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Heart/『Private Audition』 [CD]

Private-Audition.jpgここ最近立て続けに紹介している Heart のアルバム。この通算6枚目のスタジオ・アルバム『Private Audition』は、前作『Bebe Le Strange』の後に2枚組のライブ盤『Greatest Hits Live』を挟んで1982年にリリースされた。

『Greatest Hits Live』でそれまでの活動に一区切りをつけた Heart は『Bebe Le Strange』と同じメンバーで『Private Audition』の制作に臨み、プロデュースはデビュー盤『Dreamboat Annie』以降の全アルバムに関わった Mike Flicker の手を離れ、メンバー自らがその役目を担った。

『Private Audition』のプロデュースには Connie & Howie と表記されていたが、Connie とは Ann と Nancy の Wilson 姉妹と『Dog & Butterfly』から曲作りに参加している Sue Ennis を含めた3人の変名で、Howie はギターの Howard Leese のことだった。

『Private Audition』に収録された11曲は全て Heaet のメンバーによるオリジナルで、Nancy がメインに関わった『The Situation』と『One Word』では Nancy がボーカルも担当した。

アコースティック・ギターのイントロで始まる『City's Burning』は、すぐにハードな曲調に変化する、それまでのアルバムにあった Led Zeppelin を思わせるスタイルの曲で、この最初の曲で『Private Audition』に対する期待は膨らんだ。

『City's Burning』から間髪あけずに続く『Bright Light Girl』はコーラス・ワークが綺麗な曲で、ここではよりポップな面が前面に押し出されていた。

3曲目の『Perfect Stranger』は後の『What About Love』を予感させるような Ann のボーカルが聴けるバラードで、ストリングスも導入され、中盤のサビの部分では『What About Love』のヒントになったのでは…? とも感じた。

そして、タイトル曲の『Private Audition』は Nancy の弾くピアノがとても軽やかで、この手の曲はそれまでの Heart のアルバムになかった曲で、とても新鮮に感じた。その一方、Heart にこういうタイプの曲ができるのか! と驚かされもした。

LP でA面最後に配されたバラードの『Angels』はアコースティックな雰囲気の曲で、ここでもコーラス・ワークがさらに曲の良さを引き立てていた。

B面のトップはアルバムからの1stシングル『This Man Is Mine』で始まるが、こういう曲をシングルにしたのは Heart としては初めてではないだろうか。メンバー初のプロデュースで新機軸を狙ったのかもしれないが、Heart にしては起伏の少ない平坦な曲で、全米シングル・チャートでは最高33位止まりと、アルバムからのリード・シングルとして少し弱い印象の曲だった。

続く『The Situation』は一転、Heart らしさを感じる曲で、Nancy のボーカルもピタリとハマり、Ann のボーカルより幻想的な雰囲気を醸し出していた。

だが、Heart らしさは続くソフトな『Hey Darlin' Darlin'』で止まってしまい、Nancy が再びボーカルの『One Word』もまたバラードと、『Private Audition』の後半は今ひとつ盛り上がりに欠けた。

ソフトな流れはエンジン音の SE で始まる『Fast Times』の Ann のハイトーンなボーカルで変化をつけたが、終盤が少しダレ気味のこの曲は勢いだけで最後まで持たせているようだった。

最後の『America』もまたバラードと、『Private Audition』の後半は『The Situation』しか好きな曲が見当たらなかった。

『Bebe Le Strange』までのスタイルから変化を図ろうと、プロデュースも自らの手で行った『Private Audition』だが、それまでのスタイルを踏襲した数曲を除き、ソフトな曲や平坦に感じる曲が多く、『Bebe Le Strange』までの Heart を期待すると戸惑いを感じたアルバムだった。

それまで Heart のアルバムはアメリカで最低ゴールド・ディスクを獲得してきたが、『Private Audition』は初めてゴールド・ディスクに達しなかったアルバムで、全米チャートではそれまでで最低の25位までしか上昇できなかった。

そして、この後、オリジナル・メンバーのベースを弾く Steve Fossen とドラムの Michael DeRosier が脱退してしまい、Heart は Wilson 姉妹のふたりと Howard Leese の3人だけという事態になってしまった。

Private-Audition.jpgPrivate Audition
City's Burning
Bright Light Girl
Perfect Stranger
Private Audition
Angels
This Man Is Mine
The Situation
Hey Darlin' Darlin'
One Word
Fast Times
America
タグ:heart 1982


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