで注目したアルバムだった。The New York Rock and Soul Revue というプロジェクトは Libby Titus というニューヨーク出身のシンガー・ソングライターが中心となって行われたプロジェクトで、このライブ盤でも Executive Producer に Libby Titus の名前があった。

アルバムに記載された曲目を見ると Donald Fagen のソロ時代の曲に始まり、Steely Dan の曲も2曲、そして Boz Scaggs や Michael McDonald がボーカルの曲もあり、いったいどういう経緯のライブなのかに興味を惹かれた。

そもそもこの The New York Rock and Soul Revue は Libby Titus が1989年頃から1990年代前半までプロデュースを務めたプロジェクトで、Donald Fagen がその中心に位置していた。他のメンバーは Donald Fagen が Steely Dan 時代に一時期活動を共にした Michael McDonald を始めとして、Boz Scaggs や Phoebe Snow、The Rascals のメンバーである Eddie Brigati などを招き、古くは1940年代のソウルの名曲から1970年代に流行った R&B をレビュー形式で披露するライブだった。

ソウル/R&Bの曲が並ぶ中に出演アーティストのロック系の曲を織り込むという構成なので、ロック系な曲に重きを置くとちょっとガッカリするかもしれない。かくいう自分も1991年当時、このアルバムを最初に聴いたときはそのひとりで、このアルバムの一番の目的は Donald Fagen のライブが聴けることだった。次に Michael McDonald の The Doobie Brothers 時代のヒット曲があるという程度の知識しか当時は持っていなかった。

それ以降、いろいろな種類の音楽を聴き、このアルバムに収録されたソウルや R&B の曲のオリジナルやカバーを知るようになってからこのライブ盤を改めて聴くと、以前はわからなかった面白さがわかるようになってきた。

その中には Michael McDonald と Phoebe Snow の歌う Eddie Floyd の1966年のヒット曲『Knock On Wood』のカバーや、Phoebe Snow のソロで聴かせる1975年の The Temptations のヒット曲『Shakey Ground』があり、Eric Clapton のカバーでも知られる1945年の『Driftin' Blues』も同様に後からその面白さに気づいた曲だった。

このライブ盤には曲間のちょっとした短い MC も収められていた。曲を収録時間いっぱいに詰め込むあまり、MC は最初に割愛される対象になりがちだが、こういう点を丁寧に盛り込むことで臨場感もあがり、演奏するアーティストの背景も知ることができる。

MC の効果は、このライブが始まる冒頭に収められた Tom Schiller によるメンバー紹介から絶大で、徐々にライブが始まる高揚感がある。メンバー紹介に続いてこのステージの中心である Donald Fagen が率いるバンドによる開演を知らせるテーマがプレイされ、ライブ終演時も同じバンドによるクロージング・テーマが披露されてステージは幕を下ろす構成になっていた。

この The New York Rock and Soul Revue というプロジェクトは Donald Fagen が Steely Dan で活動を共にした Walter Becker も後に加わり、これがきっかけとなり Donald Fagen が1993年にリリースした2ndソロ・アルバム『Kamakiriad』に Walter Becker がベースやギターを弾くと共にプロデューサーとしても参加。そして Steely Dan の活動再開にまで発展した。

そして、このプロジェクトの中心人物である Libby Titus と Donald Fagen は1993年に結婚。『Kamakiriad』にはふたりが作った『Florida Room』という曲も収められた。

dukes_s.jpgリリース当時は少しの曲にしか興味がなかったこのライブ盤だったが、年が経つに連れ、収められた曲の楽しさもわかるようになり、ここに参加したアーティストの活動にも変化があった。

このライブ盤に登場した Donald Fagen、Michael McDonald、Boz Scaggs の3人は2010年、The Dukes of September Rhythm Revue というバンドでライブを行い、ここでソウルや R&B、ロックの名曲をプレイ。そして The New York Rock and Soul Revue ではあまり聴くことのできなかったそれぞれのソロ時代の曲もこのライブでは多くプレイしているようだ。

The New York Rock and Soul Revue: Live at the Beacon
Intro (MC by Tom Schiller)
Madison Time (Donald Fagen With Jeff Young & The Youngsters)
Knock On Wood (Michael McDonald , Phoebe Snow)
 original by Eddie Floyd (1966)
Green Flower Street (Donald Fagen)
 original by Donald Fagen『The Nightfly』(1982)
Shakey Ground (Phoebe Snow)
 original by The Temptations (1975)
At Last (Phoebe Snow)
 original by Etta James (1961)
Lonely Teardrops (Michael McDonald)
 original by Jackie Wilson (1958)
Drowning In The Sea Of Love (Boz Scaggs)
 original by Joe Simon (1971)
Driftin' Blues (Charles Brown)
 original by Johnny Moore's Three Blazers (1945)
Chain Lightning (Donald Fagen)
 original by Steely Dan 『Katy Lied』(1975)
Groovin' (Eddie Brigati & David Brigati)
 original by The Young Rascals (1967)
Minute By Minute (Michael McDonald)
 original by The Doobie Brothers (1978)
People Got To Be Free (Full Cast)
 original by The Rascals (1968)
Pretzel Logic (Donald Fagen With Michael McDonald)
 original by Steely Dan (1974)
Madison Reprise (Donald Fagen With Jeff Young & The Youngsters)



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コメント 4

seawind335

いや~、もの凄い顔ぶれですね!

これは、知りませんでした。
こんなライブが生で見れたら最高ですね!!
by seawind335 (2010-11-30 23:19) 

MCMLXV_65

最近、日本で行われるライブは大物アーティストのジョイント形式が多いですから、この3人での来日も可能性あるかなぁと思っていたんですが、なかなか噂すらも聞きません。1991年のラインアップもいいのですが、2010年のこの3人でのライブもぜひナマで見てみたいと思いませんか? ^^
by MCMLXV_65 (2010-12-01 01:00) 

seawind335

この3人のLiveをナマで見たら凄いでしょうね!


・・・・・でも、高いかも (^^;
by seawind335 (2010-12-01 23:31) 

MCMLXV_65

そうですね、チケット代で軽く5桁はいくかも…。でも、このラインアップでアリーナ級ホールで日本国内ツアーなんてあったら楽しそうなんですけどねぇ。^^
by MCMLXV_65 (2010-12-01 23:42) 

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