Cheap Trick／『Heaven Tonight』

Cheap Trick の初期のアルバムはこのブログで以前一気に何枚かを続けて紹介したが、この通算3枚目のスタジオ・アルバム『Heaven Tonight』だけは意図的に外してきた。あまりに有名な『Heaven Tonight』は、いろいろと改めてウンチクを並べなくても、たくさんの方に既に馴染みのアルバムだと思ったからだ。

Cheap Trick のアルバムを初めてリアルタイムに聴いたのは、この次のスタジオ・アルバム『Dream Police』だったので、『Heaven Tonight』をフルに聴くのはちょっとの差で逃し、フルにアルバムを通して聴いたのは、かなり後のことだった。

そして CD として手に入れたのはさらにずっと後のことで、2006年に紙ジャケット仕様で他の初期のアルバムと共にまとめてリイシューされたときだった。1998年に CD でリイシューされた際の『Heaven Tonight』には『Stiff Competition』と『Surrender』の未発表のアウトテイクがボーナス曲に追加されていた。

1978年に『Heaven Tonight』のオリジナルがリリースされたとき、B面最後の曲『Oh Claire』はジャケットにもレーベルにもその表記がなかった。この『Oh Claire』はライブのオープニングでもよくプレイされた曲で、Cheap Trick がまだ有名になる前によくプレイしていたウィスコンシン州の Eau Claire からそのタイトルが付けられたという。

『Heaven Tonight』のジャケットは表が Robin Zander と Tom Petersson の女性ファン受けが良い二人。裏が Rick Nielsen と Bun E. Carlos というちょっとおトボケ・キャラの二人で、これは前作『In Color』からのパターンだった。表の二人はいかにも写真を撮るからポーズを! という雰囲気だったが、裏の二人はまるでトイレで身支度中を隠し撮りされたような雰囲気で、しかも歯磨き中の Rick のパンツのポケットには『In Color』のカセットテープ(?)が見えもした。

『Heaven Tonight』に収録された曲は3曲目の『California Man』が The Move の1972年のカバーだった以外、ほとんど Rick がメインになって書いた曲で、『Oh Claire』は4人全員がクレジットされ、『Auf Wiedersehen』『Heaven Tonight』『How Are You?』の3曲では Rick と Tom の二人が、『High Roller』ではこの二人に加え Robin の名前があった。

このアルバム・リリース後に行われた日本公演を収めた『at Budokan』には『Surrender』のみがライブ・バージョンとして収められたが、1998年リリースの『at Budokan』の2枚組では『Auf Wiedersehen』『High Roller』『California Man』の3曲も改めて収録された。

当時の全米チャートで『Heaven Tonight』は最高48位止まり、シングルも『Surrender』の一枚がカットされただけで、こちらも最高が62位止まりと、ヒットしたアルバムだったかと問われると、『Heaven Tonight』はそういう類のアルバムではなかった。

しかし、前作『In Color』の Tom Werman のプロデュースに不満を持っていた Cheap Trick は、この『Heaven Tonight』でその不満を一掃するような曲が多く並べ、後にパワー・ポップというジャンルの礎とも呼べるようなアルバムに仕上げた。

リリースの翌年、『Heaven Tonight』はアメリカで1979年にゴールド・ディスクに認定された。そして地道に長い年月をかけて売れ続けた『Heaven Tonight』はオリジナル・リリースから17年後の1995年にプラティナ・ディスクにも認定された。

Heaven Tonight
Surrender
On Top Of The World
California Man
High Roller
Auf Wiedersehen
Takin Me Back
On The Radio
Heaven Tonight
Stiff Competition
How Are You?
Oh Claire
【Bonus Tracks】
Stiff Competition (Previously Unreleased Outtake)
Surrender (Previously Unreleased Outtake)

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