Pearl Jam／『Vs.』

Pearl Jam のアルバムは1998年の通算5枚目のアルバム『Yield』の頃からリアルタイムで聴くようになり、1991年のデビュー盤『Ten』から最新作の『Backspacer』まで意識しないうちに自然と全てのアルバムが集まった。

この1993年にリリースされた2ndアルバムの『Vs.』をアルバムとして聴いたのはリリースされてからかなり後になってのことで、たぶん2004年のベスト盤『rearviewmirror』や、頻繁にリリースされた Official Bootleg のライブ盤を聴いて『Vs.』に収録されたシングル以外の曲に興味を持ったのがきっかけだった。

『Vs.』がリリースされた1993年は先日取り上げた The Cranberries のデビュー盤や、Manic Street Preachers の解散宣言撤回後にリリースされた『Gold Against The Soul』、U2 の『Zooropa』が巷に溢れていた頃で、アメリカではグランジという流れに Pearl Jam があり、『Vs.』からのシングル『Go』や『Daughter』がヒット・チャートで流れていた。

そんな頃『Vs.』からの『Dissident』というシングルに強烈に惹かれ、このブログでもかなり前に紹介した『Dissident』のシングル3枚組を手に入れて、そこで聴けるジョージア州アトランタのライブに圧倒されてしまった。

『Dissident』のシングル3枚のシングルで聴けるライブの中にも『Vs.』からの曲が当然あり、というか、この頃のライブだからセットリストにある曲はデビュー盤『Ten』とこの2枚目の『Vs.』からの曲がほとんどで、ライブで聴ける『Rearviewmirror』や『Daughter』、『Go』、『Animal』にはヒット・チャート番組でオンエアされるスタジオ・テイクとはまた違う迫力があった。

『Vs.』はジャケットもまた不思議な感じのするアルバムで、表には羊の顔がアップで捉えられ、そこに Pearl Jam の文字があるだけでバンドのメンバーは誰も写っていなかった。このアルバムは当初タイトルが『Vs.』ではなかったらしく、ジャケットがプレスされる期限が迫ってもタイトルが決まらず、初期のアルバムには羊の画像以外に何もプリントされていないジャケットもあったらしい。

そして『Vs.』はリリースされると全米チャートに No.1 で初登場し、その最初の週だけで95万枚のセールスをマーク。この1週目の売上げ枚数はその後5年間破られることがなかった。アメリカだけで700万枚以上のセールスを記録し、他の国でも No.1 になった『Vs.』はイギリスでも最高2位を記録してゴールド・ディスクも獲得した。

『Vs.』からのシングルは全米シングルの総合チャートを賑わすことはなかったが、ロック系のチャートでは1stシングルの『Go』が最高3位、2ndシングルの『Daughter』は8週間 No.1 を記録。3rdシングルの『Animal』は同チャートで21位止まりだったが、4枚目のシングル『Dissident』は最高3位までランク・アップした。

『Vs.』はプロデューサーが Brendan O'Brien に代わったことでデビュー盤の『Ten』よりクリアになった印象があり、グランジという括りより、ロックなアルバムとして洗練されたアルバムに感じられた。そして1990年代を代表するアルバム・レビューでは常に上位にランクされるアルバムへと評価は高まっていった。

デビュー盤の『Ten』が2009年に Brendan O'Brien の手でリマスターされたが、2011年に Pearl Jam はバンド結成20年を迎えるので他のアルバムもリマスターやリイシューの計画があるらしい。『Ten』のリイシューでは DVD も付いたバージョンもあったが、ひょっとしたらこの『Vs.』も同様にいろいろな素材を集めたリイシュー盤が計画されているのかもしれない。

Vs.
Go
Animal
Daughter
Glorified G
Dissident
W.M.A.
Blood
Rearviewmirror
Rats
Elderly Woman Behind the Counter in a Small Town
Leash
Indifference

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