Queen／『Queen's first E.P.』

Queen が1976年の12月にリリースした通算5枚目のスタジオ・アルバム『A Day At The Races』からシングルは『Somebody To Love』がアルバムからのリード・シングルに選ばれ、続けて翌1977年3月に『Tie Your Mother Down』が2ndシングルに。そして3rdシングル『Good Old Fashioned Lover Boy』が約2か月後の5月にカットされ、このシングルはA/B面にそれぞれ2曲ずつを収めた Queen 初の EP 盤でもあった。

タイトルを『Queen's first E.P.』としてリリースされたが、Queen の長い活動期間中で EP 盤はこれが唯一。長い間、アナログ盤でしかこの『Queen's first E.P.』は楽しめなかったが、CD 時代に入ってからは1988年に3インチ CD として、当時のレーベル Parlophone からリリースされた。

その後、2008年に『Singles Collection』シリーズの第1弾にイギリスで1977年当時にリリースされたデザインを元に復刻され、12枚のシングル盤と共に収められた。

また、2009年4月18日。アメリカの Record Store Day にも同じジャケット・デザインで、かつ、CD レーベル面がアナログ盤のように溝を刻んだかたちで復刻され、こちらは3000枚が限定盤としてリリースされたという。(信号面も真っ黒な CD だった)

1977年のリリース当時、全英チャートで最高17位を記録したこの EP 盤にはデビュー盤を除く過去の3枚のアルバムからそれぞれ1曲ずつが収められていた。

『Death On Two Legs (Dedicated To...)』は前作『A Night At The Opera』の冒頭を飾る Freddie Mercury による曲。アルバムでは2曲目の『Lazing On A Sunday Afternoon』へと間髪入れず続くが、この EP 盤ではズバッとその関連が断ち切られる。

3曲目は1974年の3枚目のスタジオ・アルバム『Sheer Heart Attack』からの Roger Taylor による『Tenement Funster』が選ばれ、この曲ではボーカルも Roger が担当。アルバムでは『Flick Of The Wrist』にフェードインしていくかたちのエンディングだったが、この EP 盤ではそこに至る前にフェードアウトする。

そして EP 盤の最後、4曲目は同じく1974年リリースの『Queen II』から『White Queen (As It Began)』が選ばれた。『Queen II』では前の曲『Father To Son』から途切れることなく『White Queen (As It Began)』のイントロへと繋がっていたが、この EP 盤の他の曲同様、その関連が分からないように編集されたイントロだった。

『Queen's first E.P.』は Freddie が2曲、Roger が1曲、そして最後の曲が Brian May の曲で、ベースの John Deacon による曲がなかった。4人それぞれが1曲ずつ持ち寄れば、もっと面白い EP 盤になったとも思えたが、この頃の John の曲は『A Day At The Races』にある『You And I』は既に『Tie Your Mother Down』のB面としてリリースされていた。

前作にあった『You're My Best Friend』もシングルとしてリリース済みで、それ以前の3枚のスタジオ・アルバムには『Misfire』という2分に満たない曲があるのみだった。この『Misfire』は後の John の曲に通じるポップな感覚があって、これを EP 盤に採用しても面白かったのではないかと思ったが、そうすると『Sheer Heart Attack』から2曲が入ることになるから、『A Day At The Races』からのシングルというバランスが崩れてしまう。

John には可哀想だったが、この Queen 唯一の EP 盤はこの4曲が最適なバランスだったのかもしれない。

Queen's first E.P.
Good Old Fashioned Lover Boy
Death On Two Legs (Dedicated To...)
Tenement Funster
White Queen (As It Began)

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