Stevie Nicks／『In Your Dreams』

この Stevie Nicks の新作『In Your Dreams』は前作『Trouble in Shangri-La』から10年ぶりに届けられたアルバムで、その長いインターバルにも関わらず全米チャートで初登場6位をマークと、音楽メディアからもかなりいい評価を受けている。

Stevie Nicks と言えばあのちょっと気怠い感じのボーカルが特徴で、それはこの新作でも健在…、というより以前にも増してその特徴あるボーカルがピッタリ似合うようになってきた。

その割には新作の表ジャケットに写る馬を引く女性、これが Stevie Nicks なのだろうか…? その経歴を知らない方には Stevie Nicks というアーティストがこのジャケットに写る女性なのかと勘違いをしてしまいそうだ。(どう見ても今現在の Stevie Nicks とは…)

『In Your Dreams』のプロデュースには Alanis Morissette の一連のアルバムのプロデュースで知られる Glen Ballard と、元 Eurythmics の David A. Stewart がメインで担当している。

Stevie Nicks と David A. Stewart のふたりはこの新作の半分以上を占める7曲を共同で書き、作曲の面でも David A. Stewart はやはり半数近い6曲で関わり、裏ジャケットではその堂々とした存在感も大きく写っている。

一説には2010年の初めからこのふたりで曲作りが始められ、中断があったものの約1年の歳月をかけて作られた『In Your Dreams』に Stevie Nicks という存在感はたっぷりと詰まっている。

Stevie Nicks のボーカルはスローなバラードでとても存在感があるが、新作のタイトル曲である『In Your Dreams』や、ロックな『Ghosts Are Gone』ではかつての『Edge Of Seventeen』を彷彿させるようなボーカルも披露している。この2曲は『In Your Dreams』でも特に好きな曲だ。

Tom Petty & The Heartbreakers のギタリスト Mike Campbell や、Fleetwood Mac 時代の Lindsey Buckingham や Mick Fleetwood もこの新作には参加していて、他にもギターに Waddy Wachtel、ドラムに Steve Ferrone の名前もあり、プロデュースを務めた Glen Ballard もギターやキーボード類を担当と、Stevie Nicks の周囲はガッチリとしたサウンドで固められている。

『In Your Dreams』にある曲は比較的長い曲が多いが、David A. Stewart がよく纏め上げているというべきか、手練れな周囲の中にあっても Stevie Nicks という存在が埋もれていない。音だけを聴いても華やかな印象が感じられる。

Stevie Nicks というキャラクターに合わせたわけではないだろうが、曲のタイトルに Angel や Ghost、Secret、Moonlight という単語が並び、『Moonlight』の副題には Vampire なんて単語もあり、それだけで Stevie Nicks のアルバムという雰囲気も感じてしまう。

そう思って改めて『In Your Dreams』の表ジャケットを見ると、白い馬もユニコーン(一角獣)のように見えてくるから不思議だ。

In Your Dreams
Secret Love
For What It's Worth
In Your Dreams
Wide Sargasso Sea
New Orleans
Moonlight (A Vampire's Dream)
Annabel Lee
Soldier's Angel
Everybody Loves You
Ghosts Are Gone
You May Be The One
Italian Summer
Cheaper Than Free (featuring Dave Stewart)

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