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The Rolling Stones/『Stripped』 [CD]

stripped.jpgThe Rolling Stones が Virgin 移籍後にリリースした2枚目のアルバムは、ちょっと変わったライブ盤だった。内容はアコースティックなライブで、1994年にリリースした Virgin 移籍後初のアルバム『Voodoo Lounge』に伴うツアーからオランダとパリ、ロンドンで行った音源が選ばれ、他はリスボンと東京のスタジオでレコーディングした内容となっていた。

1994年に行われた『Voodoo Lounge』ツアーでアコースティックなセットが好評だったことから、日本公演が行われたときに東京の EMI スタジオでリハーサルを兼ねたレコーディングを行い、それに続く欧州ツアーで実際にアコースティックなライブを実施。リスボンでのレコーディングも東京と同様なスタイルでリハーサルを兼ねたレコーディングだったらしい。

Mick Jagger の「ちょっと変わったライブ盤にしよう」というアイデアから作られた『Stripped』には、それまでのライブ盤にあまり収録されなかった曲が多く含まれていた。逆にそれが災いしてか、某中古ショップでこの『Stripped』は実に低価格で棚に並んでいる…。

かくいう自分も滅多に聴かない The Rolling Stones のアルバムの1つになってしまった『Stripped』だが、最初に聴いた印象は確かに「地味なライブ盤、アルバムだなぁ」という感想だった。

ライブ盤という体裁に一応はなっていたが臨場感に乏しく、その上、ライブで定番の曲も少ない。盛り上がりに欠けるアルバムという感想以外、感想らしい感想がないアルバムだった。

この『Stripped』からの1stシングルも Bob Dylan の1965年の『Like a Rolling Stone』をカットし、「とうとう The Rolling Stones がこの曲をカバーか…」という思いだった。次にカットされたシングルも1971年にアルバム『Sticky Fingers』からシングル・カットされた『Wild Horses』と、このシングル2曲にも正直響くモノが感じられなかった。

だが、この『Stripped』は時間の経過と共にその印象が変わったアルバムで、当時はあまり興味のなかった曲に面白さを感じるようになってきた。その中には『Let It Bleed』や『Dead Flowers』、『Love in Vain』があり、The Rolling Stones の油が乗りきった1960年代終盤から1970年代初頭にかけての曲は、ようやくその面白さが分かってきたという感じでもあった。

このアルバムがリリースされた頃の一番新しい曲である『Slipping Away』や、普段のライブでもアコースティック・セットでプレイされる『Angie』には今でもあまり格段な思いは感じられないが、『Dead Flowers』で Mick と Keith Richards がボーカルを分け合うスタイルは今でも見たいシーンの1つだ。最後の Howlin' Wolf によるシングルで知られる『Little Baby』は、それまでの The Rolling Stones のアルバムになかった曲で、こういう古いブルースもぜひライブで見たいと思わせる曲へと印象は変わっていった。

決して有名なアルバムではなく、誰にでも人気があるアルバムでもない『Stripped』だが、たまに聴くと新たな楽しみが増す不思議なアルバムだ。

stripped.jpgStripped Stripped (Live) [2009 Remastered Version] - The Rolling Stones
Street Fighting Man
Like a Rolling Stone ▽(Bob Dylan)
Not Fade Away ◯(Norman Petty/Charles Hardin)
Shine a Light
The Spider and the Fly ★(Nanker Phelge)
I'm Free
Wild Horses
Let It Bleed
Dead Flowers
Slipping Away
Angie
Love in Vain ★(Robert Johnson)
Sweet Virginia
Little Baby ★(Willie Dixon)
★:recorded at studio, Tokyo, Japan, from 3-5 March 1995
※:recorded at the Paradiso Club, Amsterdam, Holland, on 26 May 1995
◆:recorded at the Olympia Theatre, Paris, France, on 3 July 1995
▽:recorded at the Brixton Academy, London, England, on 19 July 1995
◯:recorded at studio, Lisbon, Portugal, from 23-26 July 1995


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コメント 2

seawind335

こういう、「裏ベスト的なライブ盤」を出してくれるアーティストって、本当にファンを大切にしているのではないかと思います。
by seawind335 (2011-01-15 01:08) 

MCMLXV_65

彼らくらいのキャリアを積まないとできないライブ盤ですよね。なかなか普通に活動をしていては、こういう趣向のアルバム、ましてやライブ盤って作れないでしょう。そしてレーベル移籍後の2枚目にこういうアルバムを作って、リリースしてしまうところに、またスゴイと思ってしまいます。^^
by MCMLXV_65 (2011-01-15 03:05) 

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