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Paul McCartney/『McCartney II (Deluxe Edition)』 [CD]

McCartneyII_DX.jpgPaul McCartney Archive Collection の第2弾にリリースされたもう1枚は1980年リリースのソロ・アルバム『McCartney II』で、この Deluxe Edition の装丁には鮮やかな水色が使われた。同時リリースの『McCartney (Deluxe Edition)』国内盤は限定5000セットだが『McCartney II (Deluxe Edition)』は限定3500セットと少なく、ネット上では早くも中古品で高い価格が付いているようだ。

『McCartney II (Deluxe Edition)』の構成はこれまでの Paul McCartney Archive Collection に準じ、リマスターされたオリジナル盤に加えて、ボーナス曲を収めた CD と、ボーナス映像を収めた DVD の3種類が全128ページのハード・カバーの本に収められている。『McCartney II』の Deluxe Edition にはボーナス曲を収めた CD が2枚あり、計4枚のディスクとなっている。

そして Paul の公式サイトから24bit/96KHzのハイレゾ音源をダウンロードできるコードが印刷されたカードもやはり同梱されている。公式サイトにはオリジナルの『McCartney II』収録の11曲に加えて2枚のディスクにあるボーナス16曲がそれぞれ Limited と Unlimited の2種類あり、アルバムジャケットなどの画像を収録した PDF を合わせた計55個のファイルが 8GB を超す1つの圧縮ファイルとして提供されている。

今回リマスターされた『McCartney II』は元々がチープな音作りだったので、どれだけリマスター効果があるのか少し疑問だったが、全体的に低音の魅力が増したように感じられ、1980年当時の最先端デジタル機器による音が1つの塊のようになって聴こえてくる。

以前の CD では時間の経過とともに古めかしい印象しか残っていなかった『McCartney II』だったが、今回のリマスターを経て『Coming Up』はバンドとして音がいい感じにまとまったようで、『Waterfalls』のように音数が少ない曲は以前はスカスカな感じだったが、そのスカスカ感を埋めるように音が目の前に広がるような感じになり、『Nobody Knows』のようなインストルメンタルではよりリマスター効果があるように感じられた。

1980年のリリース当時、『McCartney II』には Wings 時代の音を期待していたので、その落差にガッカリして、チープな感じがたくさんのアルバムに思い入れはあまりなかった。しかし、年が経つに連れて『Summer's Day Song』や『One Of These Days』のようなシングルにならなかったバラード曲の良さに気づき、『Bogey Music』のようなタイプの曲も「これはこれでありだな…」と思うようになっていった。

そんな変化のあった『McCartney II』なので、リマスター効果が相まって「こんなにベースとなる音がしっかりしていたのか?」と、少し驚きもした。

ブックレット内にある Paul のインタビューでは『McCartney』と『McCartney II』はともにその前のバンドが活動開始してから7年目に作られたソロ・アルバムで、「7年目の浮気」だとも書かれていた。この「7年目の浮気」という説はなかなか面白い発想だとも思えた。

ボーナス曲を収めた1枚目は公式に未発表だった曲や、アメリカでシングル・カットされた『Coming Up』のライブ・バージョンやアルバム未収録のシングル『Wonderful Christmastime』や、Linda がボーカルの未発表曲『Mr H Atom/You Know I'll Get You Baby』などがあり、バラエティに富んだ内容になっている。ここに『Wonderful Christmastime』のカップリング曲『Rudolph The Red-Nosed Reggae』も入れて欲しかったと、いろいろなところで論じられているがそれには同意見だ。

2枚目のボーナス曲にある Full Length Version はアルバム収録前の未完成バージョンのようで、意識して作ったロング・バージョンではなく無駄な部分が削られる前のバージョンと思ったほうがいいだろう。そんな中、ボーカルのない『Summer's Day Song』はこれだけでも立派な1曲として成立するだろうし、『Waterfalls』の短い編集バージョンも収録してあるのは良かった点だ。

DVD にある映像では『Meet Paul McCartney』が字幕付きである点が国内盤を買う理由の1つでもあったので、十分に楽しめる内容だった。国内盤は英語ブックレットの内容を全7ページにわたって日本語に訳しているので、これもありがたかった。

そして最後に『McCartney II (Deluxe Edition)』にあるハイレゾ音源のダウンロード特典だが、ダウンロードには2時間以上がかかり、その圧縮ファイルを Explzh で開くにもかなりの時間を要し、解凍されたファイルの中も CRC エラーがあったりと、『McCartney』のハイレゾ音源と違っていろいろと不満のある内容だった。

エラーが原因で一部ファイルが欠損していたので、これはダウンロード元のサポートに連絡して返事待ちの状態にあるが、他の音源を聴いた結果は『McCartney』や『Band on the Run』のハイレゾ音源同様に従来 CD で聴いていた曲との差は歴然で、『Waterfalls』やインストルメンタル曲では Unlimited なハイレゾ音源が良かったし、『Coming Up』や『Bogey Music』『Wonderful Christmastime』のような曲では Limited なハイレゾ音源が聴きやすい音になっていた。『McCartney II』のハイレゾ音源ではどちらか一方に決めてしまうのはもったいない感じだ。

