David Bowie／『Tonight』

先日イギリスの NME 誌が報じた内容によると、David Bowie の伝記『Starman』を手掛けたライターが Bowie は余程のことがない限り第一線に戻ってくることはないだろうと語ったそうだ。

その Bowie が1984年にリリースしたスタジオ・アルバム『Tonight』は1stシングルの『Blue Jean』が全英チャートで最高6位を記録。2ndシングルの『Loving The Alien』が同チャートで最高19位を記録と、この2曲がこのアルバムを代表する曲だろう。

アルバム『Tonight』は全英アルバム・チャートで1980年リリースの『Scary Monsters (and Super Creeps)』以来、3作続けて No.1 を記録し、全米チャートでも最高11位をマーク。100万枚を売り上げてプラティナ・ディスクに認定された。

だが、この『Tonight』に対する評価は Bowie ファンも含めて良いとは言い難い。全9曲中、Bowie 単独で書いた曲はシングルになった2曲だけで、5曲は Iggy Pop との連名扱いで、一説には Iggy を救済するため共同で書いた過去の『Tonight』や『Neighborhood Threat』などを引っ張り出し、印税が Iggy に渡るよう配慮されたアルバムだとも言われている。

アルバム・タイトル曲の『Tonight』はこの当時音楽シーンに復帰を果たした Tina Turner とのデュエット曲だが、その印象は両者の名前ほど効果があったか疑わしい。

Iggy とはアルバム最後の『Dancing With The Big Boys』で共演もしているが、ここではふたりと共にライターに名前がある Carlos Alomar のギターと派手に鳴り響くホーン・セクションが聴きどころで、Iggy の貢献度を上回っているようにも感じる。

Bowie 単独がライターに記された2曲と Igyy が関わった5曲以外の2曲はカバーで、『God Only Knows』は The Beach Boys の1966年のアルバム『Pet Sounds』にあった曲。『I Keep Forgettin'』は Jerry Leiber と Mike Stoller が書いた曲で、1962年に Chuck Jackson が最初にリリースした曲だ。余談だが、後者の曲を書いた Jerry Leiber は8月22日に亡くなったと訃報が報じられた。

シングルになった曲以外で『Neighborhood Threat』と『Dancing With The Big Boys』の2曲が好きな『Tonight』は、1995年に Virgin からリイシューされた際に映画に提供した3曲がボーナス曲として追加された。

しかし、1999年に EMI からリイシューされた『Tonight』は 24bit デジタル・リマスターが行われたがボーナス曲がなかったので、これから『Tonight』を購入する方はこの両者の違いに注意が必要だ。

Tonight
Loving The Alien
Don't Look Down
God Only Knows
Tonight
Neighborhood Threat
Blue Jean
Tumble And Twirl
I Keep Forgettin'
Dancing With The Big Boys

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