Donald Fagen／『Kamakiriad』

Donald Fagen のソロ・アルバムの中ではあまり聴く機会の少ない『Kamakiriad』だが、きのう取り上げたライブ盤を久しぶりに聴いたことで Donald Fagen のアルバムが聴きたくなり、この『Kamakiriad』を引っ張り出してきた。以前はあまりピンとくるものがなかった『Kamakiriad』だが、今回すんなりと聴くことができてちょっと驚いている。

以前、感じていたこのアルバムの印象は、作り込み過ぎな感があって聴いていても楽しめるような感じがあまりしなかった。しかし、今回久しぶりにアルバムを最初から聴いてみて、なんとなく今の状況にピタリとはまるモノがあった。

この2ndソロ・アルバムはきのう取り上げた The New York Rock and Soul Revue のプロジェクトで久々にステージで共演を果たした Steely Dan 時代の Walter Becker がベースとギターを弾き、やはりこのプロジェクトでサックスを吹いていた Cornelius Bumpus もこのソロ・アルバムには参加していた。

Walter Becker は4曲目の『Snowbound』で Donald Fagen と久々に曲を作り、この2ndアルバムのプロデューサーにも起用された。そして、きのうのライブ盤で Executive Producer に名前があり、この『Kamakiriad』がリリースされた頃には Donald Fagen と結婚していた Libby Titus が6曲目の『Florida Room』でやはり Donald Fagen と曲を作っていた。

この『Kamakiriad』の収録曲で Donald Fagen 以外の他のアーティストが正式にクレジットされていたのは、この2曲だけだった。

前作『The Nightfly』から実に10年もの間隔を置いてリリースされた『Kamakiriad』は近未来の夢の自動車にちなんだコンセプト・アルバムで、人生の青年期をテーマにしていた前作『The Nightfly』に対し、中年期をテーマにた8曲が並べられていた。

Steely Dan 時代のアルバムでは初期のアルバムに似た感じのする『Kamakiriad』は、前作『The Nightfly』よりライブな感じのするアルバムで、The New York Rock and Soul Revue での活動が少なからずこのアルバムに影響しているのでは? とも感じられた。

Steely Dan の活動後期はライブよりスタジオ・ワークに集中し、ステージ活動から遠ざかっていた Donald Fagen だが、奥方になる Libby Titus や古くからの友人と久々のステージ活動を楽しんだことで、緻密さが薄れた代わりにライブの雰囲気にも似た臨場感や面白さをこの『Kamakiriad』に感じた。

そう思いながら『Kamakiriad』を聴くと不思議と目の前で Donald Fagen を中心としたメンバーがステージにいるような雰囲気にもなる。この感覚が『Kamakiriad』のアルバムの印象が変わった一番の理由かもしれない。

『Kamakiriad』は2007年にリリースされた Donald Fagen の3枚のソロ・アルバムを収めた『Nightfly Trilogy』にも収録され、このときには4曲のボーナス・トラックが追加されていた。

Kamakiriad　
Trans-Island Skyway
Countermoon
Springtime
Snowbound
Tomorrow's Girls
Florida Room
On The Dunes
Teahouse On The Tracks
【The Nightfly Trilogy Bonus Tracks】
Big Noise, New York
Confide In Me
Blue Lou
Shanghai Confidential

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コメント 2

このアルバムもなかなか良いとおもうのですが、やはり1stのインパクトが強すぎるのでしょうか・・・・
by seawind335 (2010-12-01 23:33) 

そうですねぇ、1stの楽しさを期待して肩透かしを食らった方も多いのではないでしょうか。

私も一頃聴かなくなってしまったアルバムですが、今回本当に久しぶりに聴いて、ちょっと印象が良い方向に変わりました。これも年が経って好みが変わってきた表れなんでしょうか…ね。^^;
by MCMLXV_65 (2010-12-01 23:47)