Britney Spears／『The Singles Collection』

Britney Spears はデビュー当時からいろいろと言われてきたが、最新作の『Femme Fatale』も含めてよく聴いてきたアーティストのひとりだ。

この2枚目のベスト盤『The Singles Collection』はその前のベスト盤『Greatest Hits: My Prerogative』から5年後のリリースで、その間にリリースされたスタジオ・アルバムは『Blackout』と『Circus』の2枚のみ。『Greatest Hits: My Prerogative』との重複も多くてリリース当時は触手が動かなかった。しかし先日 HMV の1000円均一セールで『Blackout』と『Circus』と共にラインアップされていたので、Britney の低迷期の3枚をまとめて手に入れた。

『Blackout』と『Circus』の2枚を低迷期のアルバムと書いたが、この2枚のアルバムから全米チャートで Top5 入りしたシングルは3枚もあり、その中の『Womanizer』はデビュー・シングルの『...Baby One More Time』以来となる No.1 を記録した。

Britney のシングルはもっと全米 No.1 になっていそうに思っていたが、この間に限れば No.1 シングルはこの2曲だけ。そしてこの『The Singles Collection』に含まれた唯一の新曲『3』は3曲目の No.1 シングルになった。

『The Singles Collection』は1曲目がその No.1 シングルの『3』で始まり、後はデビュー盤の『...Baby One More Time』以降の主だったシングルがリリース順に並べられている。ベスト盤として至極まともなつくりで、このベスト盤のために全曲新規リマスターされたくらいしか目新しい点はなかった。

3枚目のスタジオ・アルバム『In The Zone』がアメリカだけで300万枚に迫るセールスを記録した Britney だったが、続く2枚はそこまで及ばず。それでもシングルや数々のオフ・ステージでの話題が豊富だった頃にレーベル側が仕掛けた企画盤という意図が、このベスト盤には感じられた。それだけにあまり手間もかけられなかったというのが真相だろうか。

だが、売れなかった印象の『Blackout』もアメリカではあともう少しで100万枚に達する勢いで、続く『Circus』はアメリカで170万枚も売れた。CD というメディアが売れない時期に、デビュー盤以降の3枚のスタジオ・アルバムに比べれば枚数の面でも大きな差がついた2枚のスタジオ・アルバムだが、それでもここまでの数字を残しているのだから Britney のアメリカでの人気は大したものだ。

『The Singles Collection』は基本18曲入りの CD 1枚モノを含め、PV を収めた DVD が同梱されたバージョンや、29枚のシングルと26曲の PV を収めた DVD を加えたボックスや、デジタル配信など複数の形態があった。

リリース順に並べられているので初期の Max Martin が中心になって作られた頃から、The Neptunes や Tricky などがプロデュースに加わって、ただのキャンディ・ポップから脱皮を図っていく変化が如実に分かるようになっていた。『I'm A Slave 4 U』や『Toxic』、Madonna が絡んできた『Me Against The Music』あたりは PV の出来も良く、Britney がいろんなメディアに登場した時期でもあった。

『The Singles Collection』で『Toxic』以降の曲となると『Womanizer』が一番印象に残っている。この前後の曲もブックレットにある様々な記録によると、大なり小なりのヒットを記録しているが、その割に今ひとつ記憶に残っていない。

『The Singles Collection』の最後は『Radar』で終わるが、この『Radar』は『Blackout』で初登場し、『Circus』にもボーナス曲として追加された。全米チャートでは最高88位と全く奮わなかった曲だが、このベスト盤を含め3回も収録と、『Radar』には何らかのこだわりがあるのだろうか?

『Toxic』の頃まで Britney の存在は音楽シーンだけに留まらず、同世代の女性のファッションやスタイルにまで影響を与えていた。それだけに、これ以降の凋落ぶりもみごとで、勢いで結婚したとも言われた当時の夫は WWE のリングにも登場し、Britney がリング上のネタにされることも珍しくなかった。(いつかは Britney 本人もリングに登場するのではないかと密かに恐れていたが、やはりそれはなかった…)

それだけに再び『Femme Fatale』で(何度目かの…)カムバックを果たし、久々に PV でも元気な Britney を見られたのは嬉しくもあった。

The Singles Collection
3
...Baby One More Time
(You Drive Me) Crazy (The STOP Remix!)
Born To Make You Happy
Oops!... I Did It Again
Stronger
I'm A Slave 4 U
I'm Not A Girl, Not Yet A Woman
Boys (The Co-Ed Remix) (featuring Pharrell Williams)
Me Against The Music (featuring Madonna)
Toxic
Everytime
Gimme More
Piece Of Me
Womanizer
Circus
If U Seek Amy
Radar

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