McCartneyII_DX.jpgMcCartney II (Deluxe Edition)
【CD 1 - Remastered Album】
Coming Up
Temporary Secretary
On The Way
Waterfalls
Nobody Knows
Front Parlour
Summer's Day Song
Frozen Jap
Bogey Music
Darkroom
One Of These Days
【CD 2 - Bonus Audio 1】
Blue Sway (With Richard Niles Orchestration)
Coming Up (Live At Glasgow, 1979)
Check My Machine (Edit)
Bogey Wobble
Secret Friend
Mr H Atom/You Know I'll Get You Baby
Wonderful Christmastime (Edited Version)
All You Horse Riders/Blue Sway
【CD 3 - Bonus Audio 2】
Coming Up (Full Length Version)
Front Parlour (Full Length Version)
Frozen Jap (Full Length Version)
Darkroom (Full Length Version)
Check My Machine (Full Length Version)
Wonderful Christmastime (Full Length Version)
Summer's Day Song (Original Without Vocals)
Waterfalls (DJ Edit)
【DVD - Bonus Film】
Meet Paul McCartney
Coming Up Music Video
Waterfalls Music Video
Wonderful Christmastime Music Video
Coming Up (Live at Concert for the People of Kampuchea, 1979)
Coming Up (taken from a rehearsal session at Lower Gate Farm, 1979)
making the Coming Up Music Video
Blue Sway


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コメント 7

MASA

US amazonに「1」「2」とも注文中なのですが、まだ届きません。
送料込みで$105.55、日本円で¥8,465と、ほぼ国内盤のひと組分の値段で両方買えたので、ビンボー人には助かりました(笑)

次はワタシが個人的に最も好きな「RAM」だそうで、次回がすでに楽しみです^^。
by MASA (2011-06-24 22:01) 

MCMLXV_65

輸入盤は今月中旬にあちこちのブログで到着した記事がありましたが、MASAさんのとこはまだだったんですね。値段で私も大いに惹かれましたが、映像とブックレットの記事の訳が欲しくて、このシリーズは高い国内盤を選んでいます。確かにこの内外価格差は大きいですねぇ。シミジミと感じます…。^^;

そうそう、次の候補が『RAM』も含め幾つか挙がっているそうで、その告知のライナーが国内盤にはどこにもないんですよ。まずは1970年代のWings時代も含めた名盤があるようですね。あのライブ盤も含まれていて国内盤が幾らでリリースされるか今から戦々恐々です。
by MCMLXV_65 (2011-06-24 23:08) 

どうぷ

こんばんは。
次は『Ram』と『V&M』ですかね、11月頃でしょうか。どちらも大好きな作品なので、迷わずSuper DXを買いますw

Unlimitedで聴く「Waterfalls」は素晴らしかったです!逆に「Coming Up」はちとしょぼいかな。多分マスターがこの程度だから、コンプ掛けるのが正解でしょうね。

Twitterでもつぶやきましたが、今回リマスタリング・エンジニアが一名『BOTR』の時と交代しています。どうでもいい事ですが、理由が知りたいかも?!
by どうぷ (2011-06-24 23:45) 

MCMLXV_65

どうぷさん、こんばんは!次もダブルで来るんですかねぇ?国内盤二種類は正直キツイですね…。^^;
ハイレゾ音源は二種類を比べましたが、曲によって雰囲気が変わるので好みが分かれてしまいます。でも、贅沢な悩みですネ!
マスタリング・エンジニアの変更は思うにシンプルな曲が多いアルバムとバンド・サウンドなアルバムとでそれぞれ適任な方がいたのでは?という理由はどうでしょう?! ^^
by MCMLXV_65 (2011-06-25 00:01) 

MASA

希望的観測を含んでいるようですが、コチラが一応リリース・スケジュールのようです。
   ↓
http://wogew.blogspot.com/2011/06/mccartney-archives-collection-schedule.html

これによると、「RAM」と「VENUS AND MARS」が今年のクリスマス前後になるのでは?ということです。
散財はイタイですが、でもやっぱり楽しみですねー。
by MASA (2011-06-25 01:47) 

MCMLXV_65

わぁ、MASAさん。貴重なネタ元情報ありがとうございます。この予定を見ると今後がとても楽しみですねぇ!

2016年までの長期間みたいですが、今年を含めて6年の計画として、今年4枚がリマスターされたことを考えると2016年までに24枚のアルバムが…。でも、まだまだアルバムはありますね。^^;

これはリマスター盤に触手伸ばすのはPaulだけに専念しないと!
by MCMLXV_65 (2011-06-25 02:09) 

ht

マッカートニ&マッカートニー2のデラックエディションを
買い、ハイゾレ音源のDLを行いましたが、2枚とも
途中でストップしました。
その後、The number of redemptions for this code has been exceededとなってしまいました。
回避策はありませんか?
by ht (2011-07-02 22:35) 

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