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Pink Floyd/『Echoes』 [CD]

Echoes.jpg副題に『The Best Of Pink Floyd』と付けられた Pink Floyd のコンピレーション・アルバム『Echoes』がリリースされたのは2001年11月。そう、9月11日の後だった。当初は Pink Floyd の過去のアルバムから曲を寄せ集めたアルバムなんて統一感もないだろうし、また安易なベスト盤を作って…と思っていたが、この2枚組はそんな常識を覆すアルバムだった。

この2枚組はベスト盤と呼ぶべきではないだろう。2枚組に26曲を詰め込んではいるものの、『Ummagumma』や『Atom Heart Mother』を含む4枚のアルバムからは1曲も選ばれていないのだから。James Guthrie と Pink Floyd のメンバーが関わった企画の下で製作された新たなアルバムとみなすのが正しい見方だろう。

Pink Floyd のコンピレーション・アルバムといえば過去に『Relics』や『A Collection Of Great Dance Songs』をこのブログで紹介してきたが、この『Echoes』には15分以上の『Echoes』や『Shine On You Crazy Diamond』もあり、1960~90年代にかけての長い活動期間における多くの代表曲が収録されていた。

ライブ盤からの音源はその対象に含まれていないが、Syd Barrett 在籍時の曲から Roger Waters が制作の中心にいた時代の曲。さらにはその Roger が抜けて David Gilmour を中心とした3人体制の頃の曲がリストアップされ、それぞれ全く別の印象を持つ曲が James Guthrie を中心にして見事な編集が行われ、『Echoes』という2枚組にまとめられた。

長い活動期間の代表曲を集めたアルバムといえば年代順に並べるという安易な方法もあるが、この『Echoes』という2枚組ではそのような手法を取らず、様々な時代の曲が交錯するように並べられていた。この曲順を考えるだけでも大きな苦労を強いられたのではと思えた。

さらに各曲は巧みな技術で継ぎ目なく繋がるように編集され、あたかも全ての曲が組曲のようにまとめられ、特に4枚組の LP でリリースされた『Echoes』ではそれぞれのサイドで1つの曲にまとまっているようだった。

あるコンセプトの下で作られたアルバムの中の曲を切り離し、他のアルバムの曲に繋ぐという、Pink Floyd がアルバムに込めた考えをズタズタにしてしまったようにも当初思っていたが、1曲目の Syd 時代の『Astronomy Domine』からどんどんこのアルバムに引きこまれ、あっという間に CD の1枚目の『Sorrow』まで時間が過ぎていった。

1枚目の CD にはアルバム『Meddle』にある『Echoes』が16分半に編集され収録されているが、その長さもほとんど気にならない。それは2枚目の CD のトップに配された『Shine On You Crazy Diamond』も同様で、こちらも新たに編集された17分半のバージョンとなっていたが、最後までじっと耳を傾けてしまった。

この『Echoes』は最初と最後の曲が奇しくも Syd 時代の曲で、共に1967年のデビュー盤『The Piper At The Gates Of Dawn』でも最初と最後の曲だった。これは Pink Floyd というバンドは紆余曲折して Roger の独裁が強まったり、Gilmour 時代の AOR みたいな時代があったが、Syd の在籍していた僅かな時代が原点なんだと示しているかのようだった。

Pink Floyd の活動を無謀に分類すると Syd の時代、Roger の時代、Gilmour の時代に区分できるかもしれない。この『Echoes』を聴き興味を惹かれた曲を含むオリジナルのスタジオ・アルバムを選んで聴いてみると、もっと Pink Floyd というバンドの面白さが分かるかもしれない。

Echoes.jpgEchoes The Best Of Pink Floyd
【Disc 1】
Astronomy Domine
See Emily Play
The Happiest Days Of Our Lives
Another Brick In The Wall (Part 2)
Marooned
The Great Gig In The Sky
Echoes
Hey You
Set The Controls For The Heart Of The Sun
Money
Keep Talking
Sheep
Sorrow
【Disc 2】
Shine On You Crazy Diamond (Parts 1-7)
Time
The Fletcher Memorial Home
Comfortably Numb
When The Tigers Broke Free
One Of These Days
Us And Them
Learning To Fly
Arnold Layne
Wish You Were Here
Jugband Blues
High Hopes
Bike
タグ:Pink Floyd 2001


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白吉

MCMLXVさん、こんばんは~♪「鬱」までのスタジオ版はほぼ持っています。これは持っていないですね-。アルバム単位で聴くことが多いので、曲の並びを見るだけでかなり違和感があります^^;

by 白吉 (2011-09-13 20:01) 

MCMLXV_65

白吉さん、こんばんは!『When The Tigers Broke Free』が2004年版リマスター『The Final Cut』に収録されるまで、ここでしか聴けない唯一の曲でしたが、Pink Floydの曲をこんな感じに並べ変えるのって快挙というか暴挙と思いましたね。

ですが!そう思いながら聴いてみると意外にも聴けてしまうのがこの2枚組の妙でもありました。機会があれば、ぜひ一度聴いてみることをお勧めします!^^
by MCMLXV_65 (2011-09-13 21:43) 

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