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Heart/『Passionworks』 [CD]

Passionworks.jpgまとめて手に入れた Heart の旧譜紹介も、この1983年リリースの通算7枚目のスタジオ・アルバム『Passionworks』で最後になる。前作『Private Audition』のリリース後に Heart はオリジナル・メンバーのふたりが抜け、新たにベースに Mark Andes を、ドラムに Denny Carmassi を加えて『Passionworks』の制作に入った。

前作で初めてのセルフ・プロデュースに挑んだ Heart だったが、この『Passionworks』では1980年代に入ってから Pat Benatar や Sammy Hagar、Rick Springfield のヒット曲をプロデュースしてきた Keith Olsen が新たに起用された。Pat Benatar の一連のアルバムを手掛けて成功した Keith Olsen なら Ann Wilson のハイトーンなボーカルを活かせるという考えもあっての起用だったのだろうか。

1曲目の『How Can I Refuse』や4曲目の『Sleep Alone』はその起用が見事当たったかのような曲になっていて、前者は『Passionworks』からの1stシングルに選ばれて全米チャートでは最高44位止まりだったが、全米のロック系チャートでは見事 No.1 を記録。後者も同チャートで最高43位とまずまずのヒットを記録した。

そして『Passionworks』からの2ndシングルには『Allies』が選ばれた。この曲は当時 Journey でキーボードを弾いていた Jonathan Cain が書いた曲で、Heart のシングルで外部ライター単独の曲がカットされたのは、これが初めてだった。

このミッド・テンポな『Allies』では TOTO の David Paich がピアノを弾き、いかにも Jonathan Cain らしい曲に仕上がっていた。ちなみに Journey に加入する前の Jonathan Cain は The Babys に属していたが、1980年にリリースされたアルバム『On The Edge』や『Union Jacks』のプロデュースは Keith Olsen が行っていた。

この頃の Heart は『Greatest Hits Live』からのシングル『Tell It Like It Is』が全米チャートで8位を記録した以外、大きなヒットに恵まれておらず、この『Allies』に懸けていたのかもしれない。だが、その思惑とは裏腹に全米チャートでは最高83位という結果しか残せなかった。

『Passionworks』では Heart のメンバー以外に TOTO の David Paich が『Allies』を含め『How Can I Refuse』からの3曲と『Language Of Love』に参加。TOTO からはもう一人、Steve Porcaro がアルバム最後の曲『Ambush』でシンセサイザーを担当していた。

このアルバムから加わった新メンバーの Mark Andes と Denny Carmassi も『How Can I Refuse』と『Blue Guitar』の曲作りに貢献し、『Dog & Butterfly』の頃から Wilson 姉妹と曲を作ってきた Sue Ennis も『Allies』と Nancy Wilson 作の『Love Mistake』を除く全曲に関わっていた。

Nancy だけがクレジットされた『Love Mistake』はボーカルも Nancy で、ここではかつての Heart が得意としていた幻想的な雰囲気もあった。

新メンバーを加えて、新たなプロデューサーも起用。そして外部ライターの曲をシングルにも選び、それまでの路線から転換を狙った(?)『Passionworks』だったが、全米チャートでの最高位は前作『Private Audition』より低い39位で、2ndアルバム『Little Queen』から属してきた Epic との関係も遂に終わりを迎えてしまった。

しかし、このときのメンバーは Capitol レーベルに移籍して1985年にリリースしたセルフ・タイトルの『HEART』に繋がり、外部ライターの曲を積極的に取り上げた結果、Heart 初の全米 No.1 シングルが生まれ、アルバムからはTop10 シングルが4枚も誕生した。アルバムも初の全米 No.1 に輝き、アメリカでのセールスは500万枚を突破した。

『Passionworks』はそのヒントを作ったアルバムというのは言い過ぎだろうか。『Passionworks』は現在、残念ながら単独アルバムとしての入手は難しく、前作『Private Audition』と共にデジタル・リマスターされた2枚組が2009年にリイシューされ、これが一番手に入れやすくなっている。

Passionworks.jpgPassionworks
How Can I Refuse
Blue Guitar
Johnny Moon
Sleep Alone
Together Now
Allies
(Beat By) Jealousy
Heavy Heart
Love Mistake
Language Of Love
Ambush
タグ:heart 1983


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