TOTO／『Falling In Between』

震災の影響から延期になっていた来日公演が間近に迫ってきた TOTO が2006年にリリースした現時点での最新スタジオ・アルバムがこの『Falling In Between』になる。このアルバムがリリースされたのは2006年と、もう5年も前のことになるのが少し驚きでもある。

TOTO と言えばメンバーの移り変わりもアルバムごとの話題で、この『Falling In Between』では Eric Clapton の1980年代中盤のアルバムに参加したキーボーディストの Greg Phillinganes が正式に TOTO のメンバーに迎えられたことがまた驚きだった。

Greg Phillinganes はボーカルでもこの『Falling In Between』に貢献したが、このアルバムでは TOTO 初代ボーカリストの Bobby Kimball、唯一のフルタイム参加のオリジナル・メンバー Steve Lukather もボーカルを務め、『Isolation』などのアルバムに参加した Joseph Williams、さらには Chicago の Jason Scheff もがゲスト・ボーカルで参加していた。

そうそう David Paich もボーカルを務めていたことを忘れてはいけない。過去にボーカルで大いに悩んだ TOTO だが、『Falling In Between』では実に6人もの実力あるボーカリストが揃っていた。

『Falling In Between』の裏ジャケットにはまだこの当時健在の Mike Porcaro の姿もあって、すっかり TOTO のメンバーとして馴染んだドラムの Simon Phillips を加えた6人のメンバーが横一列に並んでいた。

この裏ジャケットに写っていなかったが、TOTO 創設時のメンバー Steve Porcaro も『Falling In Between』では大きく貢献していた。4曲目の『King Of The World』ではライターにもクレジットされ、2曲目の『Dying On My Feet』などではシンセサイザーを担当。6曲目の『Simple Life』でピアノを弾いていたのも Steve Porcaro だった。

『Falling In Between』に収録の全10曲中8曲で関わっていた Steve Porcaro は、このアルバムの影の功労者だろう。

また、1982年の大ヒット・アルバム『TOTO IV』以来、TOTO と交流の深い南アフリカ出身のパーカショニスト Lenny Castro の貢献も大きい。Steve Lukather の派手なギターに隠れがちだが、8曲目の『Let It Go』や9曲目の『Spiritual Man』のような曲では Lenny Castro の活躍が欠かせない。

アルバム終盤にある『Spiritual Man』は全米 No.1 シングルの『Africa』をも彷彿させる曲で Greg Phillinganes のボーカルも聴けるが、この曲の一番の主役はこの曲のライターでもある David Paich だろう。

Jeff Porcaro 亡き後の TOTO は Steve Lukather の色が濃くなった。個人的な意見だが、その色を薄めようとして Bobby Kimball を再び迎え入れたり、Greg Phillinganes を正式メンバーにしたり、Joseph Williams を再びボーカルに参加させたりしてきたが、TOTO としてできることはやり尽くしてしまったように思う。

ツアーメンバーから David Paich は降りてしまったし、Mike Porcaro も ALS という難病に苦しみ、TOTO の軸は望むと望まざるに関わらず Steve Lukather に集中することになった。Mike の支援というかたちで一時的なリユニオンを果たした TOTO だが、この『Falling In Between』が最後のスタジオ・アルバムとなってしまったことは残念ではあるが、これが TOTO というバンドの引き際だったのだろう。

Falling In Between
Falling In Between
Dying On My Feet
Bottom Of Your Soul
King Of The World
Hooked
Simple Life
Taint The World
Let It Go
Spiritual Man
No End In Sight
【Japanese Bonus Track】
Reeferman

タグ：TOTO 2006