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Joan Jett/『Evil Stig』 [CD]

Evil-Stig.jpgJoan Jett が1995年にリリースした『Evil Stig』というアルバムは、1986年にアメリカのオハイオ州で結成されたパンク・バンドの The Gits のメンバーとレコーディングしたアルバムで、タイトルを逆から読むと『Gits Live』となる。

2枚のオリジナル・アルバムをリリースした The Gits は1993年にリード・ボーカルの Mia Zapata がレイプされ殺害されるという悲劇に見舞われてしまう。Mia Zapata の死後、Joan Jett は『Go Home』という曲を作り、この事件に関する情報を求める活動を起こし、The Gits の残されたメンバーとツアーも行った。

Joan Jett は The Gits のファンであると認め、このバンドの名前を Evil Stig としてアルバム『Evil Stig』をリリース。収益の大半をこの事件の捜査に寄付した。

『Evil Stig』のレコーディング・メンバーはボーカルとギターに Joan Jett。そして The Gits から Mia Zapata を除く残された3人のメンバー、ベースの Matt Dresdner、ドラムの Steve Moriarty、ギターの Joe Spleen が参加している。

アルバム序盤の4曲と『Guilt Within Your Head』、『Second Skin』、『Drunks』の7曲は The Gits が1993年にリリースした2ndアルバム『Enter: The Conquering Chicken』の収録曲で、『Another Shot Of Whiskey』は1992年のデビュー盤『Frenching the Bully』に収録された曲だった。また『Whirlwind』は2003年に『Enter: The Conquering Chicken』がリイシューされた際にライブ・バージョンとして追加された曲だった。

『Evil Stig』の他の収録曲は3曲が Joan Jett の過去にリリースした曲で、『Activity Grrrl』は1993年にリリースしたアウトテイクやレア曲を集めた『Flashback』に、『You Got a Problem』は1994年リリースの『Pure and Simple』に、そして『Crimson & Clover』は1981年に大ヒットしたアルバム『I Love Rock 'n' Roll』に収められた曲だった。

そして残る『Last To Know』は Joan Jett と The Gits に残された3人らが作った曲だった。

日本盤の『Evil Stig』には13曲目の『Drunks』の後に『Last To Know』のデモ・バージョンが収められ、さらに長いブランクの後に先に記した『Go Home』が隠しトラックとして収められている。この2分少々の『Go Home』が終わった後にも約7分くらいのブランクがあり、最後に30秒にも満たないアカペラの歌が収められている。

Mia Zapata の事件は Joan Jett らの活動があったにも関わらず大きな進展がなかったが、2003年に事件当時に残されていた証拠と DNA の一致する容疑者が見つかり、2004年にこの容疑者には36年の禁固刑が言い渡された。

『Evil Stig』に収められた曲はほとんどが3分未満の短い曲ばかりで、Joan Jett が絡んだ4曲だけが3分を越すだけ。隠しトラックを除けば40分にも満たない短いアルバムだが、The Gits の曲と Joan Jett のボーカルはとても合っていた。

事件が解決しなければ今も重苦しい雰囲気の漂うアルバムだったかもしれない。しかし、事件が無事解決したことで、Joan Jett と The Gits の両者のいい点が見事に融合したパンク・ロックの優れた一枚として今は楽しく聴けるようになった。

Evil Stig
Sign Of The Crab ※II
BOB (Cousin O.) ※II
Drinking Song ※II
Spear & Magic Helmet ※II
Last To Know
Guilt Within Your Head ※II
Whirlwind
Another Shot Of Whiskey ※I
Second Skin ※II
Activity Grrrl
You Got a Problem
Crimson & Clover
Drunks ※II
Last To Know (demo)
Go Home (hidden track)
※I:『Frenching the Bully』収録曲
※II:『Enter: The Conquering Chicken』収録曲
☆:Joan Jett のアルバムに収録された曲


タグ:Joan Jett 1995


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seawind335

Joan Jett に絡んで、そんな事件があったのですね・・・

でも、Joan Jett は、ストイックなまでに自分の「音楽道」を追求する姿に頭が下がりますね。
by seawind335 (2010-12-04 23:56) 

MCMLXV_65

最初、このアルバムはJoan Jettが参加しているという情報を聞き、試聴したら内容も1曲目から素晴らしく、即購入したアルバムでした。

アルバムの背景やタイトルに隠された意味は、その後、知ったのですが、暫くは事件に何の進展もなかったこともあって、とても重いイメージのアルバムだったのですが、最近暫くぶりにこのアルバムを見つけて、ネットで情報を調べていたら事件も解決したとあり、改めて聴いた次第です。

本文でも書きましたが、今聴いてもパンク・ロックがJoan Jettのボーカルに本当にマッチしています。機会があればぜひ一度ご視聴頂きたい一枚です!^^
by MCMLXV_65 (2010-12-05 00:51) 

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