Aerosmith／『Nine Lives』

この Aerosmith が Columbia レーベルに復帰しての1作目、通算12枚目のスタジオ・アルバム『Nine Lives』がリリースされた1997年には、よもや Steven Tyler がアイドル発掘番組の審査員に起用されるなんて予想だにしなかった。

この『Nine Lives』の前作『Get a Grip』で Aerosmith は初の全米 No.1 アルバムに輝き、アメリカだけでも700万枚のセールスを記録。その『Get a Grip』でのレーベル Geffen から Columbia に移籍しての第1弾となった『Nine Lives』も全米 No.1 アルバムになり、セールス面では『Get a Grip』に及ばないものの、アメリカだけで200万枚を売り上げた。

『Nine Lives』からはシングルも続々とカットされ全米チャートを賑わした。プロモーションを兼ねてアルバム・タイトルの『Nine Lives』がまずラジオ向けにリリースされ、ロック系チャートで最高37位とまずまずのヒットを記録。Steven Tyler の本物の猫そっくりな鳴き声も収録された『Nine Lives』は、アルバム・リリース後に行われたツアーではオープニング曲にも選ばれた。

そして実質的な1stシングルには『Falling In Love (Is Hard On The Knees)』が選ばれ、全米チャートで最高35位を記録、ロック系チャートで5週間連続 No.1 を記録した。この曲の PV は MTV Video Music Award で Best Rock Video にも選出された。

2枚目のシングルにはアルバムでも3曲に配された『Hole In My Soul』がカットされて全米チャートで最高51位、ロック系チャートで最高4位と、まぁまぁのヒットを記録。続く『Pink』はロック系チャートで4週間にわたって再び No.1 を獲得し、全米チャートで最高27位まで上昇。PV は『Falling In Love (Is Hard On The Knees)』に続いて2年連続で MTV Video Music Award で Best Rock Video に選ばれた。

アルバム『Nine Lives』はシングルになった曲が並ぶ前半はまさに圧巻の流れで、インド風な『Taste Of India』という曲もあり全く飽きさせない展開だった。その怒涛の前半に比べると後半はやや失速感もあるが、それでも Aerosmith らしいロックな曲と、『Pink』に代表されるバラードのいい曲が揃っていて、約1時間を退屈させないアルバムになっていた。

リリース当初の『Nine Lives』はジャケットに蛇の群れる中に猫の頭を付けた女性が描かれていたが、このイラストがヒンズー教からクレームを受け、円形の的に猫の頭の男性が磔になったイラストに差し替えられた。だが初期イラストの『Nine Lives』が相当な枚数出回った後での差し替えだったので、問題のイラストの『Nine Lives』は全く珍しい存在ではないようだ。

「a cat has nine lives」という英語の諺が由来になっている『Nine Lives』のブックレットには、それを意味するようなイラストが全部で12個あり、それぞれのイラストにその前のイラストが引き継がれるように描かれていた。

『Nine Lives』はジャケットの違いで2種類あるが、収録曲違いでも13曲入りのアメリカ盤に加え、12曲目に『Falling Off』を挿入した14曲入りもあり、さらに日本盤はアメリカ盤の13曲に2曲を追加した15曲入りとしてリリースされた。

そして14曲仕様の『Nine Lives』に映画『Armageddon』に提供した『I Don't Want To Miss a Thing』を収めた15曲入りもあるが、これは『Nine Lives』としての流れが最後の曲で崩れてしまうので、あまりお勧めではないだろう。

Nine Lives
Nine Lives
Falling In Love (Is Hard On The Knees)
Hole In My Soul
Taste Of India
Full Circle
Something's Gotta Give
Ain't That a Bitch
The Farm
Crash
Kiss Your Past Good-Bye
Pink
Falling Off
Attitude Adjustment
Fallen Angels

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