Mylène Farmer／『Bleu Noir』

この秋に突然新作の情報が流れ、それがフル・アルバムの形態なのか、それともシングルだけのリリースなのか、いろいろと推測をした Mylène Farmer の通算8枚目のスタジオ・アルバム『Bleu Noir』。「黒いアザ」とも訳せる『Bleu Noir』に含まれる11曲をさっそく聴いてみた。(12曲目の『Inséparables』はボーナス曲扱い)

この『Bleu Noir』ではデビュー盤以来 Mylène のアルバムを手掛けてきた Laurent Boutonnat が全く関わっておらず、代わりに前作『Point de Suture』に収録された『Looking For My Name』でデュエットした Moby や、Archive というバンドに属する Darius Keeler、そして Lady Gaga の一連の曲をプロデュースした RedOne が曲作りの面で起用されている。作詞面ではアルバムの最後に収められた『Inseparables』で Moby が関わった以外、他の10曲は全て Mylène が書いている。

12月初旬にフランスでリリースされた『Bleu Noir』の店頭プロモーションの様子をネットで見ると大量の CD やアナログ盤がディスプレイされ、最近の Mylène のアルバムで恒例となった高額な限定盤も飛ぶように売れているようだ。『Bleu Noir』のフランスでのセールスは好調で、発売1週目にしてアルバム・チャートの No.1 にもなった。

しかし、ここ日本での『Bleu Noir』のオンライン・ショップでの取扱いは、つい最近になるまでほとんどなく、大手の amazon や HMV にリリース情報が出る前の11月中旬、M...in FRANCE というオンライン・ショップで予約をし、無事デジスリーブ仕様の限定盤を手にすることができた。(この M...in FRANCE、フランス系アーティストの CD や DVD が大手ショップに比べて品揃えも多く、リリース前の限定盤も事前取扱いを行なう場合があって、たいへん重宝している)

『Bleu Noir』からの1stシングルに選ばれた『Oui mais... non』は RedOne が手掛け、今までの Mylène の曲に比べるとダンサブルでアップテンポな曲になっている。Laurent Boutonnat とのコンビではあまりなかったタイプの曲だ。

またリリース前に Mylène の公式サイトでアルバムの情報が徐々に公開された時に聴けた『Leila』は中近東なイメージを持つ曲で、同時に公開された PV では砂漠やアラビア文字が映像の中にあった。この『Leila』は Darius Keeler が手掛けた3曲のうちの1つで、何度も繰り返される「Leila」というフレーズに不思議な雰囲気が漂っている。



Moby はこの『Bleu Noir』で6曲に関わり、タイトル曲『Bleu noir』も Moby が手掛けている。Mylène の明るく澄み切ったボーカルが聴けるタイトル曲も Laurent Boutonnat との最近のアルバムではあまりなかったタイプの曲だ。

ジャケットのデザインやタイトルが冬という時期に合いそうな雰囲気を持っている『Bleu Noir』だが、このアルバムで Laurent Boutonnat の手を離れて行なったことは、これ以降の新たな Mylène の方向を示すものなのだろうか? それとも次は再び Laurent Boutonnat の元に戻ってくるのか? 個人的にはこの『Bleu Noir』で試みた新しい路線を進む Mylène を聴いてみたいと思う。

Bleu Noir
Oui mais... non
Moi je veux...
Bleu noir
N'aie plus d'amertume
Toi l'amour
Lonely Lisa
M'effondre
Light Me Up
Leila
Diabolique mon ange
Inseparables
Inséparables (Version Française)

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