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Billy Joel/『My Lives』 [CD]

Billy Joel のオリジナルのスタジオ・アルバムは1993年の『River of Dreams』が最後。これ以降は公式に2枚のライブ盤がリリースされた以外、様々な編集盤がリリースされ、今度は1971年のソロ・デビュー盤『Cold Spring Harbor』から40周年を記念してという苦肉の策のベスト盤もリリースされる。

しかし、今回リリースされる『Love Songs』というベスト盤は一見新しいベスト盤のようだが、2010年暮れにオーストラリアでジャケットも全く同じくしてリリース済みのアルバムで、曲順を日本向けに並べ替えただけのもの。Billy 自らが選曲したという文言だけが先行しているが、こういうベスト盤の類はもう食傷気味だ。

新作である点をアピールするなら3月にリリース予定の Shea Stadium でのラスト・ライブをもっと積極的に謳うほうがよっぽどファンには嬉しい内容だと思うのが、最近のレコード会社はファンが何を求めているのか全く分からなのだろうか。ちなみに米 amazon にラインアップされているこの Shea Stadium でのラスト・ライブは DVDと2 CD というセットでわずか20ドル(2011年1月20日時点)という価格でラインアップされている。

My-Lives.jpgファンが魅力に感じる(と思われる)アイテムがあるにも関わらず、凡庸で魅力も感じない企画ベスト盤の情報を前にして、今回改めて聴いているのが2005年にリリースされた4枚の CD と『River of Dreams』リリース後のツアーを収めた DVD をセットにした『My Lives』というボックス・セットだ。

このボックス・セット、リリース当時はあまり評判が良くなかった。一見するとデモ音源や別テイク、シングルB面曲やオリジナル・アルバム未収録の曲が多かったのだが、このボックスに収められたスタジオ・アルバム収録曲とのバランスが悪く、ベスト・ヒット的な編集内容でもなく、これまでに Billy のアルバムをひと通り聴いてきたファンに向けたような内容になっていた。

CD の1枚目にはソロ活動を始める前の The Hassles や Attila の頃の音源もあり、それらに加えて The Lost Souls 名義の曲まであった。しかし、The Hassles や Attila 時代は数枚アルバムがあったはずなので、もっとこの時代の音源が復刻されてもよかったのではと思えた。

それ以外にデモ音源の多い1枚目で特に注目を集めた曲はアルバム『52nd Street』に収録された『Zanzibar』の別テイクだろうか。この別テイクで聴ける Freddie Hubbard のトランペットは全く別のもので、この部分だけでも貴重な音源だった。しかし、このボックスにある『52nd Street』関連の曲はこの『Zanzibar』以外に『Until The Night』だけ。他に目玉となるような曲はなかったのだろうか。

2枚目の CD も実に微妙な内容でシングルB面曲や Steve Winwood との未発表曲も含まれていたが、それらに混じって差し込まれていた既発表曲がいわゆる誰でも知っているようなヒット曲ではなく、シングル・カットされていないような曲が選ばれていた。

3枚目の CD は映画に提供した曲が多くあり、この点では前述の2枚に比べるとやや貴重度が高かったように感じられたが、それ以外の曲にはどうしてこの曲が選ばれたのか? と意味が伝わってこない曲が多かった。

4枚目の CD はライブ・テイクと後半に Billy が初めて作ったクラシックのアルバム『Fantasies & Delusions』からの曲が占められていたが、この後半部分はポップな Billy のスタイルと全く別の一面であって、これをこのボックスに収録する必要があったのか疑問だった。最後に『Glass Houses』に関するお喋りがあるのだが、そこまで辿り着くのがとても苦難に感じられた。

そして唯一の映像部分である『River of Dreams』ツアーの DVD は、既発表のビデオを DVD 化したもので決してここで初めて見られる内容ではなかった。

という訳で突っ込みどころ満載の『My Lives』だったが、ここでしか聴けないデモ音源やオリジナル・アルバム未収録の曲があったおかげで、たまに聴くと新鮮な感じのする Billy のアルバムでもある。

