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Cheap Trick/『Next Position Please』 [CD]

Cheap Trick のアルバムを取り上げたここ数日のブログの閲覧数は毎日右肩上がりで、やはりこのブログをご覧になる方の中には Cheap Trick のファンが多いのかな? という様子で、おかげさまで So-net ブログの「音楽」というカテゴリでこれまでの最高位となる25位をマーク! あともう一息で Top20 入りか? というヘンな期待も募ってきた?? (スイマセン、ちょっと関係ない話題でした…)

Next-Position-Please.jpg3日連続で取り上げる Cheap Trick のアルバム、今回は1983年にリリースされた『Next Position Please』で、このアルバムも最近まで前作の『One On One』同様、長いこと廃盤状態にあり、2010年に『One On One』との 2in1 という形態でリマスター&リイシューされ、久々に陽の目を見た。

1980年代序盤、Cheap Trick は低迷期に入ってしまうが、『All Shook Up』と『One On One』の2枚はセールス面やチャート・アクションこそ奮わなかったが、その内容は過小評価されたアルバムだった。

『Next Position Please』のプロデューサーにはニューヨーク出身のバンド Utopia のリーダー Todd Rundgren が起用された。Utopia や自身のソロ・アルバムのプロデュース以外に Cheap Trick の属する Epic のアーティストでは Meat Loaf や Jim Steinman で実績を上げていた Todd Rundgren は Cheap Trick のメンバーとは Rick Nielsen と1960年代から旧知の存在だった。だが、1979年の『Dream Police』以降の4枚のアルバム全てでプロデューサーが変わることは正しい判断だったのだろうか?

そして Cheap Trick の属するレーベル Epic は、バンドは売れてこそ価値があると見て直近2枚のアルバムの不振からバンド側にそれまで以上に口を出すようになった。

この『Next Position Please』には The Motors というイギリス出身のバンドの1977年のヒット曲『Dancing The Night Away』が収められた。それまでにメンバー以外の手掛けた曲もアルバムに採用してきた Cheap Trick だったが、この『Dancing The Night Away』の収録はバンド側の意向ではなく、Epic 側の要望だった。

また『Dancing The Night Away』ではプロデュースを Todd Rundgren が拒否し、代わりに前作『One On One』でエンジニアを担当し、Epic と同系列のレーベル CBS で Psychedelic Furs のプロデュースも手掛けた Ian Taylor が起用され、Cheap Trick のメンバーと共に『Dancing The Night Away』を纏めあげた。こういう経緯があるおかげでこの曲は余計に『Next Position Please』の中で浮いた存在に感じられた。

『Next Position Please』には Cheap Trick のメンバー以外の曲がもう1曲あり、『Heaven's Falling』は Todd Rundgren が提供した曲で、この曲では Rick Nielsen の弾くアコースティック・ギターや、メンバーのコーラスが初期の頃の曲のようで『Dancing The Night Away』のような違和感がない。途中にある Rick Nielsen のギター・ソロも気持ちよさそうに聞こえる。

そして『Next Position Please』ではボーカル Robin Zander の初の単独作もあった。アルバムのトップを飾る『I Can't Take It』は問題の『Dancing The Night Away』に続いてシングル・カットされたが、残念ながらチャートインを果たせなかった。しかし、後にリリースされるライブ盤『Music For Hangovers』や、バンド結成25周年を記念したライブ盤『Silver』にも収録され、ベスト盤でも Cheap Trick を代表する欠かせない曲として選ばれている。

Robin Zander は『Younger Girls』でも Rick Nielsen と共作しているが、その他の『Next Position Please』にある曲は全て Rick Nielsen の単独作で、過去の曲を新たに仕上げて『Next Position Please』に収めた曲もあった。

しかし Cheap Trick はレーベル主導で作られた『Next Position Please』に満足できなかったようで、2006年にデジタル配信というかたちで The Authorized Version という『Next Position Please』をリリースしている。

新装版『Next Position Please』にはオリジナルのリリース当時にカセット版のみ収録の『You Talk Too Much』と『Don't Make Our Love A Crime』と、当初収録予定だった『Twisted Heart』と『Don't Hit Me With Love』という2曲を追加。レーベル側の意向で収録した『Dancing The Night Away』と『You Say Jump』の2曲をボーナス曲扱いにし、全16曲構成でリイシューされた。

今回手に入れた 2in1 の『Next Position Please』は1983年にリリースされたオリジナルの LP に準じた内容なので12曲入りと2006年の新装版に比べて曲が少ないが、それも当時のオリジナルを知る意味ではいいかと思っている。

なお、この『Next Position Please』のジャケットは1975年にリリースされた Bruce Springsteen のアルバム『Born To Run』のパロディだそうだ。レーベル側からすれば売上げ挽回を期待したアルバムなのに、こんな遊び心をジャケットに使ってしまう点に Cheap Trick らしいな…と、思わずニヤリとさせられてしまう。

Next-Position-Please.jpgNext Position Please
I Can't Take It
Borderline
I Don't Live Here Anymore
Next Position Please
Younger Girls
Dancing The Night Away
3-D
You Say Jump
Y.O.Y.O.Y.
Won't Take No For An Answer
Heaven's Falling
Invaders Of The Heart
タグ:1983 Cheap Trick


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seawind335

確かに「I Can't Take It」は、名曲で、Liveでも盛り上がるのに・・・厳しい時代だったのですね。でも、普通のバンドなら分裂する危機になるところを彼等は信念とチームワークで乗り切ったから、現在があるのだと思います。
彼らには、Live盤「Gold」まで頑張ってほしいですね!(^^♪
by seawind335 (2011-01-30 19:47) 

MCMLXV_65

何をしてもうまくいかない時期だったと思うしかないのでしょうが、ここでバラバラにならずに次のことにまた集中したのが長く続いた秘訣だったのかもしれないですね。
確かに次の記念ライブ盤は『Gold』っていいかもしれません! 今度はどんなゲストが出演するのか、それも楽しみに思います!!
by MCMLXV_65 (2011-01-30 19:55) 

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