The Pretenders／『Last Of The Independents』

The Pretenders は1990年に通算5枚目のアルバム『Packed!』をリリースするも、大きなヒット・シングルもなく、イギリスでのアルバム・セールスはシルバー・ディスクに相当する6万枚に留まった。

その『Packed!』から4年後にリリースされた6枚目のスタジオ・アルバム『Last Of The Independents』では1980年代に数多くのヒット曲を手がけた Tom Kelly と Billy Steinberg のコンビが起用された。

The Pretenders の中核を成す Chrissie Hynde とこのコンビの3人は1曲目の『Hollywood Perfume』を始めとして『Last Of The Independents』で5曲を共作。その中にはシングル・カットされた『Night In My Veins』や『977』があり、1986年の『Hymn To Her』以来となる全英チャートで Top10 入りを果たした『I'll Stand By You』もあった。

Tom Kelly と Billy Steinberg のふたりが手がけると、そのどれもがヒットを予感させるような曲に感じるが、The Pretenders の場合にもそれがあてはまり、1stシングルの『Night In My Veins』は全英チャートで最高25位を記録し、全米ロック系チャートでも最高2位まで上昇し、同チャートの The Pretenders のシングルとしてそれまでの最高位をマークした。

そして3人が共作した2ndシングルの『I'll Stand By You』は全米チャートで1986年の『Don't Get Me Wrong』以来の Top20 入りを果たし、最高16位を記録した。

『I'll Stand By You』は The Pretenders のオリジナル以外にも度々カバーされ、2004年にはイギリスの女性グループ Girls Aloud がチャリティ・シングルとしてリリースし、全英チャートで2週連続 No.1 を記録して20万枚以上のセールスを挙げた。

また2007年には Carrie Underwood がアメリカン・アイドルの特別番組 Idol Gives Back でカバーを披露し、やはりチャリティ向けにシングル・カット。この時はデジタル配信の収益全額を寄付するとし、30万ものダウンロードがあった。Carrie Underwood のバージョンは全米チャートで最高6位まで上昇した。

『I'll Stand By You』はその他にもカバーされ、テレビ・ドラマの『glee』に使われてサウンドトラック盤の『glee: the music, Volume 2』 にも収録。そしてアメリカン・アイドルのシーズン10でも Pia Toscano が歌い、大きな反響を呼んだ。

『Last Of The Independents』での The Pretenders の創設時のメンバーは Chrissie Hynde の他に Martin Chambers の名前があったが、わずか4曲でドラムを叩いただけで、他にふたりのドラマーが起用され、曲によってベースやギターも外部ミュージシャンが入れ替えで起用されていた。

そんな環境で作られた『Last Of The Independents』だったが、Chrissie Hynde のボーカルがあると不思議と The Pretenders の曲として聴こえてきた。

『Last Of The Independents』の一部の曲のミックスは Bob Clearmountain が関わっていたので、初期の The Pretenders を思わせるようなサウンドにも仕上がっていた。

『Last Of The Independents』は全英チャートで最高8位を記録して1986年の『Get Close』以来の Top10 入りを果たし、セールスも10万枚以上をマークしてゴールド・ディスクを獲得した。全米チャートでも『Get Close』となる50万枚以上のセールスをあげてゴールド・ディスクを獲得した。

Last Of The Independents
Hollywood Perfume
Night In My Veins
Money Talk
977
Revolution
All My Dreams
I'll Stand By You
I'm A Mother
Tequila
Every Mother's Son
Rebel Rock Me
Colours
Forever Young

タグ：The Pretenders 1994