『My Lives』で新たにリリースされたデモ音源や未発表曲を聴く限り、まだまだ眠っている貴重な曲があるように思えてならない。そういう音源を発掘して丁寧なリマスターを行うことはリリースする側は考えていないのだろうか。

安易なバック・カタログの企画編集盤でお茶を濁すことをしても、今までに Billy のアルバムをまめに持っているファンには何の興味も惹かれない。『My Lives』ほどのボリュームは必要ないが、Billy が過去にリリースしてきた素晴らしいアルバムができるまでの過程を綴るようなアルバムであれば Billy のファンであれば聴きたいと思うのだが…。

My-Lives.jpgMy Lives
【Disc 1】
My Journey's End The Lost Souls (demo, never released)
Time And Time Again The Lost Souls (demo, never released)
Every Step I Take (Every Move I Make) The Hassles (album version)
You've Got Me Hummin' The Hassles (album version)
Amplifier Fire (Part 1) Attila (heavily edited)
Only A Man (demo, never released)
She's Got a Way (album version)
Oyster Bay (demo, never released)
Piano Man (demo, never released)
The Siegfried Line (demo, never released)
New Mexico (demo, never released) (became "Worse Comes To Worst")
Cross To Bear (demo, never released)
Miami 2017 (demo, never released)
These Rhinestone Days (demo, never released) (became "I've Loved These Days")
Everybody Has A Dream (album version)
Only the Good Die Young (alternate version, never released)
Until the Night (album version)
Zanzibar (album version, unfaded)
It's Still Rock & Roll to Me (album version)
【Disc 2】
Captain Jack (live Version, never released)
The End Of The World (demo, never released) (became "Elvis Presley Blvd.")
The Prime Of Your Life (demo, never released) (became "The Longest Time")
She's Right On Time (album version)
Elvis Presley Blvd. (b-side)
Nobody Knows But Me (soundtrack)
An Innocent Man (album version)
Christie Lee (demo, never released)
Easy Money (album version)
And So It Goes (demo, never released)
I'll Cry Instead (live, b-side)
Keeping the Faith (12 remix)
Modern Woman (album version)
Baby Grand duet with Ray Charles (album version)
Getting Closer duet with Steve Winwood (alternate version, never released)
House Of Blue Light (b-side)
Money Or Love (demo, never released)
The Times They Are A-Changin' (live album version)
【Disc 3】
The Downeaster "Alexa" (album version)
I Go to Extremes (live, never released)
Shout (live)
All Shook Up (B-side)
Heartbreak Hotel (soundtrack)
When You Wish Upon a Star (soundtrack)
In a Sentimental Mood (soundtrack)
Motorcycle Song (demo, never released) (became "All About Soul")
You Picked A Real Bad Time (B-side)
The River of Dreams (alternate version, never released)
A Hard Day's Night (live)
Light As The Breeze (album version)
To Make You Feel My Love (album version)
Hey Girl (album version)
Why Should I Worry (soundtrack)
Where Were You (On Our Wedding Day?) (soundtrack)
Highway 61 Revisited (demo, never released)
【Disc 4】
Movin' Out (Anthony's Song) (live)
You May Be Right duet with Elton John (live, never released)
Big Shot (live)
Don't Worry Baby (live)
Goodnight Saigon vietnam veterans version (live)
Los Angelenos (live)
New York State of Mind (live)
Opus 1. Soliloquy (On A Separation)
Opus 8. Suite For Piano (Star-Crossed) I. Innamorato
Opus 8. Suite For Piano (Star-Crossed) II. Sorbetto
Opus 8. Suite For Piano (Star-Crossed) III. Delusion
Elegy: The Great Peconic
Glass Houses Promo Talk
【Disc 5 - DVD】
No Man's Land
Pressure
The Ballad of Billy the Kid
Leningrad
Allentown
My Life
I Go to Extremes
Shades Of Grey
The River of Dreams
Goodnight Saigon
We Didn't Start the Fire
A Hard Day's Night
Big Shot
Piano Man
I Go to Extremes
Zanzibar
タグ:Billy Joel 2005


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